表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29歳独身OL小夜子の語り部日記  作者: 酒井伴四郎氏にはなりたくない女:小夜子
4/117

2021年3月24日(水)『そろそろ日記を書きたい』

 三日坊主と肩を並べ、超えた女、小夜子である。

 


 今日は、今日あったことを書きたい。


 そろそろ日記というものを書かねばならないという自責の念が押し寄せてきた。押すだけではなく、引くタイミングもあるので波のようだった。妙に自尊心をくすぐられる風な押し引きなので、恋愛強者のようでもあった。うん、夜王だ。貢がねばならないという意識が生まれる。恋愛弱者の私では夜王に対抗する術は何もないので、さっさと貢ごうと思う。


 

 今日は猫を見た。


 朝起きて、テレワークして昼休みに入り、近くのコンビニに行く途中にある駐車場にいた。三毛猫で駐車ブロックに座っていた。猫の癖に滅茶苦茶背筋がよく、針金でも入っているかのようにピンと伸びていた。むしろ、安い座椅子に座って仕事している私の方が背が丸まっている。猫よりも猫背だ。


 流石にこれはいけないと危機感を覚え、試しにその場で背を伸ばしてみた。


 背中から聞こえてはいけないような鈍い音が立て続けに鳴った。痛かった。


 幸い周りにいたのが猫だけだったから良かったものの、これが人に聞こえていたら恥ずかしくて死んでしまう。そう思っていたら猫が私を見ていた。目を大きく見開いて「こいつやばい」という顔をされた。


 なんだか無性に腹が立ってきたので、両手を挙げて「ガオー」と威嚇してやった。


 猫は「本当にヤバいやつだった」と言わんばかりの俊敏さで逃げた。


 勝っていい気になった私は「ガオー」のポーズのまま足踏みして怪獣の真似事をしていたら、車で通り過ぎたオッサンに見られた。


 目も合わせてはくれなかった。


 私は恥ずかしくなり何も買わずに家に帰った。


 

 何故だ。何故、私はこんな恥ずかしい思い出を書き残しているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ