君を見せて。僕を見て。
白日から逃れるためのカーテンのような、腐食に震える鉄格子のような、瞳を閉じ込める乾いた手。
君を見せて、カーテンを開けて。
君を見せて、鉄格子を乗り越えて。
君を見せて、光を見せて。
衣擦れの音に絡め取られた夜を奪い返したら、飛び出そう。
少し強引な溜め息を置き土産に。
モノクロに惑わされた朝に見切りをつけたら、笑ってしまおう。
少し大袈裟な涙を置き土産に。
高く高くに居座る太陽を覗きこみ、忘れかけてる望みを焼き付けて。
深く深くに寝転ぶ月を覗きこみ、無くしかけてる欲望を奮い起たせて。
狼狽える君が見てるけど、垂れ流しの嘘は捨てていけ。
囚われた青春の一部始終を背中に載せて。
大好きな君に、瀕死の欲望の一部始終を語るために。
見境の無い捌け口求めて、拘束衣の中でもがく独り善がりな夢の人。
有害な優しさの中毒者、ひび割れた鏡に魅せられて。
有益な卑しさの中毒者、底の抜けたベッドに飛び込んで。
あと一歩、ひやりとする出来事に揺らめいて、不本意な心機一転を押し付けられたなら、どうにもならない奈落の景色。
生き生きとした戯れ合いに憧れを抱いていたなら、涙を誘う未来は捨てて行こう。
誰にも悟られない雌伏のうたた寝。
紛い物の自惚れを脱いで、君のもとへ。
月と太陽の狭間を歩くちっぽけな僕が飛び起きる。
カーテンを開けて、その手で。
鉄格子を乗り越えて、その手で。
目を覚まして、その手を叩いて。
痺れるような反響が、その手から君に伝わるように。