崩壊と再生
夕日が、錆びついた鉄骨の残骸に最後の光を投げかけていた。それは、かつて「ビルディング」と呼ばれた巨大な構造物の成れの果てだ。ねじ曲がり、黒焦げになった骨組みは、まるで地球が経験した痛ましい出来事を無言で物語っているかのようだった。その足元には、ひび割れたアスファルトが広がり、ところどころに生命力の強い雑草がわずかに顔をのぞかせている。空気は微かに金属と土の匂いが混じり合い、遠くには、かすかに水のせせらぎが聞こえる。かつての大河は、今や細い流れとなり、その岸辺には、粗末な木材と土を固めて作られた家々が寄り添うように立ち並んでいた。それが、核戦争から数世紀を経て、人類が再建した文明の姿だ。
瓦礫の底から、魔法の息吹
焼け焦げた大地に、冷たい風が吹き荒れる。空は常に鉛色に淀み、太陽はかつての輝きを失っていた。遠くに見えるのは、かつて「都市」と呼ばれた場所の残骸だ。ねじれた鉄骨が天を突き刺し、崩れ落ちたコンクリートの塊が、かつての文明の傲慢さを物語っていた。核戦争──「大いなる災厄」と後に呼ばれるその出来事が、地球からすべてを奪い去ったのだ。現代技術は塵と化し、知識は断片的な伝承となって細々と受け継がれていくばかりだった。
そんな絶望の中で、人類はわずかな生き残りをかけて、地下深くへと潜った。暗く、冷たい洞窟の中で、人々は互いに身を寄せ合い、震える声で語り合った。
「あの光は何だったんだ…何もかも、一瞬で消えちまった」
老人が震える声でつぶやいた。彼の目は、恐怖と絶望で虚ろだった。 「私たちが、あの『便利な道具』に頼りすぎたから…」
若い女性がすすり泣いた。彼女の腕の中には、まだ幼い子供がしがみついている。 そこにあったのは、ただ生き残るという本能だけだった。食料を分け合い、水を節約し、外の汚染された空気から身を守る。しかし、希望は見えなかった。このままでは、ただ緩やかに滅びていくだけだと、誰もが感じていた。
