10
数年後。
『えー、彼氏?いるよいるよ』
『あ、まって嘘嘘。いないけどいるって感じ!』
『大学時代の友達、両想いなんだけど私って女優でしょ、だから俺じゃ釣り合わないとか言って。ほぼ同棲中なのに』
『こっちはずっと待ってるのにねー。あ、一途?そうでしょー。早くしないとイケメン俳優とかに盗られるかもしれないのにね』
『え?妄想?そんなんじゃないって。多分彼もこの配信見てるし…。あ、ほらメッセージきた!ね?めっちゃ通知音聞こえるでしょ!』
『はいはいこの話おしまい!…最後に1つだけ、ずっと待ってるから。だから、早めに迎えに来てくれると嬉しいな。じゃ切りますねー、みんなおやすみー』
この配信の切り抜きが瞬く間にSNSに広がった。
様々な声があった。でも、一番多かった声が『迎えに行ってあげろ』だった。
「はぁ」
これも計画通りで、まいの手のひらで踊らされてるだけかもしれない。
そう思いながらまいの部屋の前まで向かう。
44本のバラの花束。
まいのことだからすぐ花言葉とかも調べるだろう。
物理的にも気持ち的にも重いと思われるかもしれない。
それでもいい。
だって、まいは何も言わずずっと待ってくれた。だからこそ急にアクションをとられてびっくりしたけど。
きっとまいは俺の気持ちを受け入れてくれる。
俺にとってまいは、すべてが大切だと思えるようになったきっかけだから。
ガチャリとドアが開く。
既に泣きそうな表情のまいに、花束を差し出す。
自分の夢もまいの夢も抱きかかえられるようになれたと思うから。
その言葉を口にした。
最愛の人に向けて。




