茜色
茜色は赤い根の染料で染めた、沈んだ赤色です。漢字は草冠に西で、成り立ちに関しては「夕焼け色の染料を取る植物」と、「根が分散している植物」の二種類がありました。どちらも、元となった茜という植物に関して表していますね。
色名については、かなりメジャーだと思います。歌のタイトルや歌詞に多く出てくる印象があります。女性の名前にも、よく使われていますね。響きも女性的です。
文章に関しては、上にもあるように夕暮れの色の形容として多く使われています。用例.jpでも、「茜色の空」「茜色に染まり」「茜色の雲」「茜色の炎」「茜色に輝く」といった、夕方に関係する表現が目立ちました。
もはや定番ですね。王道すぎて使いづらいまであります。
とにもかくにも、茜色の象徴は夕暮れ・夕方・夕焼け・夕日――もはや、説明不要ですね。さらに掘り下げるとなると夕焼けに関するイメージから調べていく必要があります。
まず、夕焼けとは「晴れた日の夕刻に、西の空が赤く染まった様子」を表す言葉です。重要なのは『晴れた』です。くわえて「夕焼けの翌日は晴れ」ということわざもあります。そこそこ、前向きな意味を持つ言葉、および色なのではないでしょうか。
とはいえ、夕日といえば沈むものですよね。色自体が沈んだ赤とも言い表せられますし、同じ茜染めの緋色と比べるとこちらは暗めです。
赤にしては控え目で根暗なイメージになってしまいますね。その上、夕暮れを意味する黄昏も、「全盛期を過ぎて衰えるころ」と比喩します。夕焼けのあとには夜になってしまうこともあって、不吉の前触れにも使えそうです。
とにもかくにも、Wikipediaいわくメタファーとしての夕焼けは次のような言葉を意味するとのこと。
「儚さ」「切なさ」「悲しさ」「寂しさ」「別れ」「衰退や没落」「老い」「近づく死」
どことなく、哀愁を感じさせる単語が並びましたね。
私も、茜空に関して印象に残っているのは「青春」と「別れ」という組み合わせです。なぜだか、夏の終わりを連想してしまうのです。
ほかには、「郷愁」「一日の終わり」「安息」の象徴でもあります。
これらの単語――特に後半の二つといえば「放課後」「帰宅」ですね。
学生時代、秋から冬にかけては、ちょうど通学路を歩く時間帯が夕焼けと重なります。そのころによく見た赤く鮮やかな光景は今も記憶に刻み込まれています。
また、秋は夕焼けが綺麗に見えるそうです。夕焼けは夏の季語ですが、茜空といえば赤トンボのイメージもあって、秋という印象も強いのかもしれませんね。
さて、夕焼けに関する話はまだまだ続きます。次は、夢占いに関してです。夢占いにおいて夕焼けとは、「ゆるやかな停止」「結末」を意味するそうです。さまざまなサイトから象徴となる語を引っ張って、こちらに貼り付けます。ザッと。
くつろいだ状態。穏やか。平穏。未練。気持ちの落ち込み。別れ。終末。有終の美。一区切り。精神的な成長(夕焼けと海)。転機・変化の兆し(雨上がりからの夕焼け)
おおむねですが、上に書かれた内容と似たようなものですね。その中でも、「夕焼けの翌日は晴れる」ことと同じように、明日はもっとよい日になるだろうといった言葉が複数見られました。夕焼けの様子次第ですが、進展・幸運といった象徴も間違いではないのでしょう。
長くなりましたが、まとめるとこのような感じになります。
「夕刻」「夕焼け」「夕映え」「光り輝く」「照る」「夕日」「沈む」「薄暗い」「儚さ」「切なさ」「悲しさ」「寂しさ」「郷愁」「別れ」「衰退」「老い」「終末」「有終の美」「一区切り」「達成感」「充実感」「精神的な成長」「転機・変化の兆し」「穏やか」「暖かい」
余談ですが、染料となる植物のほうの茜は英語ではマダーと呼ばれています。西洋茜を用いて染色した場合は、ローズマダーといいます。
こちらは茜色よりも濃くて、紫色がかっているようです。
英名、または属名の学名をルビア(ラテン語の赤が語源)といいます。マダーの上についているローズはバラを指すものですが、この場合は赤を意味するようですね。
ローズマダーに関しては光沢がある・破壊的・ロマンティック・鮮明といった印象を人に与えるようです。
もっと掘り下げてもいいのですが、あまりにも資料が少ないため、今回は保留とさせていただきます。
話は変わりまして、茜の花言葉に関して。
「私を思って」「媚」「誹謗」「傷」「不信」
といった言葉があります。
マイナスイメージの単語、多すぎませんかね……。