籠の中の鳥
俺が胸に抱く復讐――野心とプライド。
それは悪魔との契約により更に高まった。
傍らの悪魔が望むのはこの命と狂喜劇・・・俺の人生。
それを叶えるのは容易ではないが出来ないということでもない。
復讐を果たす為ならその位、安いものだと思う。
淡々と響く抑揚のない声。黒く高そうなスーツを着た若い男。
差し伸べられた手と契約書。全てがどうでもいいことだった。
彼が俺を利用しようとしていたことにも気付いていたさ。
それでも現状が覆るなら、その手を取るのは当然だろう?
結果として彼は俺を気に入ったようで契約書を破棄した。
それは契約が消滅したということではない。
互いが見えない鎖で牽制し合っている――そんな関係だ。
俺は彼に全てを懸けたし、彼はその誇りを懸けて契約を全うしなければならない。
一歩も譲らぬ争いで見えない鎖も弾けそうだ。
「復讐はお前の手で成し遂げるんだ。その為の手段は用意してやる」
「へぇ~、優しいね。どんな策略?」
「まずはお前の敵を教えて貰おうか。敵を知らねばならない」
「不帰の檻の看守、二人組」
「不帰の檻だと。生還したものはいないと聞いているが?」
「まぁそうだね。俺が初めてかもしれない」
「一体どうやって脱出した?」
「少し頭を使ったのさ。あと能力もね」
『不帰の檻』その名の通り帰還者がたった一人もいないことからついた名称。
厳しすぎる監視に、光る囚人の目。幾重にも重なる鉄格子と錠前。
そんな中、救いだったのは牢屋が一人用だったことと隣の様子が窺えたこと。
そして俺にはある能力があった。
それらが知れ渡っていないことは幸運といえる。




