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黒雪姫  作者: あしゅ
20/42

黒雪姫 20

地図や文献などは、城にはあるだろうけど

一般の妖精の家にはないらしい。

 

「詳しい人とかいないんですか?」

王子の問いに、小人が答える。

「だから、賢者さまが・・・」

 

「あんな伝書バトの役割りしかしてないフクロウじゃなく

 もっと他に生き証人みたいなんはいないの?

 って訊いてるんだってば。」

えらいな言い様だが、黒雪姫の怒りももっともである。

 

「うーん、樫のじいさまなら知っとるかもしれん。」

「出た、木!」

 

メルヘンの知識係って、いっつも大木よねー

と暴言を吐く黒雪姫に、王子が感心したように同意する。

 

 

とりあえず、会いに行こうと全員で家を出る。

王子が黒雪姫に小声で訊ねた。

「小人たちの数人は、家に残しておいた方が良いんじゃないですか?

 賢者さまとバラバラに動き過ぎるのも無駄が多いでしょう?」

 

黒雪姫が驚いたように、王子の顔を見る。

「へえ、あなた、そこまで能無しの馬鹿ボンでもないのね。」

 

「ふっ・・・、己の能力をひけらかすのは下品ですしね。」

王子が髪をかき上げながら、余裕で応えているのを無視して

黒雪姫はスタスタと先へと歩いて行った。

 

「どこの国でも姫は我がままなもの。

 ふっ・・・。」

王子は憂いに満ちた笑みを浮かべながらも

女走りで黒雪姫の後を追った。

 

 

「で、どこにその樫の木が植わっているんだってー?」

叫びながら、黒雪姫が茨の藪をナタでバッサバッサと叩き切る。

離れて後ろを付いていく小人のひとりが答える。

「茨の藪を抜けて、2時間ほど歩いた先の高原らしいんじゃ。」

 

「こっから更に2時間・・・?」

黒雪姫は、茨を叩き切る手を止めた。

「てゆうかさあ、何でこの中の紅一点が力仕事をさせられてんの?」

 

「おお、すみませんでした、姫。

 実は私、こう見えても剣術が得意でして。」

王子がスッと前に出た。

 

「後はこの私にお任せを。

 この茨を瞬時に切り開いてみせます。」

王子が右手を上に左手を前に構えた。

剣はどうした。

 

 

「南 斗 水 「」 待って!!!」

黒雪姫が、慌てて静止する。

 

「いや、もういいから!

 私が手動で切るから!

 それもう既に、この前私がやった芸だから!!

 そろそろ真面目に苦情がきそうだから!!!」

言うなり、凄い勢いで茨を滅多切りし始めた。

 

「姫というのは気まぐれなもので。 ふっ・・・。」

王子は両手を上げて、ヤレヤレのポーズをした。

 

王子のこの言葉が黒雪姫に聞こえなかったのは

命拾いをした、と言えよう。

 

 

とりあえず王子以外の全員が

ムダに疲労度ゲージが上がった。

 

 


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