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選択肢  作者: ひなた
初めのルート
17/389

 準備も着々と進められ、遂に文化祭当日を迎えた。

「あの、コノと一緒にどうですか?迷惑だったら、別にいいですけど…」

 少女が話しかけて来た。一緒に回るってことか?どうしよう。


①OK  ②NO  ③無視


ーここは③を選びましょうー


 俺はスルーした。はあ、俺は後半仕事担当なんだよな。どっか行こう。どうしよう。


①順番に全部  ②行きたいところ  ③いや、ここでよくね


ー③を選びます!もっと楽しめばいいですのにねー


 俺は店(教室)のところらへんを、ただ立っていた。

「コノと一緒じゃ、やっぱり、イヤですか?」

 少女は俺のことを、うるうると見つめている。どうしよう。


①じゃあ、一緒に行こう  ②うるさいなあ


ーここでは②を選びましょうー


「うるさいなあ」

「御免なさい!」

 少女はぺこりと頭を下げて、走り去って行った。

「キミは、どうしてそんなところにいるの?」

 暫く俺が立っていると、女子(多分先輩)に話し掛けられた。どうしよう。


①貴方を待っていたのです  ②何だっていいだろ


ーよく分からない選択肢ですね まあ②を選ばせてもらいましょうー


「何だっていいだろ」

「もっと楽しんだらどうなの?」

 先輩?は、俺のことを見つめている。

「それとも、わたしと一緒に回る?」

 先輩は俺を見て、ただ微笑んでいる。どうしよう。


①一緒に回る  ②断る  ③無視


ーこれは③でしょ!ー


「無視しないでよ」

 俺がスルーし続けているのに、先輩は俺の前を動かなかった。

「何か、ほっとけないのよね。もっと遊んでよ。わたしまで遊べなくなっちゃうじゃん」

 先輩は俺の手を掴んだ。どうしよう。


①俺も握り返す  ②振り解く  ③動かない


ーここでも③でしょうー


「そんな奴に構っても仕方ありませんわ。早く行きましょうよ」

 もう一人先輩がやって来た。

「そんな奴とか言ったら可哀想でしょ!」

「いいから、わたくしたちまで遊べなくなってしまうではありませんの」

 先輩は俺の手を離し、二人はそのまま去って行った。

「何やってるのにゃ?」

 また暫くすると、今度は多分後輩の少女に話し掛けられた。

「もしかして、たまきを待っててくれたにゃ?」

 少女は俺をじーっと見ている。どうしよう。


①そうだよ  ②んなわけないだろ  


ーここは②を選ぶしかないんですよー


「んなわけないだろ」

 俺が少女を睨み付けると、少女は頬を膨らませた。

「何でなのにゃ~。でもたまきは、そういう人好きにゃ。一緒にどうなのにゃ?」

 そう言って少女は、猫のポーズをしてニャーと鳴いた。どうしよう。


①OK  ②NO  ③無視


ーはい、ここは③ですね~!ー


「そうやってたまきのこと無視してると、後で痛い目見るにゃ~」

 少女は俺の足を踏み付けて、去って行った。そのまま暫く立っていると、前半と後半の交代時間になったようだ。

「お前ぇ、皿洗いの奴だな。ずいぶん早く来てんだな。まだ前半終わったばかりだぞ?後半が始まるまで、五分近くあるじゃねえか」

 少女が話しかけて来た。この少女も俺と同じで、二年八組の後半担当なのかな?

「あっマツリちゃ~ん、早いよ~。さあて、後半頑張ろうね~」

 もう一人少女が走って来て、教室に入って行った。その後に続いて、俺も教室に入った。

「前半組、解散!」

 一人の男子生徒がそう叫ぶと、前半担当の人達は教室から出て行った。

「皆~、担当の場所にスタンバイして~」

 少女が叫ぶと、皆が一気に動き出した。俺も皿洗いのポジションにしっかりついた。

「全員揃ってるぜ。じゃあ、オープンでい!」

 文化祭一日目、午後の部が始まった。俺らの店は結構人気があり、ずっと忙しかった。

「おい、〇〇!皿洗い手伝うよ」

 途中で男子生徒が一人、皿洗いに加勢してくれた。てか、凄い量皿くるな!こんなに皿用意してたの?

 メイドの『いらっしゃいませ』や『ありがとうございました』の声が、ほぼ絶え間なく聞こえてくる。

 客の楽しそうな笑い声。何の悪いことも、特にない。

       そうして文化祭一日目は、幕を閉じた。

  

女子からの誘いは断り続けましたが、やはり文化祭は楽しめますね。

二日目は何があるのでしょう。

とっても楽しみですねえ!くっくっくっく。

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