小さな彼女の幸せ
初めまして!RARです!
よくわからない小説(かどうかも怪しい)ですが、最後まで読んでくれたら嬉しいです!日本語おかしいかもです汗
ぽつりぽつりと小雨が降る窓の向こう。
遠くには微かに青空が見えた。
「虹、見れるかな」
何本もの管を体に繋げながら、彼女は呟いた。
小雨のように、弱弱しい声だった。
僕はニコリと笑顔を作って、
ああ、見れるさ。と言った。
すると彼女は安心したように目じりを下げ口角を少しだけ上にあげる。
真っ白い部屋に電子音だけが響く。
ずいぶんと長い間、彼女の担当医を勤めていたが、
今思えば、彼女の人生はあまり幸せなものではなかった気がする。
むしろ不幸といったほうが、しっくりくるだろうか。
物心つく前からこの病院に入院させられて、自由に遊ぶことも出来ず、好きなご飯を食べることも出来ず、苦い薬を飲まされ続け、喋るのもやっとのこの状態がかれこれ10年以上続いているのだから。
立場上、言ってはいけない言葉だが、これでは死んだほうが楽だろう。
もう回復は望めないのだ。
それはもう彼女本人も知っている。
これでは生まれてきた意味がない。
幸せにならないと、意味がないんだ。
「先生、窓を開けてよ」
窓?と思った。
そんなことを言ってきたのは初めてだ。
僕はけげんそうな顔をしながらも、渋々窓を開けた。
本当は外の空気は体に良くないからあまり開けてはいけないのだが
今日だけ特別。
ガラス越しで見る外の世界と、裸眼で見る外の世界は違うだろう、と彼女に問いかけた。
返事は返ってこなかったが、表情を見れば、満足そうなのはすぐに分かった。
涼しい風が部屋全体に入り込む。
昨日が台風だったから、今日の風は特別気持ちがいい。
徐々に雨もあがり、太陽の光が雲間から漏れてくる。
「わ、まぶしい」
彼女は唯一の娯楽を楽しんでいるようだった。
丸い目を細め、風が体に触れている感覚を楽しんでいる。
僕はなんともいえない気持ちになりながら彼女を見つめた。
すると僕の視線に気づいたのか、急に話し始めた。
「ねえ、先生。私って、幸せ者だね。」
その一言に僕はびっくりして間の抜けた声を漏らす。
「だって、この瞬間。雨があがって太陽がのぼってくるこの瞬間を、私は見れているんだよ」
一生懸命、一言一言を宝物みたいにゆっくり話す。
「近所の子供たちはきっと、ゲームやPCに夢中で、この美しい瞬間を見逃していると思うの。」
「だから、ね。私って幸せ者ね」
彼女は笑っている。
こんな些細なことに幸せを感じて笑っている。
僕はずっと、咲かない花にずっと水をやり続けていた。
来る日も来る日も。
いつか、咲いてくれると信じて。
それだけに望みをかけて。
でも
その花が、今、咲いた。
なにかが、僕の頬を伝った。
拭うために、服の袖と目を擦りつけるが、また溢れる。
こんなにいい子が、なぜ死ななければならない。
神様はこの子に何か恨みでもあるのか。
「あ。虹。」
不意に彼女は細い指先を、空のほうへ向ける。
空を見上げると、大きな虹が空に架かっていた。
目を擦っても擦っても、なにかで視界が滲んで虹が見えない。
早く見ないと、消えてしまう。
早く。早く見ないと。
「先生って、泣き虫だったのね」
ふふっと、彼女が笑った。
・・・どうだったでしょうか。
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でわ、次お会いするのはいつになるかわかりませんが
またね!