飴色
「飴色になるまで炒めて」と、よく言いますよね。私は滅多にまともな料理を作らないため、そういうのには縁がないのですが。とにかく、そんなイメージがあります。食材の色の指標になっているあたりは、狐色と似た印象を受けますね。
さて、この色名、黄褐色の分類に入るそうです。深みのある橙と表されていたこともありました。濃い橙色は茶色も同義なので、この色も茶色の関係者に分類しましょうか。
ちなみにこの飴色、元は水飴の色です。水飴といっても透明な、アレではありません。デンプンに麦芽の酵素を加えて作った、昔の甘味料です。なんと、紀元前にはすでにあったとのこと。
こう書くと、妙に貧相な代物のように思えてきます。なんといいますか、砂糖が使えないから代替品として、別の材料を使っているあたり、そうですね。
実際の味はともかく、貴重な栄養源の一つであったようですが。そもそも甘いものが貴重なのですよね。現代でもケーキは贅沢品という印象を受けます。古来の人から見れば、より特別なもののように見えたことでしょう。
個人的には現代でいうべっこうあめを思い浮かべます。アレは砂糖を煮詰めて作るものですよね。プリンのカラメルを作るときと似た工程です。
色は琥珀色でどちらも似たものでしょうが、砂糖を使っている分、こちらのほうが豪華な印象がありますね。
それはともかくとして、飴色は時間の積み重ねを象徴します。
使い込んだ革製品や木製の家具の、艶のある感じ――その表現に用います。
飴色と書くだけでそれがどのような見た目をしているか、あっさりと想像できますよね。料理をするときに頻繁に目にする色名ですので、それだけ身近に感じます。文章に出すときも、きちんと伝わるでしょう。
ひとまず、まとめます。
飴色とは古来の甘味料です。このころは固形ではなく、液体でした。艶があり、琥珀色に透き通っています。半透明ともいいますかね。時間の積み重ねを表し、使い込まれた味のある雰囲気を強く、印象づける色です。
以上。
以下、蛇足。
上記の言葉を補強するように、派生させた言葉を羅列します。
《艶》:磨き抜かれた、照り、光沢、なめらか、すべすべ
《古来》:安定感、古風、アンティーク、ビンテージ、老舗、成熟、古めかしい
《使い込まれた》:過去のものになる、長く使われた、レトロ、渋み、老朽化、時代がかった、由緒ある
《透き通る》:透過、濁りのない、ピュア、クリア、透明感、曇りのない、涼しげ
《甘味料》:口当たりのよい、褒美、蝕む、とろける、美味しい、贅沢、依存性の高い、誘惑
薄っすらと《古代》という名のベールをまとったような、そんな風に見えますね。
ちなみに飴色という言葉を擬人化させたようなキャラを出すと――
『異性を誘惑する、古風な女』になります。




