表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/5

第1回「キンキンキンキン!」

「私は擬音の女神、ムールナである」

「祇園の女神! すごい! お祭りっぽい! おっぱいもすごい!」

「祇園祭の祇園ではない。オノマトペの方の祇園だ。あとセクハラ減点は記録しておくからな」

「で、その女神様が俺に何用で」

「詳細は省くが、あと五秒後に君は死ぬ」

「五秒って」


 キキィーッ! ドカーン!


「事故死おめでとう」

「めでたくない! マジで死んだ!」

「そこで、私は君にこの刀を与える。君はこれから死神として働くのだ」

「何だか各方面から怒られそうな設定だ!」

「ちなみに、その刀の名前はエクスカリバーという」

「刀なのに?」

「エクスカリバー」

「せめてエクスカリパーにしては」

「パクリじゃないか」


 ガビーン!


「ここまでやっといて、オリジナルと言い張るおつもり?」

「おつもり」

「熱盛ィ!」

「話を聞け」

「はい」

「死神は農耕の神でもある。命を刈り取るのが君の役目だ」

「うん、相変わらず掟破りの地元走りって感じのところを突いてきますね」

「もちろん、貧弱現代ボーイの君程度がいきなりシャンシャカ動けるとも思っていない。よって、君には特殊能力を与えている。それが『五秒後の世界』だ」


 むむむむぅ~ん。


「それ、村上龍ですよね? あれは『五分後の世界』だけど」

「君はあらゆる事物に対して、五秒間だけ先行して行動することができる」

「本当だ! おっぱい揉めた!」

「死ね」


 ズダダダダダダダ!


「俺は蜂の巣になった。スイーツ(笑)」

「女神の乳を揉んだのに存在が残っているだけありがたいと思え」

「そういや、なんで俺は生きているんだ?」

「死んでいるんだよ。正確には、君は生死の狭間に漂う存在となった」

「精子の狭間……」

「口を縫い合わせてキャベツで巻いてコトコト煮てやろうか」

「すみませんでした」

「これが君の二つ目の能力、『ギャグ時空』だ」

「なんのひねりもねぇ」

「ただし、この能力には欠点がある。君がシリアスに行動すればするほど、傷の回復が遅くなる。いくら頑丈な死神といえど、死にすぎたら死ぬ」

「死ぬって概念がどんどん安くなっていくなあ」


 はてな?


「そういえば、俺はこれから何をすればいいんです」

「今、この世界には危機が近づいている。君はその恐るべき力から、仲間たちを守るんだ」

「あのー」

「どうした」

「俺、わりと友達いないっていうか、ぼっちなんですが」

「わかった。いいことを教えてやろう。命の危機を救えば、どんなやつも一発で友達になれる」

「もっと平和的なやり方はないんですかね」

「見つけたぞ、ナイトメア白水! 死神法違反で、お前を斬る!」

「なんかいきなり女の子に絡まれたんですが」

「あれは君を殺しに来たんだ。返り討ちにしてやるといい」

「そう言われても」

「君には擬音の力を与えている。より強い擬音を思い浮かべて、バッサバッサと斬り倒すんだ」


 キンキンキンキン!


「ぐうっ、防戦一方!」

「ナイトメア白水、お前のようなやつが生きていちゃいけないんだよ!」

「その地方のプロレスラーみたいな名前やめてくれない?」

「ああ、私が歴史を改変したから、今、君は戸籍でもナイトメア白水になっているぞ」

「ひでぇ」


 キンキンキンキン!


「絶体絶命だ! こんな可愛い子を斬るなんて、俺にはできない」

「擬音だ! どんな時も擬音で切り抜けろ!」

「そうか……よし!」


 むにゅ~ん♪

 コリコリコリコリ!


「うへはーっ!」

「ふう、謎の少女の弱点が両乳首こねくり回しで助かったぜ」

「よくやった。これで私が教えることは何もない」


 すぅっ……。


「師匠! 体が消えてますよ!」

「私はいつでもお前のことを見守っているぞ……」

「あっ、ちょっと濃くなった! 消えるなら消えてください、師匠!」

「まあ、私は神だから、ちょっと演出しただけなんだよね」

「こいつぅ~」

「ハハハハ、神にツッコミとはいい度胸だ」


 シュビビビビビビビ!


「ぐえー!」

「だが、いい傾向だ。ナイトメア白水よ、今こそ旅立て。たまたま五秒後に死ぬ君を見かけて、興味本位で能力を与えた私の恩を忘れるでないぞ」

「改名された上におかしな争いに巻き込まれた……。俺はあんたを恨む! 今日から俺は、復讐の鬼ナイトメア白水だ!」


 キンキンキンキン!


「今の君では私には勝てんよ」


 ズバビギューン!


「斬りながらビームライフルになるなんて聞いてねえよ……」

「一度は許そう。だが、二度目はないぞ。それでもいいのなら、這い上がってくるといい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ