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29歳独身OL小夜子の語り部日記  作者: 酒井伴四郎氏にはなりたくない女:小夜子
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2021年4月4日(日)『そりゃそうだ』

 今日は友人の薫子から誘いがあり、ランチへ向かった。


 数少ない友人で私のような女傑が守護霊の女とは対照的な明るく優しい女性である。ようはパリピである。私はパリピは頭の中が空っぽだと思っているが、そう思う羽目になった女性である。ちなみに薫子という雅な名前をしているが、現代文古文漢文の全ての成績が著しく低空飛行をしている。およそ日本人として失格な頭脳の持ち主だ。帰国子女でもなければ到底許されない。


 そんな薫子であるが不思議と相性が良く、高校からなんだかんだ十年以上付き合いが続いている。


 薫子に昨日あった亜美ちゃんの件を話した。弟に彼女ができたこと、霊感があることを。


 それを聞いた薫子が最初に口にした感想は「変な壺とか売られそう」という至極全うなものだった。


 私が「やっぱりそう思う?」と尋ねると「パリピ狙ったマルチ商法とか後を絶たないし。わたしもパーティにただ飯喰らいに行ったぐらいの経験はあるからね」と返ってきた。


 人を見る目を磨くべきか、と思っていたら「でも弟くんを狙うとか中々追い込まれてそうだね。ガラが悪すぎて反社って言われても信じられそう人なのに」とケラケラ笑う。


 事実なので何一つ反論できなかった。


 このパリピ、馬鹿だが妙に地頭は良いのだ。歴史を学ばず経験だけで賢者に到達した元愚か者と私は評している。周囲に失敗する人が多く、数えきれない数の失敗例を見て学んだのだ。


 私は薫子に尋ねた。


「詐欺だと思う?」


「結婚前に金払えって言われなければ気にしなくてオッケーっしょ? あとはデキ婚さえしなければ托卵とかもないだろうし。そこまで気になるなら、亜美ちゃんの実家を調べればいいじゃん。霊媒師の家系ならある程度、有名そーだし」


 そう言われたので、弟には結婚前に興信所を勧めるとともに、婚前交渉の際はゴムを忘れるなと忠告しようと思う。






 なんでこんなに人を心配できる心優しく思慮深い私に彼氏ができないのだろう、などとこの日記を書いていて考えた。






「勢いが足りない」という結論に行きついた。


 少なくとも亜美ちゃんのような警戒センサーがビンビンになる相手に、バク進、邁進、全速前進などできやしない。


 もしかしたら世の中のカップルは互いにこれを乗り越えているのだろうか。


 恋は盲目というけれど、盲目にならなければ、恋なんてできないのだろうか。

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