表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

触れられない夫が三年間そっと置き続けたものに気づいたとき私は泣いた

作者:月雅
最終エピソード掲載日:2026/02/14
毎朝、書斎の前に茶碗を置く。 夫は何も言わずにそれを飲み、茶碗を元の場所に戻す。 三年間、それだけが夫婦の接点だった。

聖騎士の妻になった日から、夫に触れることは許されなかった。 神殿の誓約が、夫の手を縛っている。 会話はできる。同じ屋敷にいられる。けれど指先ひとつ、触れてはならない。

夫が何を考えているのか分からない。 冷たいのか、無関心なのか、それとも別の何かがあるのか。 問いかける勇気が出ないまま、私はただ観察することを選んだ。

ある朝、茶碗の位置がいつもと違うことに気づいた。 ほんの数寸。利き手の側にずれている。

それは偶然かもしれない。 けれど翌朝も、その翌朝も、同じだった。

夫は何も言わない。 私も何も聞かない。 それでも何かが少しずつ変わり始めていた。

そんな日々の中で、社交界にひとつの噂が広まっていく。 聖騎士を堕落させる悪役令嬢。 その名が、私に向けられていた。

噂の出所を辿れば、夫を縛る誓約の先にいる人物に行き着く。 待っていれば状況は変わるのか。 それとも、自分の足で動かなければならないのか。

触れられない距離で夫が差し出し続けていたものの正体に、 私はまだ気づいていない。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ