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Far across the distance

 「竜人……」


 お嬢ちゃんの驚愕する声が小さく聞こえて来た。


 正確には半分(ハーフ)なんだが……


 はぁ……やっぱビビるよな……


 俺は自身を竜人形態にした為隆起した筋肉のせいで砕け散り、地面に四散した皮鎧を見つめた。


 先ほどまで重たくのしかかっていた魔物の重圧が徐々に消えて行く事を肌で感じる。


 腕には僅かづつ、薄っすらと鱗が浮かび上がってきてきた。


 きっと、お嬢ちゃんの側にすれば、重圧が1つ増えたことになるんだろうけどさ……


 ま、それは……


 「命を救う為だ、堪忍してくれ!」


 俺は、砕け散った鎧を吹き飛ばし、幾分か太く成った脚で大地を蹴った。


 人間体の時では考えられないスピードで魔物との間合いを埋める。


 俺が通ったあと、一瞬遅れて青草が散る。


 「きゃあ!」


 巻き起こった暴風のせいか、後ろの方からお嬢ちゃんの 悲鳴が聞こえてくるがこの際は無視だ。


 俺と魔物の体が激しくぶつかり合った、今では完全に鱗の鎧が全身を覆っていて魔物の拳など恐怖の対象にはならなかった。


 「ぐる……?」


 魔物も、さっきまで人間体であった筈の俺が突如として竜人に成ったことに驚いている様だ。


 俺は、自分の右腕を振り上げて……落とした。


 ☆


 「大丈夫か?」


 俺は、自分の姿が人間体に戻ることを感じながらお嬢ちゃんの方へ向かって行った。


 あぁ〜完全にビビってるな……


 俺は、腰を抜かした様におれのことを見上げるお嬢ちゃんの顔をみて思った。


 ま、そりゃそうか……今までだって失神されたり、ひどい時には攻撃だってされたこともあるからな……


 彼女は武器こそもってはいるが、どうやらそれを俺にむかってきりかかるつもりは無い様だ。


 それに、今回、このお嬢ちゃんは目を背けないでみているだけずっと良いだろう。


 俺が、お嬢ちゃんの足元に転がっていた木箱の荷物を拾い上げ、肩に担ぎ、お嬢ちゃんに背をむけた、その時。



 「あ……ありがとうございました!!」


 ――ッ……!?


 今まで、人を助けてお礼をいわれたのは……始めて、だな……。


 俺は、そんな初めての事に驚きを隠せず後ろを振り返った。


 其処には、しっかりと立ち上がり、俺の事を見つめる少女の姿があった。


 「えっ……と、ふもとの街まで行くんですよね?」


 さらに予想外の言葉に俺は目を丸くしながらも首を縦に降る事で答えた。


 「あ…あぁ……」


 俺が半ばうめき声の様な声で返事をすると、少女は戸惑いがちに。


 「よ…良かったら、わたしも一緒に行っても良いですか?」


 俺は今度こそ参ってしまった。


 い、一緒に行っても良いか。だって? コレまで生きてきてそんな事を言われたのは初めてだった。


 だから、俺はその言葉に暫く返事が出来ずにいると、彼女は……


 「あ……ゴメン、なさい……ダメだったら良いんです」


 悲しそうに目を伏せながら俺に言ってきた。


 だあぁ~! ちくしょう‼ そんな顔されたら連れてくしかなくなるじゃねぇか‼


 「はぁ〜……しかたねぇな」


 「ほ…本当ですか⁈」


 「俺は嘘はつかねぇよ」


 まぁ、どうせ今まで一人旅だったし、あのふもとの街までだしな。


 人間の足で2日間くらい、がまんしてやんよ。


 


 




 

竜形態に成った主人公くんの姿の描写はそのうち出てきます、ほんとうです、多分。

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