第五話
時は流れて、一歳になりました!!
一歳の誕生日を過ぎたあたりから、私…もとい僕は、侍女のコバルトと共に庭の散歩へ
やっと行けるようになりました。
トテトテと小さい足で歩くことがとても楽しくて…むしろ、外の空気を吸えるのがとても嬉しくってすぐ疲れて眠りたくなるし、すぐに抱っこしてもらうけど、色とりどりの花を見たり、侍女に連れられて町へ行ったりするのが最近の日課になってます。
そこで思ったのが、みんな領民が牧歌的。というか、あくせくしていないという…、お父様がこれから、領地を発展させると息巻いていたけど、領民たちとの温度差大丈夫なのか若干不安もあったりしますが、町へ出れば出るほど、この町のことが好きになっていく。
そして、なんとこの世界にも魔法とか獣人とか妖精とかが存在しているらしいです。
らしいというのは、このメルハートには全く存在しないからですね!というか存在を認識する能力がメルハート家には存在しないらしいです泣南無三。
そりゃそうだよ、神様僕にチート能力なんて与えないと言っていたしね。
妖精さんとか、獣人さんとか仲良くしてみたかった。
うん…存在しない?
確か、王都とか、他の領地だと差別意識があるとか、お兄様とお姉さまの先生が言っていなかったでしたっけ?
あれ??この領地に存在しなかったら、存在させればいいんじゃないの??
……ふわあ考えたら眠くなっちゃっいました。
「あらあら…フィリス様はおねむの時間ですね」
優しいコバルトの子守唄が耳朶に震える。
目を覚ました僕は、お兄様とお姉さまが勉強しているところに言ってさっき思ったことを言いました。
「はい?獣人たちを呼ぶ??」
お兄様とお姉さまは僕の言葉をちゃんときちんと聞いてくれます。
「それ。面白いわね!いやー!!フィリスなんて頭がいいのかしらー。すごいわ!
そうよ!それよ!!」
「そうだな。その考えが良いな。幸い、土地はたくさんあるし、切り売りができる土地がたくさんある。つまり、不動産もあるし、新しい街を作ることが簡単にできるということだよな…。ということは、街を整備してから…。そこから、建売計画させたらいいんじゃないのか??」
「建売!その考え楽しいわね!!あれじゃない獣人が住むところはなんていうか日本の
旧家みたいな感じの建物がいいんじゃないのかしら??」
「あ!それいいな!!でもい草ってどこで手に入れらえるんだ??」
「それと、大工が必要だよな!」
「それね!」
うわあ…。すごいです。お兄様もお姉さまふたり、話が広がっていきます。
「とりあえず、お父様とお母様に相談ね。」
お兄様とお姉さまはふたりで僕の手をつないで、お父様とお母様が仕事をしている。領主部屋へ行くことになりました。
「まあ…まあ…、フィリスちゃんすごいわあ。」
「ああ。お父さんびっくりだ!」
「で、お父様、お母様これ計画実行させませんか?」
「ああ…いいな!そうだ!!領民たちにも採決させてもらおう」
「あなた…」
「お父様」
家族はお父様が言った、領民たちに採決させるという言葉を全面的に賛成しました!
だって、それってとても大事なことですよね!
家族で円陣を組んで気合いを入れました。
僕は小さすぎて、全員に頭をもみくちゃにされました。
アルベニス歴1785年3月。メルハート領で、一大事業を開始した。
それはメルハートが持っている広大な土地に家を何十戸の建物を建て、それを獣人には格安に売るという方法を打って出た。
そして、獣人に売り出すにあたり、獣人差別禁止法を施行した。
現在では当たり前のこの、獣人差別禁止法。以外とこの獣人に家を売り出すために施行したとされたのは知られていない。
そして、その当時、メルハート公爵が領民たちに、獣人たちに建売計画があること、獣人を差別しないということを採決させたのは画期的なシステムであった。
この、メルハート領で起きた出来事は歴史的観点から見たら、重要な部分にあたる。
なぜなら、王政、貴族主義というある意味一辺倒の政治体制に民主主義という思想が生まれたからだ。
それが、当時見向きも相手もされなかった、メルハート領で起きた小さな波が起きたのである。
小さな波というのは最初は微力だが、波が続いていくと強いエネルギーとなるものだ。
実に興味ふかい。
<メルハート領の思想論>アルベーヌ.ビッシュ著
メルハート領にあるジャバニスという場所は、建築、建築史から見ても実に面白い場所である。木造の旧家の建物が何十戸も見られるからだ。そこの建築は庭も大変素晴らしく手入れされていて、四季を問わず楽しめる観光スポットになってる。
ジャパニスは獣人が多く住んでおり、純血の獣人は少なくなってはいるが、昔ながらの
獣人達の生活を楽しめる場所として、ジャパニスはメルハート領の中でも人気のあるエリアになっている。特に、ジャパニス名物のジャパニス菓子は今全国にある名店の本店が立ち並ぶということもあり、ジャパニス菓子甘味ツアーは不動の人気を得ている。
メルハート領は実に面白い土地である。
ジャパニスの西側にある、パーリュという土地はジャパニスの雰囲気とは真逆にある。
洗練された石造建築で整備されており、そこは多種多様の民族で形成されており、民主主義の土地とされている。が、歴史家はパーリュは、民族性とかの形成されている部分では民主主義の土地と言っても間違いではないが、本当の民主主義の土地ではジャパニスが正しいというのが歴史家全員の一致である。
だが、それを抜きにしてもパーリュというのは花の都と言われ全国の憧れを孕み続ける土地たる所以はいたるところにある。
パーリュはやはり、芸術の都と言われるだけあって、街自体が実に美しい。女性なら、パーリュにあるメゾンのファッションブランドなら一度は持ってみたい憧れであろう…。
特に冬と夏は街をあげてのセール会場となる。その時に見計らっていくと、掘り出し物がたくさん見つかるかもしれない。
メルハート領二大観光地徹底比較ガイド1985年版より抜粋