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ポピーレッド

 皆さんは、ポピーという花を知っていますか? 名前だけなら聞いたことがあったり、「ああいう感じかな」と想像はできますかね。しかし、具体的にどのような花かと聞かれると、答えるのは難しいかもしれません。

 まず、ポピーとはヒナゲシの別名です。きれいな響きをしていますね。ポピーがパ行を用いていることもあってポップ・弾ける感じなのに対して、こちらは雅やかです。

 とはいえ、ヒナゲシと言われてもよく分からないという方もいますよね。正直、マイナーとまでは言わないまでも、バラ・ユリと比べると知名度で劣る気がします。画像を貼ったとしても、しっくりこないでしょう。

 あえて文章で見た目や概要を話すのなら……どうだろうか。


 和紙のような橙がかった赤色の花びらが四枚ついている。大きさは控え目で、やや素朴でありながら、どことなく華やかさも感じる。珍しい花ではなく、繁殖力も強い。野原に自生および群生している。


 漢字では、雛芥子と書きます。雛は「小さくてかわいい」という意味です。花自体がケシ科に属し、その中では小さめであることからつけられました。

 ほかには、虞美人(ぐびじん)草なんて呼び方もあります。

 由来は中国です。項羽(こうう)という名の武将の愛人(中国語では妻や恋人)でした。項羽と劉邦の戦い(楚漢戦争)で、最期は足手まといにならないように自害します。四面楚歌の語源ですね。死後、彼女は埋葬されて、そばには赤い花が咲きました。それがヒナゲシです。

 一言で言うと悲劇的といいますか、悲恋といいますか。白状すると、私好みのエピソードです。


 また、花言葉は以下のようなものがあります。


「恋の予感」「いたわり」「思いやり」「陽気で優しい」「忍耐」「妄想」「豊穣」


 赤い花びらの場合は、「慰め」「感謝」も追加できます。

 あとは、「七色の恋」「心の平静」「乙女らしさ」「別れの悲しみ」「休息」も、そうですね。


 由来は「豊穣」の神が花をつんで自分の心を癒やして「慰め」たり、「眠り」の神が豊穣の神の苦しみを軽くするために(催眠作用を持つ)花を用いて眠らせたり――ですかね。

 ただし、後者の「眠り」は白いヒナゲシおよびポピーの話です。ポピーレッドという色名を使うさいは、通じない花言葉かもしれません。


 とにもかくにも、「ポピーレッド」として使う場合のイメージ・象徴を羅列すると、下のようになります。


「ありふれた」「積極的」「陽気」「フレッシュ」「瑞々しい」「若々しい」「ポップ」「柔らかい」「華やか」「恋」「思いやり」「忍耐」「慰め」「感謝」「小さい」「かわいらしい」


 ポピーという語感から、明るいイメージを連想できます。

 ただし、このポピー――慰霊の象徴です。なんでも、荒れ果てた土地であったとしても、戦争の後には赤い花がたくさん咲くのだそう。

 元よりポピーはケシ科の総称です。麻薬に用いるケシもポピーと呼べます。表面上は確かに明るくて陽気・のどかではあるものの、どこかほの暗い……そんな印象ですかね。


 形容は、リップの色が多いのでしょうか。花自体が薄い和紙に似て、造花のようでもあるため、ドレスの色に当てはめるのもよいかもしれません。ヒナゲシの逸話も合わせると、やはり女性的ですね。花全般に言えることですが。




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