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29歳独身OL小夜子の語り部日記  作者: 酒井伴四郎氏にはなりたくない女:小夜子


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2021年5月14日(金)『何故ということは何故か起きる』

 世の中には何故ということが沢山ある。


 守秘義務があり、この日記にも残せないが何故ということがあった。


 例えば海鮮料理を作ろうという目的があった。ならば次はどの海鮮を使うのかという話になる。状況によって盛り付け方法から決めなければならないこともあるだろう。けれど、それらをすっとばしてこれで客が増えるという話をしている。


 とらぬ狸のなんとやらというものだが、この決めない病に陥っている上司は特別多い。


 決めない病に陥っている上司曰く「判断材料が欲しい」とのこと。


 言わんとしていることはわかるが、目的だけ提示されても部下は困るのだ。海鮮料理がどれほど数があると考えているのだろう。メジャーどころ寿司や刺身、マイナーなものだとたこわさだってそうだ。海鮮鍋なんてものもある。


 それら全てを網羅なんてできっこないのだ。


 ある程度の網羅ですら仕事量が段違いに増える。


 やれと言われたらやるしかないが、馬鹿らしい。


 海鮮を準備している部下の方が腐ってしまう。


 この決めない上司、テレワークと相性が悪い意味で相性が良い。


 雑に「これでいいですかー?」なんてこちら側から聞けないものだから、向こうも雑に「これでいいよー」と言えなくなっているのだ。そこで決めない病も発症しているものだから何一つものごとが進まない。


 しかし、締め切りはやってくる。


 こうなると決め打ちで作業を進めて起き、決め打ち案で説得しにかかるしかなくなる。


 ああ、腐ってしまいたい。腐ってしまいたいが、これでどうにかしようとするあたり私は発酵食品として使い倒されるだけなのだろうな。






 これは先日あったことだ。


 今日、クライアントから色々話を聞いたら海鮮料理が欲しいのではなく「小料理屋で海鮮丼が食べたい」というオーダーだった。


 料理は決まってたんかい、という憤りもある。しかも、どちらかというと小料理屋の方が重要度が高い。


 おかげで仕事は全てやり直しとなった。


 ああ、仕事辞めたい。

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