黒雪姫 19
「とにかく、話をまとめてみよう。」
小人の提案に、黒雪姫が異議を唱えた。
「いや、まとめるまでもなく、鏡がポイントでしょ。
ハブ女王の乱で、どっかに鏡が出てこない?」
小人たちが首をひねる。
「・・・あなたたち、ザコだから
事実とか全然知らされてないのねー。」
黒雪姫のこれ以上にない失礼な発言が
小人たちのちっちゃなハートにグサッと突き刺さった。
黒雪姫が立ち上がり、落ち込んでいる小人たちを急かす。
「ほら、どうすんの?
今回もエキストラで背後でうごめいとく?
それとも主役を張る?」
小人たちが相談をしようとすると、黒雪姫が怒鳴った。
「やりたいヤツはやればいい!
やりたくないヤツはやらなきゃいい!
今度の事は、危険もあるかも知れないから
自分の判断で決めろ!」
「・・・やらないと、ザコ扱いなんじゃろ?」
小人たちが、イジイジしながら言う。
「当たり前でしょ。
死ぬかも知れんこっちとしては、安全圏にいるヤツには
最後っ屁のひとつもかましてから
出撃したくなるってもんじゃない。
まあ、自己満足でしかないんで、そう気にしないで良いから。」
「・・・ひどいヤツじゃのお・・・。」
「じゃが、この女に好き勝手にさせたとバレたら
わしらの立場も悪くならんか?」
「てゆーかさ、嫌がっても協力してもらうしー。」
真顔でテーブルの底をガンガン蹴り上げる黒雪姫に
小人たちはゾッとさせられた。
「・・・この女、本当は魔界から来たんじゃないのか?」
未来は既に決まっている事に
絶望する小人たちと、高笑いをする黒雪姫。
そして、それをキラキラした眼差しで見つめる王子と
ウツロな目で、嫌な未来を覚悟する執事。
それぞれの思惑が、微塵も交錯しないまま
この話がどっちへ行くのか、どう言い訳をしようか
頭を抱える “舞台裏” の事は、気にせずともよろしい。
ええ、そりゃもう、1mmたりとも。