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#2 家族

 まず、ここ数日間、ここに住んでみてわかった事を纏めてみよう。

 まず1つ目、ここは異世界であること。

 2つ目、俺は今、中山祐也(29)ではなくレイ=グラント(4)であること、そしてレイの中に俺の自我が芽生えた理由は家の中で転けて頭を打った事が理由だということ。

 3つ目、グラント家は割と名の知れた鍛冶の名家だということ。

 4つ目、俺はその家の末っ子だということ。

 5つ目、この世界には“魔法”があること

 こんなものだろうか。

 魔法が存在しているということを知ったときは心が躍った、しかし、今の俺の年齢では圧倒的に魔力が足りず、出せるとしてもマッチ程度の小さな火だけだ。

う~ん、世知辛い

 魔力量は魔法の鍛練を積めば増えるそうなので、これから夜には、魔法の鍛練をしようと思う。


 「レイ~? 晩ごはんの時間よ~」

 「うん! 今いくよ!」


 今、俺を呼んだのは母親の、ククリ=グラントだ。

 今年で37歳になるにも関わらず見た目は20代前半という、いわゆる美魔女という奴だ、しかも毎日晩ごはんの時間が一定で、これまで一分も遅れたことはないという、ちょっとした化物だ。

 大広間に出るとそこには、長男のニム=グラントを除いた、家族全員が揃っていた。

 ニム兄さんはもうすでに、王国の鍛冶職人として働いているらしく、まだ見たことがない。

 ここで、家族の紹介をしていこう

 次男のルル=グラント、俺よりも八つ上のお兄さんだ、陽気な性格でへらへらしているが、鍛冶の手際は素晴らしく見ていて惚れ惚れするほどだ。

 長女のミサ=グラント、ルル兄さんより二つ歳が上で、いつもへらへらしているルル兄さんよくを注意しているしっかりもののお姉さんだ、ちょっと俺に甘い。

 そして、現グラント家当主、つまり父親のレーダス=グラントだ、父さんは絵に描いたような厳格な父親で怒ると恐ろしいほど怖い、母さんが何故父さんと結婚したのか謎な位だ、父さんの作る武器は武器として使われるのではなく、貴族の家に飾るような装飾品として使われるらしい…それは武器と言って良いのだろうかと疑問に思ったが、それは愚問というものだろう。


 そうして、俺は席に着く


 「一分の遅刻だ、レイ」

 「すみません父さん、少し部屋で考え事をしていました、以後気を付けます」

 「うむ、それならば良い」


 そこでやっと緊張の空気が途切れる

 はぁ、と胸を撫で下ろし、料理を食べる前に家族全員で祈りを捧げる。


 「我らに恵みを与えし、尊き神よ、感謝します」

 「「「「我らに恵みを与えし、尊き神よ、感謝します」」」」


 今日は牛肉のビーフシチュー、パン、サラダだった。

 母さんの作る料理は本当に美味しい、どこかの漫画なら食べた瞬間、服が破れることだろう。

 しかし…そんな母さんの料理にも足りないものがある、それは醤油の味だ。

 この世界に来て、醤油を一滴たりとも体の中に取り込んでいない…凄く何か足りない感じがする…

 そんなこんなで食事が終わり、もう一度祈りを捧げる。


 「今日も良い食事をありがとう、尊き神よ、感謝します」

 「「「「今日も良い食事をありがとう、尊き神よ、感謝します」」」」


 そして、それぞれ席を立ち各々の部屋へと戻っていく、これがグラント家の晩ごはんだ。

 日本の晩ごはんに比べると、会話も少ないのでとても冷たい感じがするが、俺にとってはまだ暖かい空気である、高校の時…一人で食べた便所メシ…親が忙しくほぼ家に居なかったので一人で食べた晩ごはん、そして大人になり部屋で食べたボッチメシ…思い出しただけで吐き気がしそうだ った。


 部屋に入り、ベッドに寝転がる。

 同室のルル兄さんはきっと工房だろう。


 「ふぁ~ぁ…眠たいなぁ…もう今日は水浴びして、魔法の訓練して寝よ…」

 そうして、その日は幕を閉じたのだった

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