表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒雪姫  作者: あしゅ
5/42

黒雪姫 5

「まあ、今までのいきさつはわかった。」

「気の毒な境遇で、大変じゃったの。」

小人たちが、黒雪姫をねぎらう。

 

「しかし、何故窓ガラスが割れておるのじゃ?」

「家の中に入るために、やむを得ず・・・」

「ドアに鍵は掛かっとらんのにか?」

「ええええええええっ、そんな無用心な!」

 

「ここいらには、通常は侵入者はおらんのじゃよ。

 と言うか、ドアに鍵を何個かけようが

 窓を割って入ってこられたら一緒じゃろ。」


小人があごで割れた窓を指し示したので

バツが悪そうに黒雪姫が目を逸らした。

「・・・まあね。」

 

 

「で、何でわしらの家に入って来たんじゃ?」

「火を点けっ放しで、火事になると大変だと思って・・・。」

チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン

 

「鍋のシチューが5分の1に減っておるが?」

「火にかけっ放しで、蒸発したんじゃないでしょうか?」

チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン

 

 

「・・・・・すいません、腹が減って盗み食いいたしました・・・。」

 

「最初からそう言えば良いんじゃ。

 妖精族は親切なヤツが多いんじゃから、咎めはせんよ。

 そ れ ほ ど は な。」

黒雪姫は正座させられて、この後30分ほどネチネチと説教された。

 

 

「にしても、人間が妖精の国に紛れ込めるとは不思議じゃのお。」

「うむうむ、妖精王さまが守っておられるはずなのに。」

「この娘をどうしたものかのお。」

 

横から黒雪姫が口を挟む。

「ちょっとー、娘娘言わないでくださいません? 無礼者さんたち。

 私の事は “黒雪姫様” とお呼び。」

 

「うむ、わかった。

 それで黒雪をどうするか、ちょっくら賢者さまに訊いてくるかの。」

「黒雪 “姫” ! 姫!! ひ・め !!!」

黒雪姫の怒りをよそに、小人のひとりがさっさと家を出て行った。

 

 

「よーし、わかった!

 あなたたちがその気なら、私にも考えがあるわ。

 さあ、あなたたち、自己紹介なさい。」

仁王立ちの黒雪姫の前に、残りの小人6人が並ばされる。

 

「わしはアレクサンデル」

「わしはハドリアヌス」

「わしはクレメンス」

「わしはユリウス」

「わしはニコラウス」

「わしはマルティヌスで、今出て行ったのがベネディクトゥスじゃ。」

 

「・・・・・・・・・・・・

 何かその名前群、こんな話で気軽に使うのはヤバい気がするわー。

 テキトーに縮めたイヤなあだ名をつけようと思ってたんだけど

 絶対にどっかの良識筋からクレームが来ると思う。

 しかも正式に。」

 

 

黒雪姫は、しばらくこめかみを指で突付いて悩んでいた。

「よし、しょうがないわね。

 あなたたちの名前は、“おい”“ちょっと”“そこの” 等

 男尊女卑の夫が妻を呼ぶような、芸のない言い方にするから。

 呼ばれたら、そこらへんにいる一番近くの者が対応するように。

 どうせ7人もいたら、個性なんかこっちには関係ないしね。」

 

そんなひどい、何て事じゃ、あんまりじゃないか

と口々に文句を言う小人たちを無視して、黒雪姫は話題を変えた。

 

「ところで、賢者さまって誰なの?」

 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ