Love is sunrise
800文字……orz
「おい、いい加減おきろよな」
「……ン、お兄さま、もうすこし……」
はぁ、まいったな、こりゃ。
夜通しかけて森の中を突っ切った結果。夜が開ける頃までにはなんとか森を抜ける事ができた。
周りには魔物の気配も無く、朝日が東の空に顔を出すぐらいの時間だ。
「まぁ……いま無理やり起こす必要は、ないか……」
俺はため息を一つはいて、ゆっくりと目の前を見据える。白い日光を反射して輝く壁と、まだ閉じたままの城壁。
麓の街の、白亜の壁がそそり立っていた。
「ン……」
俺の腕に抱きついて微かな寝息をたてて眠っていたオリガの翡翠の瞳がゆっくりと開かれる。
こわばるように痙攣する瞼に、長く、柔らかい睫毛が揺れる。鼻にかかる様な声が妙に色っぽい。
って、俺は何を考えてるんだ……! 俺の趣味はこんな年下じゃなくて、もっと……ムッチリとして、起伏に富んだお姉さん…………やめた、馬鹿らしい。
「やっとお目覚めか、眠り姫?」
俺は、内心羞恥心で荒れ狂っていた事などおくびにも出さぬ様に務めて、いまだ状況のつかめていなさそうなオリガを茶化す。
「えっ……と、テオさん……ココは?」
まだ視界が霞んでいるのだろう、暫くの間眠たげに半開きになった目を瞬かせている。
ふう……。
俺は、どこか安堵したため息が自分から漏れた事に驚愕した。さらに、今の俺は笑っている⁈
……他人に、しかも人間の少女の一挙一動に安心したり、微笑んだり……。
3日前からは考えられない結果だな……。
「此処は、俺らが目指していた麓の街だよ、門も、ついさっき開いた」
少女をおいて先に中にはいる事はできた。そもそも、最初はこの街にくるまでの間だけが、少女といられる時間だったんだ……。
「そう……ですか、じゃあいきましょう」
そう、ただ簡素にそれだけを言うと、彼女はすっくと俺の腕の中から立ち上がり、まっすぐ俺に背を向けて歩いて行った。
「…………テオさん、行きましょう」
俺は、振り向く少女に、何も言えなかった。