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恥じらいを残しながらも自信を持って、祭はそう言って笑う。
「羨ましいわ、祭ちゃんいいな~。今日は何? お……」
何かを言おうとして、女性は祭に口を塞がれる。
「母さん、変なこと言うなっつーの。んじゃ、これから宿題やるからさ」
祭は俺の手を持ち、さっさと二階へ上って行く。どうしよう。
①着いてく ②手を振り解く ③祭と別の世界へ
ー①にして下さいっー
祭が凄い勢いで上って行くので、俺はそのまま引っ張られて二階の部屋に座らせられる。どうしよう。
①座ってる ②荷物置く ③帰る
ー②でいいと思いますよー
俺は取り敢えず荷物を置き、問題集と筆箱を取り出した。
「そんじゃ、やるかっ」
「そうだな」
俺と祭はそう言って、改めて気合を入れ直す。どうしよう。
①最後までやり遂げて見せる ②遊んで祭の邪魔してる ③帰る
ー①にして下さいよー
怠くて仕方のない提出物だって、祭と一緒にやるのなら楽しくすら感じられた。
暗くなるまでやっていたのだが、結局最後まで終わってはいない。どうしよう。
①最後までやり遂げて見せる ②遊んで祭の邪魔してる ③帰る
ーこれだったら、③にします?ー
さすがにこれ以上いると迷惑になると思い、俺はそろそろ帰ろうと思う。
「祭、俺はもう帰るよ。後は家で頑張ろ」
すると祭は残念そうな顔をしてくれたのだが、こくりと頷いた。
「もう時間的にも遅いしな、気を付けて帰れよ? 今日はジョギング出来ねぇな、残念でい」
そう言えば、今日はジョギングをしていないかもしれない。まあ一応、登下校で走ってはいるけどさ。どうしよう。
①ジョギングに連れてく ②ジョギングする ③帰る
ーこれも③でいいんじゃないですかねー
今から祭を連れて行くのも危ないし一人で走るってのも寂しいので、俺はこのまま走って素直に帰ることにする。
「あら、〇〇くんだっけ? 帰っちゃうんだ……」
祭に別れを告げて下へ降りると、女性に呼び止められた。どうしよう。
①肯定 ②否定 ③突き飛ばす
ー仕方がありません、これは①にしましょうかー
「はい、あまり遅くまでいるのも悪いので……」
軽く礼をすると、俺は行こうとする。
「もし良かったらさ、泊まっていかない? 高校生だしさ、いいでしょ。無理にとは言えないけどね」
女性のその言葉に、俺はピクリと反応してしまう。どうしよう。
①泊まって行きます、絶対! ②それはちょっと……
ー①にしちゃいますぅ?ー
「泊まって行きます、絶対!」
振り返ってほぼ無意識にそう言ってしまい、我に戻った俺は断ろうとする。




