表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒雪姫  作者: あしゅ
34/42

黒雪姫 34

「誰もが嬉しくない結末なのですか?」

 

そう叫んだのは、意外にも継母であった。

黒雪姫が横目で何とか継母の方を見る。

継母の顔には、怒りの色が浮かんでいる。

 

 

 戦いというのものは そういうものなのだ

 万能というのも その程度のものなのだ

 

 もし 真に万能なものがいたら

 それ以外のものが存在する理由はなくなるであろう

 

 ここでみなに詫びる事をよしとせぬ、わしもまた

 存在する理由が必要なもののひとりなのじゃよ

 

 

あ、何かもう、その言葉だけで良いや。

 

妖精王の弱気発言で、筋肉バカの黒雪姫にはあっさりと諦めが付いた。

散々振り回されて、大変な思いをした日々だったけど

それはそれで結構楽しかったかも知れない。

 

命をも落としかねない状況だったけど

こうやって無事なんだし、武勇伝にすれば良いや。

 

 

 さあ そろそろ始めるとしよう

 特例になるが、その功績に感謝する意も込めて

 そなたらの記憶は残すか、選択できるが

 

「残して当たり前ですじゃ!」

真っ先に怒鳴ったのは小人たちだった。

 

「生涯で一番忘れたくない日々じゃぞ!」

「そりゃ、楽しかったとは言えんが・・・。」

 

黒雪姫には小人たちは見えなかった。

後ろの方にいたからである。

小人たちの言葉の真意はわからなかったが

皆、震える涙声だった。

 

 

ふと目の前を見ると、王子が自分を見つめている。

そのまなざしは悲しみで溢れていたが、沈んではいなかった。

 

「姫、私は諦めはいたしません。

 いつかあなたと再会できる事を信じて、償っていきます。」

 

黒雪姫が、はあ、そうですか、とボケッとしていると

継母が小声で怒鳴った。

「黒雪、殿方のプロポーズには

 きちんとお答えしないと無礼にあたりますよ!」

 

プププププププロポーズーーーーーーッッッ?

 

黒雪姫は激しくワタワタして

よりによって、最悪な返事をしてしまった。

 

「へへへヘビのくせに!」

 

 

それでも王子は、ニッコリと笑った。

その笑顔に胸がチクッと痛み、思わず追加で叫んだ。

 

「でででも、へへヘビも良いかもっっっ?」

 

ああ・・・、このバカ処女

ここにきて今更な、ベッタベタ定番のツンデレ?

継母が見ていられずに、恥ずかしそうに顔を背けた。

 

その時、世界がゆっくりとにじんでいった。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ