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黒雪姫  作者: あしゅ
24/42

黒雪姫 24

黒雪姫の意見は、あまりにあまりなのだが

戦いというのは、通常の感覚ではやれない。

 

黒雪姫に付いていく = “戦に参加する”、という図式に

小人たちは、やっと気が付いた。

 

泣きたくなるような、イヤな予感がヒシヒシと漂う。

もう1mmも後戻りが出来ない気がするのだ。

 

 

そんな不安も手伝ってか、辺りも何となく

薄気味悪い場所のように思えてくる。

 

「なあ、ここはどこじゃろうなあ?」

「うむ・・・、わしもそれが気になっとった。」

 

黒雪姫には、“ここがどこ” など、何の疑問も浮かばなかったが

小人たちの言葉は、“道に迷った” レベルじゃない雰囲気である。

 

「えっ、ここって妖精界じゃないの?」

「うーん・・・、妖精界でトランプの兵士など聞いた事がないぞ。」

「妖精同士の戦いも御法度じゃしな。」

 

悩む小人たちに、王子が言う。

「ここ、魔界じゃないですか?

 妖精界は妖精王がいるのでしょう?

 さっき猫が “女王さま” って言ってましたよ。

 だから人間界と妖精界以外の場所だと、神界と魔界で

 神界に女王さまがいるとは思えませんから。」

 

「魔界じゃと・・・?」

「いやじゃあ! いやじゃあ! わしら、どうなるんじゃーーー!」

小人たちが四方八方にパニくり走りし始めた。

 

 

「うるさい!!!」

 

黒雪姫が、小人たちを一喝する。

だるまさんが転んだ、のごとく静止する7人。

 

「ここが魔界と決まったわけじゃないでしょ。

 てかさ、現実に妖精界には “ハブ女王” がいるそうじゃん。

 その人の事じゃないの?」

 

「ハブ女王は300年前の戦いで破れて死んだんじゃ。」

「あら。」

黒雪姫のとぼけた返事に、小人たちが怒る。

「『あら』 かい、『あら』 !」

 

「でもさ、別に魔界でも良いじゃない。

 だって私ら、さっきの兵隊とのバトルで快勝してるんだし

 魔界、結構チョロいかもよー?」

 

「おお、それもそうじゃな。」

小人のひとりが同調すると、別のひとりがたしなめた。

「しかし、妖精界にどうやって帰るかが問題じゃないか?」

「そうじゃった・・・。」

 

 

沈み込む小人たちに、黒雪姫が気楽に言う。

「こういう場合は、ラスボスを倒せば元の世界に戻れるんじゃない?

 仮に戻れなくても、ここで天下を取れば良いわけだし。」

 

「あんた・・・、楽観的すぎるぞ・・・。」

呆れる小人を、黒雪姫がそそのかす。

「ここの親玉を倒せば、あなたが王さまよー? んんーーー?」

 

「わしが王・・・?」

グラつく小人を、他の小人が止める。

「ヘンな夢は見るな!

 ここの主を倒しても、この女がいる限り

 わしらは下僕扱いじゃぞ。」

 

腕組みしてニヤニヤしている黒雪姫を見て、我に返る小人。

「お、おお、そうじゃった。

 危ない危ない、騙されるところじゃった。」

 

 

「ふーん。

 私は、地位なんかには興味ないんだけどー。

 まあ、いいけどねー。」

 

黒雪姫は、ウサギの走って行った方向にブラブラ歩き始めた。

「とりあえず、干し肉を追いましょうよー。」

 

「うむ、早く何とかして、この女と縁を切ろう。」

小人たちは円陣を組んで、その気持ちを確認し合った。

 

王子はテーブルに飾られた花を愛でつつ、鼻歌を歌い

執事は残った食料をタッパーに詰める。

 

 


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