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黒雪姫  作者: あしゅ
29/42

黒雪姫 29

ひと段落ついたと思ったら、すぐにスタスタと歩き始める黒雪姫。

「姫、ウサギも駒も皆あちらの方に走って行ったのに

 何故にこちらへ行くんです?」

王子が質問をする。

 

「んー、気分?」

上の空で答える黒雪姫。

 

「それよりさあ、私の真後ろを歩かないでくれる?」

「何故ですか?」

王子が、そのままの位置を動かずに訊く。

 

「あなた、剣持ってるでしょ。

 そういう人に後ろにいてほしくないのね、私ゴルゴ系だから。」

「は?」

「いいから!」

 

 

執事が見かねて王子に進言する。

「王子、武器を持ってるのは我々だけですし

 確かに気持ちの良いものではないでしょう。

 我々は少し離れて歩きましょう。」

 

「む、そういうものか?

 しかしそれでは姫を守れぬではないか。」

 

「王子、この姫はそういう事を言うと怒るタイプに見えます。

 どうか、じいの言う事を信じてください。」

執事が王子の耳元でささやき、王子は仕方なく黒雪姫から離れた。

 

「あんた、誰に対しても平等にひどいのお。」

 

「いちいちそういう事を言いに来るのは

 自分にもひどい事をしてほしい、って意味よね?」

黒雪姫の眼球がゆっくりと小人の方を向く。

小人は慌ててすっこんだ。

 

 

10人もいるのに、無言のまま通夜のように進んでいたのだが

王子が遠慮なく声を上げた。

「お腹が空きませんか?」

 

「おお、そういえば腹が減ったのお。」

「ちょっと一服するか。」

無言だったが、黒雪姫も立ち止まった。

 

 

お茶会の残り物を皆で食べていると、黒雪姫が王子に話しかけた。

「武器は何を持っているの?」

「私は長剣と短剣、じいは鞭と調理道具ぐらいですかね。」

王子は剣とナイフを抜いて見せた。

 

「では、そのナイフを私に貸してくれる?」

「これをですか?」

「そう、そのダガー。」

 

「しかし、か弱い女性が刃物など持たずとも

 私がお守りしてさしあげ・・・。」

 

王子が渋って中々渡さないので、黒雪姫が切れる。

「うっさい!

 できるなら大ナタぐらい欲しいとこなのよ、こっちは!

 いいから、さっさと貸せ!」

 

 

ビビッた王子の手からダガーナイフを奪い取ると

腰に挿しながら言った。

「返せなかったらごめんねー?」

 

「あーあ、ありゃ返す気サラサラないぞ。」

「とうとう刃物を持たせたか・・・。」

 

小人たちが背後でささやいた。

 

 


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