第四話
私が光のトンネルの中に入り、異世界へ転生することになるとわかった時、まさか性別が変わるとは思わなかった。
そして、私が生まれた瞬間に家族全員が転生者だったとは嬉しい誤算だった。
神様がちょっとまっったあああといった気がするけど、多分気のせいだろう……。
今回の家族は、みんな優しくてそして、お約束のように美形だ。
お父様は、メルバードル、お母様はヴィリア、お姉さまはミリウス、お兄様は、ヴィリス、そして私はフィリスと名付けられた。
そうそう、家には少ないながら使用人もちゃんといる。
執事のレグホーン、料理長のバーントアンバー、侍女長のバーントシェンナ、乳母のキャメル 庭師のバフ、私の侍女のコバルト、お兄様の侍女のオリーブ、お姉さまの侍女のエメラルドが家の使用人達だ。
うん、教えられたけど覚えられないこと確定した。
もう、お姉さまの髪がピンクがかった綺麗なプラチナブロンドとか、お兄様のお声が本当に素晴らしいとか、お父様が体が華奢だけど、背が高くスラリとしたモデル体型だとか、お母様のプロポーションが完璧な黄金律だとか、言い出したらきりがないから、全員美形ということにする。
うん、これでよし!!
お腹が空いたから、ミルクの催促するため私は泣いた。
泣き出すと、家族全員こっちを見る。
そして、一斉にあやしてくれる。
そのことが、ああ大事にされてるなあと実感して、私はまた泣き出すのだ。
寝て飲んで泣いて、寝て飲んで泣いてを繰り返すこと百日を過ぎた後、お父様が、声高々に宣言した。
「領地改革」をすると、なんなんだろう、その面白いことは!!私も早く手伝いをしたくなってくる。
お父様や家族のやる気を見ていたら、こっちまでやる気になって「うあーー」と声を上げてしまった。
ねえ…神様私は、この世界で幸せになることを誓うよ。そして、幸せになるために頑張るよ!!
前世の私はくじけたり、いじいじしたり、内向的だったとは思うけど、新しい家族の元なら絶対に頑張ると誓うよ。だから…見守ってください。お願いします。
メルハート公爵家の発展には、メルハート公爵家の次男、メルハート.フィリスの名前が事欠かない。彼は天使のような美貌と優しさを併せ持ち、その上独特の美意識を持っていたらしい。
男性的なものよりも女性的なものを好み、男性、女性両方から崇拝の念をいただいていたことが、数々の表現からわかる。
彼には、ある悪癖というか愛嬌ともいうのか、すぐに人を好きになりやすい性格をしていたらしい…、そして、彼に好かれた人間は必ず才能を伸ばし、それぞれの高みを目指して行ったらしい。
現在最高かつ栄誉ある文学賞であるフィリス文学賞、そして、芸術関係最高かつ栄誉ある賞フィリス&シャーウッド賞はその名残とも言えるだろう。
現に今でも古典とされる文学者のほとんどは、フィリスが経営したとされるサロンで花を開いた。
そして、花を開いた彼らは永遠にフィリスに忠誠を誓ったとされる。
ある文学者曰く「私はかの美しき薔薇に出会えたことが、最大の誇りである。その薔薇は可憐かつ、豪奢。他の薔薇が霞んでしまう美しさがあった。その美しさの前では、女神も頭をさげる以外道がないだろう」
以上の言葉から推測されるのは、メルハート.フィリスが美しい人間であり、かつ文学者を始め、芸術家のミューズであったことがわかる。
だが、残念なのは現在では、フィリスみたいなミューズが存在しないことである。
<メルハート.フィリスの考察> ハビュール著