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準備も着々と進められ、遂に文化祭当日を迎えた。
「あの、コノと一緒にどうですか?迷惑だったら、別にいいですけど…」
少女が話しかけて来た。一緒に回るってことか?どうしよう。
①OK ②NO ③無視
ーここは③を選びましょうー
俺はスルーした。はあ、俺は後半仕事担当なんだよな。どっか行こう。どうしよう。
①順番に全部 ②行きたいところ ③いや、ここでよくね
ー③を選びます!もっと楽しめばいいですのにねー
俺は店(教室)のところらへんを、ただ立っていた。
「コノと一緒じゃ、やっぱり、イヤですか?」
少女は俺のことを、うるうると見つめている。どうしよう。
①じゃあ、一緒に行こう ②うるさいなあ
ーここでは②を選びましょうー
「うるさいなあ」
「御免なさい!」
少女はぺこりと頭を下げて、走り去って行った。
「キミは、どうしてそんなところにいるの?」
暫く俺が立っていると、女子(多分先輩)に話し掛けられた。どうしよう。
①貴方を待っていたのです ②何だっていいだろ
ーよく分からない選択肢ですね まあ②を選ばせてもらいましょうー
「何だっていいだろ」
「もっと楽しんだらどうなの?」
先輩?は、俺のことを見つめている。
「それとも、わたしと一緒に回る?」
先輩は俺を見て、ただ微笑んでいる。どうしよう。
①一緒に回る ②断る ③無視
ーこれは③でしょ!ー
「無視しないでよ」
俺がスルーし続けているのに、先輩は俺の前を動かなかった。
「何か、ほっとけないのよね。もっと遊んでよ。わたしまで遊べなくなっちゃうじゃん」
先輩は俺の手を掴んだ。どうしよう。
①俺も握り返す ②振り解く ③動かない
ーここでも③でしょうー
「そんな奴に構っても仕方ありませんわ。早く行きましょうよ」
もう一人先輩がやって来た。
「そんな奴とか言ったら可哀想でしょ!」
「いいから、わたくしたちまで遊べなくなってしまうではありませんの」
先輩は俺の手を離し、二人はそのまま去って行った。
「何やってるのにゃ?」
また暫くすると、今度は多分後輩の少女に話し掛けられた。
「もしかして、たまきを待っててくれたにゃ?」
少女は俺をじーっと見ている。どうしよう。
①そうだよ ②んなわけないだろ
ーここは②を選ぶしかないんですよー
「んなわけないだろ」
俺が少女を睨み付けると、少女は頬を膨らませた。
「何でなのにゃ~。でもたまきは、そういう人好きにゃ。一緒にどうなのにゃ?」
そう言って少女は、猫のポーズをしてニャーと鳴いた。どうしよう。
①OK ②NO ③無視
ーはい、ここは③ですね~!ー
「そうやってたまきのこと無視してると、後で痛い目見るにゃ~」
少女は俺の足を踏み付けて、去って行った。そのまま暫く立っていると、前半と後半の交代時間になったようだ。
「お前ぇ、皿洗いの奴だな。ずいぶん早く来てんだな。まだ前半終わったばかりだぞ?後半が始まるまで、五分近くあるじゃねえか」
少女が話しかけて来た。この少女も俺と同じで、二年八組の後半担当なのかな?
「あっマツリちゃ~ん、早いよ~。さあて、後半頑張ろうね~」
もう一人少女が走って来て、教室に入って行った。その後に続いて、俺も教室に入った。
「前半組、解散!」
一人の男子生徒がそう叫ぶと、前半担当の人達は教室から出て行った。
「皆~、担当の場所にスタンバイして~」
少女が叫ぶと、皆が一気に動き出した。俺も皿洗いのポジションにしっかりついた。
「全員揃ってるぜ。じゃあ、オープンでい!」
文化祭一日目、午後の部が始まった。俺らの店は結構人気があり、ずっと忙しかった。
「おい、〇〇!皿洗い手伝うよ」
途中で男子生徒が一人、皿洗いに加勢してくれた。てか、凄い量皿くるな!こんなに皿用意してたの?
メイドの『いらっしゃいませ』や『ありがとうございました』の声が、ほぼ絶え間なく聞こえてくる。
客の楽しそうな笑い声。何の悪いことも、特にない。
そうして文化祭一日目は、幕を閉じた。
女子からの誘いは断り続けましたが、やはり文化祭は楽しめますね。
二日目は何があるのでしょう。
とっても楽しみですねえ!くっくっくっく。




