第7話
「よーしみんなー!!用意は出来たかー!」
公爵の言葉にみんながおー、と手を挙げる。
今日は待ちに待った家族旅行という名の視察旅行です。
僕は、初めての馬車で楽しみです。
「お父さんとお母さんは頑張った。普段レッツ倹約生活をしている人間にとって贅沢をしました!なんとこの馬車は最高級の馬と最高級の素材を使った悪路も平気⭐︎揺れない車体にしたんです!!しかも馭者も腕がいい人間を採用しました!!」
お父様とお母様はハイタッチをしていっえーいと拍手してる。
後ろに立ってる使用人達苦笑いしてます。
でも、僕たちは今日来るのを楽しみにしていたのです。
家族旅行…。しかも来月は初、おじいさま、おばあさまに会いに行くのです。
ということで、メルハート家一家初の旅行は、お父様もつい最近まで知らなかった、海辺の町へ行きます。
そうそう、この数ヶ月間領地内、一気に人口増加をたどってます。
おじいさまとおばあさまたちが移住するために、腕のいい大工やらが家族で移住していたりしているのです。あとはお医者様とか、教師とか、お父様とお母様が名前を見た瞬間。うわ!!王族ガチでチートだわ!!とつぶやいていました。
この機会に、獣人が住む町、ジャパニスという地区の開発をするために都市開発企業を
作り、そっちの方も順調に進んでます。
お父様はジャパニスの方には自分のヤマト魂が叫んでると行ってかなり力が入ってます。
お母様は、お父様が提案してくるのを、算盤(領民の職人たちに作ってもらった)を弾いて、資金の算出や支出を計算して、受け入れや駄目出しをしていた。
そして、肝心なところは、僕たちを交えて突き詰めて行って一つの街の形を作り出して行った。
工事が始まるのが楽しみです。
しかし、お父様もお母様も前世でどんな仕事をしてきたのかわからないけど、ただわかるのは、相当やり手だったのではないかということ。
お兄様も、お姉さまも、二人の姿を見ていたら、勉強を頑張ろうと思うと行っていました。
僕も、自分ができる道を探してその道を頑張りたいと思います。
でも、お父様もお母様もあまり無理しないで欲しいと思います。
僕がそのことを言ったら二人がなんて優しい子なんだと泣いてしまいました。
はい、二人とも親バカです。でもそんな親が大好きです。
僕たちは馬車にのって、三時間。かろうじて道と言えるような道を突き進んでいきます。
揺れちょうどよく、僕はちょくちょく寝てしまっていて、景色があまり見えないのが残念でした。
「ああ。写真撮りたいなあ」
「私も撮りたいわあ」
「「カメラが欲しいー!」」
二人とも綺麗にはもりました。
「カメラかあ…。確か魔道具ってあるんだよな??魔法を使ってカメラ作れないかな??」
「確か…カメラって、光を集めて像を作る部品=レンズと、光を感じ取って記録する部品=フィルムやセンサ、感光材料に光をあてる時に開く部品=シャッターでできているのよね??」
「え?ミリウスごめん。全然わからない。」
「ヴィリス。私もよくわかってない。ただ、いきなりふと思いついたから」
「そうなんだ。ただ、光が関係しているということだよな。」
「そうよね…。
「あのう、おねーしゃま、おにーしゃま…。」
僕はおずおずと手を出して聞きました。
「マホー、あゆんでしゅか??」
「フィリス。ごめんねそっちのけで話して。そうよ、あるの。メルハート家には極力魔力が少ないから問題なのだけど、大抵の人間は強いか弱いかは別として魔法があるのよ。私は、魔法のメカニズムを少しでも多く知って、魔道具を作るのが夢なのよ!理論的には空を飛ぶことができるから、飛行機を作るのもできるはずなのよ。」
「あ?夢を語っちゃうか??俺はあれだな。とにかく、自動車や汽車を作りたい!
このまま領地改革すると、そういう技術者が入ってくるだろ?そして、メルハートをすべて始まりの場所にしたいんだよ。情報や流行や始まりがあるだろ?俺はメルハート家をそういうものの始まりの土地にしたい。なんていうか?実験都市みたいな感じにしたい。」
お兄様は鼻の頭を恥ずかしそうに掻きながらそう語ってくれました。
「フィリシュもフィリシュもがんばゆのー」
僕は二人の話を聞いていたら、とても興奮してきて、手を上げて馬車の中で飛び跳ねていたら、お父様とお母様は僕の体を押さえて膝に座らせました。
「俺たちも頑張らないとな!!」
「そうですわね。あなた…。」
((子供達の成長が早すぎる。しかもなんでこんなにいい子なんだ。お父さんとお母さんは寂しいです))
僕の頭を撫でながら二人は密かにため息をつきました。
??何があったのですかね??
そして景色がいいところに出たので、料理人特製ピクニックセットを出して、馬車を止めてそこにシートを敷いてからピクニックを楽しみました。
料理人さんはいつも美味しい料理を作ってくれるのですよー。しかもどういうわけか、ちゃんと旬の物や王都の流行のスイーツをマスターしてきたりしてつくってくれるのです
「しかし、ここの領地は本当に緑が多いんだが、景色が綺麗なんだよな。
近くに、湖とかあるし、測量士を雇って地図を作りたいな。ここ、意外と潜在能力が秘めてる土地かもしれないな。」
「そうですわね!やっぱり最初の考えの観光都市化させるのが一番かもしれませんわね。」
「お父様、お母様。ここ草がたくさん落ちていてサクサクと音がしてとても気持ちいです。」
僕とお兄様とお姉さまは三人で近くの草を踏んだり、綺麗な色の落ち葉や木の実を見つけたりして小一時間ほど楽しみました。
「あまり遠くへ行ってはダメだぞー」
あ!お父様お母様に膝枕してもらってます。
いいなあ。家族旅行。これだけで幸せと感じてしまいますよ。
ピクニックセットを片してから、また二時間ほど馬車で揺られました。
こういう時に思うのは、現代日本は素晴らしいと思ってしまったのもありました。
飛行機も、電車も、車もあった現代社会。
でも、こういう不便さも気持ちがいいなあとも思ってしまいました。
海辺の町につきました。
住んでいる人間はまばらでしたが、ちゃんといました。そして領主一家が来たことを驚いてました。
お父様はその町の長の人に生活の不便さとか様々なことを聞いてました。
最初は驚いていた長でしたが、すぐに打ち解け、お父様とお話をしていたみたいです。
こちらは昔から漁で生活をしていたみたいで、みんな漁師みたいでした。
そして…空気が温暖でかつ、海がとても綺麗でした!!
お父様とお母様は街を見たり海を見たりしてどこか感慨深い表情をしていました。
小さいながらの泊まるところがあり、そこで、私たち家族は止まりました。
「温泉が欲しいよな。」
「ここ。海辺のリゾートにしたら最高ですわよね。」
「ああ。明日、長と話してみようと思う。最近はここの街を閉じることになりそうだと落ち込んでいた。ここは元々海辺だったこともあり少しは栄えていたこともあったらしいのだが、最近は人の足が途絶える一方らしい。」
「領民を幸せにしないとな。」
お父様とお母様は二人で肩たたきをし合いながら、そう話していました。
温泉、確かに欲しいです。
ここ、海辺のリゾートにして別荘立てたら、素敵ですよね。
「べっそう」
僕がポツリとつぶやいた言葉を家族は聞き逃しませんでした。
「別荘か!それいいな。裕福な庶民が買えるレベルで売り出すといいよな。
別荘とかは貴族のものだけではないし。」
「でも、お父様、ジャパニスのこともまだですし、いろいろ着手したら、回らなくなりませんか?」
「ミリウスに賛成ですわ。少しはジャパニスのことが落ち着いてから、こっちの方を着手した方が安全ですわ。ジャパニスの方も、どうなるかわからないですし、ある程度の地税が入らないとやっぱりうまくいかないと思いますわ。」
「そうだよな。地税とか高く設定しているからな。」
「そうですわ。ただ、領民に還元するということですので、最初は戸惑うかと思いますが、納得はしてくれるはずですわ。」
そう、ジャパニスの方では地税(住んでいる土地に税をかけて、年間ごとに税を徴収する領地経営の一つ。)が他のどの領地より、約3割高い。その代わり、学校や医者などの福祉面は無料というのが売りの一つにしている。
ここの土地も、すごく魅力的だが、今はとにかく最初に手をつけたジャパニスの方をうまくいかせたい。
結果が出たら、次はここの土地だ。
それまでは、ここに住んでいる領民たちを絶対に守るとメルハート公爵は決めた。
メルハート公爵家が最初に行った海辺の町シフィルへ行った時に家族旅行と、家族間の夢の話は、のちに大きな結果を残している。
ネヴィスと、ミリウス兄妹の二人がいなかったら、近代化がもう200年ほど遅れていたであろうとされるのが歴史家の認識である。
ネヴィスは生涯を車、列車の開発に取り組み、のちに自信の名前を冠したネヴィス社創設した。現在にも続いている大手車メーカーでもある。その車の技術力、革新的なデザインは、今でも、全国の男性を魅了している。
モットーは『すべての安全はすべての人につながる。そのために安全を決して軽く見てはいけない。』
そして、ミリウスの方も大きな功績を残した。魔力が極端に少ないながら、魔法力の応用と、かつ斬新的なアイデアにより、いくつもの魔法具を発明、開発した。
現在の生活魔法具に関わるすべての礎を築いたと言っても過言ではない。
だが一番の功績は飛行機を開発したことであろう。一人は複数の人間を浮かせる。
空中魔法を、作り上げた機体にかけ、ネヴィスの力も借りて作り上げた飛行機は魔法具の最高傑作とされる。
ただ、この飛行機は、相当に魔法の力と制御力が必要なため、相当な訓練が必要であり、その訓練をパスしたものでないと、運転ができないため、魔法使いを目指す男の子の一番の憧れ職業になっている。
<メルハート.ネヴィス、メルハート.ミリウスが残した功績について序文>著者不明