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Flow Light フローライト ~扉の向こうの物騒な世界~  作者: 久河央理
第2話 bitter determination ~苦難の決断~
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布団は聖域


       **



 一つ目の店に着いた。布団屋だ。


 店内のどこを見ても、ふわふわっとした布団が並んでいる。素晴らしく聖域だ。

「あぁ、探偵事務所さん! また新しい布団ですかー?」

「またとか言うな」

「ははは、すいません」

 店長の札を着けた男性も、布団のように軽いノリで話しかけてきた。その顔は胡散臭い雰囲気が漂っている。布団屋というか、やり手の商売人らしい。

「どれにします? いつもの型ですか?」

「ああ、それでいい」

「はーい。ささ、今回の布団はあなたのです? ご案内しますので、どうぞこちらに」


 返事をするまでもなく、背中を押されて案内される。やがて、一つの布団セットの前へと辿り着いた。

「このタイプですねぇ、何色がいいですかー?」

「えーえっと、仁さんは何色を使ってらっしゃいます……」

 被らないように訊ねようとしたところ、仁の姿は遙か遠くの方にあった。全く聞こえていない。というか、外だ。たばこを吸っている。

「あぁ、探偵事務所さんはですねぇ……この薄い紫のものと灰色のものと、こっちの薄い緑のものを買ってますねぇ」

 大きいファイルをゴソゴソと捲り、店長が説明してくれる。わざわざ記録してあるのか。

「ああ、これですか? いやぁ、私、記録とかメモとかしたい性分でして」

「は、はぁ」


 聞いてないのですが。一紀は店長に硬い笑顔を向けた。


「で、何色にします? 色の表はこちらですよ」

「あ、じゃあ、茶色にします。この薄いの」

「茶色のセットでいいですかね? では、あちらでお待ちください」

「はい」


 示された場所に向かうと、既に仁が座って待っていた。一紀の姿を見つけるとスッと立ち上がる。

「決まったか?」

「はい」

「なら良かった。先に外行ってろ、もう終わる。荷物は俺が持ってくから気にすんな」

「分かりました」


 笑顔を全く崩さない店長とのやりとりを終え、仁が布団を片手に出てきた。さすがだ。軸を崩さないままに、軽々と持っている。

「よし、次の店行くぞ」

「はい!」

 荷物をトランクに入れ、車に乗り込む。


 今度もまたシートベルトは発進に負けた。

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