精神と時の部屋設定はやりすぎ問題
破綻項目No.2。
これがNo.1でも良かったんですが、これに関してはおかしいと思っている方も多そうなので。
さて、精神と時の部屋というのはようするに「時間伸張効果」の事です。
もう明らかにやばいですよね。
字面からしてすごい。いや、私が勝手に言っているだけの造語ですけど。
どういう事かと言いますと、「ゲーム内では脳波がうんぬんかんぬんで現実世界よりも長い時間が過ごせる技術」です。
VRゲームを異世界としてNPCと戯れさせたいのか、割と良く見る設定ですね。
いやー、ついに人類は手に入れましたか。
空間を支配するだけじゃ飽き足らず、時空の支配権をも科学技術の発展により獲得してしまいました。
その技術がある世界だという設定を読んで、パッと思い浮かぶのは「そんなんゲーム世界に使うだけでいいの?」です。
いや、駄目でしょう。
その技術を手に入れた人類はどうなるんでしょうか?
わざわざゲーム世界なんぞ作らなくても、現実世界とリンクさせたデバイスを置いた仮想空間でさえあればいいので、まず一般的な勉強、研究、仕事に使うだけで恐ろしいほどに効果的です。
現代に当てはめれば、人力では10年かかるほどに繰り返しが必要な研究を、スパコンで1日で出来てしまうのと同じです。
しかし、スパコンはまだ融通が効くほどの柔軟性はありません。
スパコンの処理能力で、人間の意識を手に入れたら?
この技術は、そういうとてつもない変革を起こします。
現実世界で一人の人間が使える時間というのは、等しく平等です。
この技術があれば、それは不平等になります。
違う時間の中で、どんどん知識を蓄えられる、研究を進める、仕事をこなす人々。
人類の進化とは、効率化に他なりません。
280万年前に道具を使い始めた原始人は、279万年かけて農耕を習得しました。そこからさらに9500年かけて科学を覚えた人類は、450年かけてインターネットを構築しました。
インターネットの歴史を見て、驚きませんか? まだわずか1世代前。おじいちゃんが生まれた時はインターネットは普及していないんです。
情報の伝達が高速化した今、全てが驚くほどのスピードで進化しています。それはひとえに、この「効率化」にあります。
何かの時間が短縮されれば、それだけ人は他の事に使えるようになります。
農耕のおかげで安定した食料の確保ができるようになり、狩猟の時間を減らした古代の人々のように。
その進化に必要な「時間」を、ついに手に入れてしまったとしたら。
人類の進化は今までとは比べ物にならない程に進みます。間違いなく。
そして、馬鹿らしくなりませんか? 現実に生きるのが。
自分はより長く「生きられる」のに、そうしようと思わない人間は少ないんじゃないでしょうか。別に勉強だけではなく、それこそゲームのような娯楽、余暇、スポーツなどにも有用です。
遊ぶ時間が長くなる、だからゲーム世界で1週間過ごしてもまだ明日の学校に間に合うよね!
そういう短絡的な考えでこの技術をゲーム世界に組み込んでいませんか?
でも、よーく自分がその立場になって考えてみて下さい。
嫌でしょう? その世界から離れて、現実世界に戻るのが。
勿体ないでしょう? 今この1時間をゲーム世界で使えれば2倍なのに、なんて思うはずです。
そうなると、テクノロジーを享受出来る多くの人々が、現実世界を捨てて仮想の世界だけで過ごそうと思うことでしょう。
それが出来る状況は、進化した新しい技術で、更に伸張した時間を得た人類が解決していってくれるはずです。
やがて人々は本来の世界を捨て、仮想の世界での新しい歴史を歩み始めることになるかもしれません。
実際は倫理的問題や設備生産、国家や経済格差などの壁があると思いますが、人類の目的はどうしようもなく「そこ」へ行き着くでしょう。
どんどん伸張していく時間が、無限に近い命を人々に与える事になります。
夢にまで見た、不老不死の世界へようこそ。
錬金術や医療技術の発達で手に入る賢者の石なんて怪しいものは要りません。
私達に必要なのは、安全に管理された、誰もが行ける「精神と時の部屋」です。
まあこういう事を言い始めると、そもそも脳波で別世界に行けるなら、広い空間もいらなくなって狭い社会が形成されていく……なんていう事にまで言及しなければいけないので元も子も無いといえばそれまでですが。
この項目についてはここまでにします。
大げさな時間伸張は破綻の元。用法用量をお守り下さい。