表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒雪姫  作者: あしゅ
15/42

黒雪姫 15

「では、東国の后は妖精界の何者かの手引きで出入りでき

 王子さんたちは、その巻き添えをくった、として

 このおん・・・黒雪姫は何故この森に入れたのですかい?」

 

小人のひとりが賢者に質問した。

「ううむ・・・・・。」

賢者が頭をひねっているところに、黒雪姫が更に訊く。

 

「ね、ひとつ疑問なんだけど

 その妖精の何者かが黒幕の悪者だとして

 継母をあやつって私を殺して、何の意味があるの?」

 

 

「パードゥン?」

王子が黒雪姫に話しかけた。

「あなた、東国の姫なのですか?」

 

何? こいつ、という顔をしながら黒雪姫が無視をしたので

小人たちが代わりにうなずいた。

「しかも信じられんじゃろうが、女なんじゃと!」

 

ほんに、キジも鳴かずば撃たれまいに

小人たちと黒雪姫がキーキー掴み合っているところに

執事が知った顔をしつつ、静かに言った。

 

「だったら話は簡単ですな。」

主人が主人なら、こいつも結構な主張したがりである。

 

「東国人は飛びぬけて、武力に優れた民族なのですよ。

 東国を操れる地位を手に入れれば

 人間の世界を征服するのも不可能じゃないですな。」

 

「え? そうなの?」

驚いたのは黒雪姫だけで、その場にいた他の全員は激しく納得した。

「武力・・・、うむうむ。」

「世界制服かー。」

「なるほどのお。」

 

 

「妖精界の者が、いや、どの界の者だろうと

 そんな騒ぎを起こすのは断じて許されぬ。

 妖精王さまにご相談し、何とか陰謀を止めねば!」

 

賢者が羽をバサッと広げ、飛び立って行った。

「♪ ウィンジ ブロイ フロム ジ エージアー ♪」

黒雪姫のかなり音痴な歌を、小人が怪訝そうに見る。

 

「・・・いや、何となく。」

黒雪姫は、ちょっとバツが悪そうにエヘヘと笑った。

 

 

「にしても、東国の姫君でしたか。」

王子がぶしつけに黒雪姫をジロジロ見る。

 

「北国って、他の国と国交がないですよね。

 どんなところなんですか?」

黒雪姫が、珍しく丁寧語で訊く。

 

 

「ええ、一年の3分の2は雪と氷に覆われた凍てつく大地ですが

 針葉樹に囲まれた湖に白鳥が泳ぎ

 短い夏には、それでもか弱く咲く花々と

 沈まぬ太陽が見られるのです。

 ・・・刹那の国ですよ・・・、ふっ。」

 

「ああ、そうですか。」

黒雪姫は心のない声で、それだけ言うと

スタスタと家の中へと入って行った。

 

何か、あの王子と感性が合う気がしないわ

黒雪姫は自信を持って、そう思ったが

黒雪姫の感覚も、充分に他の人とズレていた。

 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ