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29歳独身OL小夜子の語り部日記  作者: 酒井伴四郎氏にはなりたくない女:小夜子


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2021年5月29日(土)『横文字を使うな』

 最近、ひどく暑い。


 雨も多く、ムシムシしている。エアコンの冷房をつけて、不快指数から逃れようともがく日々が今年も始まったのだ。


 日本の夏は湿度が高く、他の国々の夏とは性質が異なるとよく言われる。他の国々は湿度が低いためカラッとしているそうだ。私はそれを体験したことないが、冬場にガンガン暖房をかけたときのような感じだろう。それに比べて我が日本は梅雨のあとに間を置かず夏が来る。そりゃあ、蒸し暑くもなる。


 しかも、最近ではヒートアイランド現象とかいうやつで平均気温が上昇しているらしい。


 昔と比べ平均気温が上昇し、四十度越えももはや珍しいものではなくなりつつある。私が小学生の頃なんて、三十五度もいけば夏一番の暑さだったものだが、たかだか二十年程度でインフレが進みすぎではなかろうか。この調子では私がお婆さんになる頃には、耐熱スーツなどを着なければ外を出歩くことは禁止される未来になりそうだ。


 そういう意味では昔は良かったといえる。


 それなりに我慢できる暑さで外に出ても肌がじりじりと焼けるような体験は少なかったからだ。


 ま、それ以外の意味も含むと絶対に今の方がマシなのだが。


 子供と違って、自由にエアコンをつけても怒られない、アイスも食べ放題、エアコンと扇風機の二刀流だってできる。そもそもテレワークで外に出る機会が少ない。ひと月以上の夏休みがないのが難点だが、暮らしやすさという点では社会人に軍配が挙がる。ノートで仰ぐ必要もなければ、それが見苦しいと怒られることもないのだ。


 そもそも熱の島と化した日本で涼を取る手段がない日常を送る方が間違っている。昨今はコロナ情勢でマスク着用が必須となっているのに、熱気漂う外にいたら熱中症で死んでしまう。そもそも暑苦しい中、勉強が捗る訳がない。


 ヒートアイランド現象なんてピンとこないものを教えているのが間違っている。


 馬鹿にもわかるように日本語訳した『都市温暖化』と教えればいいのだ。


 さすれば涼を取ることの重要性が学生にも教師陣にも伝わるだろう。


 いや、我が母校の教師陣は「ここは都市ではない!」と言って温暖化を認めず、さらに不快指数が増しそうだった。

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