表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/5

第5回「ふわとろ~ん♪」

「お兄ちゃん! 学校でスケベしまくって村八分にされたってホント?」

「誰から聞いたんだ、誰から」

「あのお姉ちゃんから」

「やあ、ナイトメア。今日から私も君の家で住むことにしたよ」

「すごいよね! 女神様なんだって!」

「ムールナよ……。お前、俺の人生を変えただけじゃなくて、妹の人生まで変えたいのか」


 ふわとろ~ん♪


「ちなみにだが、私はすごく料理が上手い」

「何なりとお申し付けください、ムールナ様」

「お兄ちゃんの変わり身早い!」

「男は胃袋とは言うが、即落ちしすぎだろう……」

「いや、美織の料理のバリエーションって限られてるから。おいしいんだけどね」

「ひどいなあ。これでもいろいろ考えながら作ってるんだよ?」

「反抗期にもかかわらず、健気に兄に尽くしてくれてるのは感謝してるさ。だが、食欲と性欲は正直なんだ。そういうわけで、このふわとろオムライスをいただく」


 ガッガッガッガッ!


「うめえ! 今まさにジェリコのラッパが鳴った気がする」

「世界が滅ぶだろうが」

「私もムールナさんに教えてもらわなくちゃなぁ」

「お前の場合、発育が良くなる方法を教えてもらった方がいいな」

「お兄ちゃんスケベだから、それは遠慮しておこうかな」

「地味にショックだわ……妹からそんな目で見られていたなんて。これも全部ナイトメアとかに改名させたやつのせいだ」

「いや、どう考えても君の日頃の行いのせいだろう」


 ピンポンピンポン♪


「ん、誰だこんな朝っぱらから」

「私が出てくるね」

「頼むわ」

「君と彼女は同じ両親から生まれたのか? あまりにも出来に差がありすぎるようだが」

「そのあたりはいろいろ理由ありでね。話せば長いことになる」

「寝物語にはもってこいってところか」

「聞いてて気持ちの良くなる話じゃないな。夢見も悪くなるぜ」

「それは嬉しくない。寝る時は何よりも自由でなければ駄目だ。緩やかな死の体験……それこそが眠りなのだからな」


 バタン。


「うらやましいよ。俺はどうもゆっくり眠れたことがない。記憶にある中でも、安眠や快眠って経験をした覚えがない。一度ぐっすりと眠ってみたいもんだが、案外死ぬ時だったりしてな」

「そういう時にこそ擬音の力を使え! 『スヤァ……』や『むにゅふわ……』といった力を発動することで、天上の心地で眠ることができる」

「なるほどな、その発想はなかった。今夜ぜひ使ってみよう」

「それに、君は一度死んだだろう。『死に心地』は良かったか?」

「どうかな。何もかもふわっと消えた感じだったし。あれが安眠ってやつなら、期待してたほどじゃなさそうだ。……にしても、美織のやつ、遅いな」

「しつこい勧誘でも来てるのかも」

「見に行く」


 ドォォォォン!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ