漆黒
今回は漆黒について話します。小説でも結構な確率で登場する単語ですね。特に黒髪の登場人物がいるときに、よく見ます。
意味は純粋または完全な黒です。純白と対になっています。より具体的に話すなら、漆を塗ったように艶のある黒――略して漆黒ですかね。
画像検索をしていただけると分かる通り、とんでもなく黒いです。通常の黒が灰色に見えるレベルですよ。カラーコードではなく、文学的な表現で考えると、暗黒色・漆黒・鉄黒・黒の順で暗いそうです。いわく、漆黒は艶を感じられるだけ明るいほうで、本物の黒は光すらないからだそうです。要するに漆黒は黒いと分かるものの、暗黒色はそもそも光がなくてなにも見えないとのこと。彩度・明度を上げていただければ分かると思いますが、暗黒色は黄色がかっていて、漆黒は青紫がかっていた(すみれ色)はずです。そもそもカラーコードが複数存在するため、正確なところは不明ですが。
とにもかくにも、純粋な黒とあるため、暗黒色と似た意味として使っても問題はないでしょう。色の持っている意味も被っているような気がします。
前置きはさておき、考察へ移りましょう。
まず、漆黒というと皆さんはなにを思い浮かべますか。私は黒髪と夜の闇ですかね。検索をかけたところ、『夜空』『闇』『宇宙』『黒髪』『黒目』『黒い翼』『マント』『ドレス』『剣』『鎧』『騎士』『修道服』『大地』『霧』と――異様なまでのバリエーションを誇っていました。おおかた、普通に『黒』と表現するより『漆黒』と書いたほうがかっこいいからでしょう。
実際の作品で思い浮かべたのは『デュラララ!!』の首なしライダーですかね。セルティ・ストゥルルソンも影を武器としており、作中でかなり強調されています。そこを考えると、彼女にはぴったりの色名ではないでしょうか。一巻のカラーで見たとき、『この濃さと色合いでいいのか』と感じたのは内緒ですが。
私が思うに、基本となるイメージは黒と同じです。漆黒の場合ははそれにくわえて、『完全』『純粋』『艶のある』『光沢のある』『濃密』といったイメージを強調しているという印象でしょうか。だから、美しく艶のある黒髪の描写に漆黒が用いられるのでしょう。
『漆を塗ったように』といわれる割に、黒い食器の描写に使われていないのが意外です。そのあたりは『呂色』にまかせているのでしょうか。『漆器のような漆黒』という形でなら、見かけるのですが。
話は戻して、漆黒という色名は非常に便利です。二文字だけでどのような色かを悟らせ、想像をふくらませられます。
一方、夜空とはいっても実際に連想する空の色が黒とは限りませんよね。私は昔から紺色のイメージが強いです。小説でいうなら、濃紺でしょうか。幻想的な風景は、そちらの色がよく用いられています。
漆黒の場合はそれよりもかなり深い闇を指します。かすかに残る青すら感じられない闇とは、いったいどれほどのものなのでしょうか。星すら見えない空は暗すぎて、恐ろしいですよね。新月の夜と言えば、いいでしょうか。ポケモンのダークライが現れそうな暗さです。
もっとも、デフォルトで夜空が青かと言われると、違います。私のところは窓越しだと真っ黒です。午後九時ごろに外を見ても、完全なる暗黒に染まっていて、なにも見えません。外に出た場合、曇りだと灰色がかっていましたね。星が出ている夜の色は存外、黒くはありません。
それから、宝石でいえばオニキスの色として使われていますね。私が用いたときは、そのキャラクターには合わなかったため『オニキスのようには見えない』という形にしました。
オニキスに関しては下のほうで。
というわけで、まとめます。創作のネタ帳から一部を引っ張ってまいりました。
『艷やか』:『光沢のある』『なめらか』『メタリック』
『重苦しい』:『深刻』『お先真っ暗』『解放されない』『悩む』『呪縛』
『不吉』:『縁起でもない』『暗示する』『異様』『ジンクス』『大凶』『黒い影』『胸騒ぎ』
『オニキス』:『邪念を払う』『迷いのない』『曇りのない』『忍耐力』『強い信念』『強い意思』『周りに流されない』『成功』
『完全』『純粋』『濃密』『真夜中』『闇』『不穏』
あとは……
『漆器』『インク』『墨』『ブラックホール』など。
闇が一番連想させやすいと思います。
余談ですが、情緒的という項目もあるにはありました。実際にその通りだと思うけれど、掘り下げるとこれじゃない感が出たため、カットしました。