第七話 ハーレムデートとはきっとこのことをいうのだろう
やっと書き終えた。
まさか一週間近くかかるなんて思いもしないよぉ
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では本編どうぞ
ハーレムデートとはきっとこのことをいうのだろう
突然だが俺は目覚めはいい方なのだ。
ホントに突然だな、おい! と思ったやつら。とりあえず、黙ろうか。
問題はそんな俺が今日この頃気持ちよく起きることができない。
理由は明確なのだがどうにも手が出せない。
「悠君。起きて」
「おにぃ! 起きないとズボンを脱がして××よ!?」
「和羽ちゃん。それはちょっと困るかな? でも、さっさと起きな、悠」
「白虎に任せてください! 悠様には朝のモーニングブレイクを――」
「ホントにブレイクされちゃうからやめてくれます!?」
俺は飛び起き周りの状況を見る。
うん。体は何もされてないみたいだ。
これでわかっただろ? 俺がどうして気持ちよく起きれない理由が。
……え? 羨ましい?
ふざけんな! 泉香については同感だが妹にあんな事を言われ、幼馴染にはそれを兄のせいにされ、妖怪の白虎には危うく殺されかけてんだ!
白虎に関しては稼働中のチェーンソーを片手になんか笑ってるよ。
俺の家はいつからこんなモンスターだらけになったんですか!?
「だが、美少女だから許せるもまた事実。うーむ、これは困った。いやはや、真面目に困ってきたぞ」
俺はベットの上であぐらをかき知恵を絞るが出てくるのはエッチな妄想ばかりだ。
ぐへへ、こいつらをうまく使ってあんなことやこんなことをすれば……ぐへへ。
「悠君また妄想? エッチなのはダメだよ?」
泉香が俺の口元に人差し指を立てた。
ああ、なんて可愛いんだ、泉香は。
ちなみに泉香が警察から帰ってきてからもうすでに一ヶ月が経っていた。
「なあ、泉香」
俺はベットに乗り出していた泉香の手を反射的に掴み聞いていた。
「ん? 何?」
泉香は手を掴まれたのを不快にも思っておらず笑顔でこっちを見る。
「なんで、警察に守ってもらわないんだよ。まだ、お前の家族を殺した奴は捕まってないんだろ?」
そう。泉香の家族を殺した殺人犯はまだ捕まっておらず指名手配中だ。
そんな危険な中、泉香は警察からの保護を断り俺の家に帰ってきた。
「え、えーっと……」
なんか、顔が真っ赤になっている。
あれ? なんか聞いちゃいけない話題でしたか?
「ど、どうしたんだよ。顔真っ赤だぞ?」
「ううん、なんでもない」
そう言って泉香は部屋を出て行った。
「あ、そうだ。さっきの話だけど。なんで戻って来たかって言うとね。……悠君のことが気に入ったからだよ」
後ろ姿を見ただけだからよくわからないが言い切ったあと泉香は首元を真っ赤にして逃げるように俺の部屋から走り去っていった。
「……な、なんだよ。不意打ちはいけないだろ」
俺はひとり残された部屋の中で人知れず真っ赤にした顔を手で隠しながら呟いていた。
それからすぐに事件は起きた。
「デート? みんなで? お前ら馬鹿か?」
そう。それは確信犯有りの変哲もないお誘いだった。
俺の部屋にみんな集まったかと思いきやいきなりみんな一斉にデートに行こうと言いだしたのだ。
「へぇー、バカ、ねぇ?」
「ぐすん、悠君ひどいなぁ」
「行ってくれなきゃ、嫌だなぁ?」
一人は手首を怖いくらい鳴らし、一人は鳴き真似で誘惑し、一人はエンジンフルスロットルのチェーンソーを振り回しながら脅迫という名のお誘いをしてくる。
うん。こいつら、俺をおもちゃだと勘違いしてるみたい。
「って、待て待て! それはお誘いじゃなくて脅迫って言うんだぞ!?」
俺は両手を振ってこの場を制しようと思った矢先
「「「だから?」」」
というどこか壊れた少女たちの意見が俺を凍らせる。
だ、ダメだ。こいつら人付き合いというのをまったく分かっていない。
もし、そんな奴らと一緒に出かけでもしてみろ、俺の財布は愚か、俺の命に別状ありだぞ!
だが、ここで断れば財布より大事な俺の命が一瞬にして無くなってしまう。
財布だけが消えることだけを願ってデートに応じるか。それとも、なんとかみんなを説得して平穏にやるか。もしくは……
――ヤっちゃう?
よし、とりあえず三つ目は死亡フラグだからあきら――じゃない、やめよう。
しかし、そうとなると選択肢はひとつしか無いな。
「み、みんな。なんで、そんなにデートに行きたいんだ?」
俺が精一杯の作り笑いで聞く。
「「「(悠君)(悠)(悠様)が好きだから」」」
「よし、みんな支度しろ! 今から出かけるぞ!」
三日月のように笑みを浮かべる三人。だが、そんなのもう関係ない。金? そんなもんM資金で何とかなるさ!
命? そんなもん……か、考えてるさ!
俺の短い人生これでオサラバだ! ヒャッフー! なんか萌えてきた!!
「で? どこ行きたいんだ?」
俺は三秒で着替えを済ましみんなに聞く。
「ゴリラと戦えるところ」
「美味しいクレープ食べたい!」
「神様をちょっと……ね?」
みんなバラバラじゃないか!
祈雨に限ってはゴリラと戦いたい? よし、とりあえずアマゾンに行こうか。
泉香は……うん。普通だ。
白虎、は。ええーっと、神社でOK?
「よーし! 言い分はわかった! ゴリラ? いいだろう、動物園に殴り込みじゃあ! クレープ? とりあえず全国回るか! 神様? 殺りたいだけ殺っちゃえ!」
ワーハッハッハッハ! と俺は腰に手を当て大笑いしていた。
今日はなんていい日なんだ。三人の美少女達から好きだと言われたらやらなきゃ男じゃねぇ!
親父、俺今日から大人になるよ。
俺たちは目的のものを探しに外へ駆け出した。
現在クレープ屋。こちら異常なし、どうぞぉ。
返事がない、ただのクレープのようだ。
「って、何をしているんだ、俺はぁぁぁぁぁぁ!!」
そう言って俺はクレープ片手にベンチに立ち上がった。
「何って、きっとクレープを食べているんだと思うけど……」
泉香の的確なツッコミのおかげで我に返った俺はベンチに座りクレープをかじる。
うん。美味い。生地は柔らかいのに香ばしくて、その中に生クリームとチョコが絶妙なハーモニーを奏でているよ。
「悠君、口にクリーム付いてるよ?」
そう言って泉香が俺の口元を舐めた。
………………………………え?
な・め・た・あああああああああああああああ!?
俺は現状の理解を急速に早め、そして同時に顔が真っ赤になっていく。
「おおおおお前、ななななな何してんでしょうかあああああ? そそそそういうのはええええ衛生上だだだダメだっていいい言われませんでしたかあああ?」
震える唇と言葉、そしてバラ色が広がっていく脳内がミスマッチして言葉がおかしくなる。
「えへへ、前に私を必死になって助けてくれようとしたお礼だよ。驚いた?」
驚いたも何もビックラ仰天でオラ、なんだかワクワクしてきたぞ!
「じゃなくって! 君は馬鹿ですか? 馬鹿なんですか? ここをどこだと弁える! 俺らの街で一番多くの人が住み、尚且つ人通りが多い大通りだぞ!」
それらが意味するのはつまり……
「俺たちの一部はみんなに見られていることになってしまうのだぞ!」
熱演を始めた俺に泉香は拍手をする。
「へへ、悠君って恥ずかしがり屋なんだね。初めて知ったよ」
なんて可愛い顔をするんだ。ついつい襲いたくなっちゃうのは気のせいだろうか。
「なんか、嫌な風が吹いた気がするよ」
泉香は身震いをして俺を見上げてきた。
そして、泉香はいきなり立ち上がったかとお思いきやキスをしてきた。舌を無理やり俺の口の中に押し込んできて俺の中を舐め回していく。
うわー! やめて! 俺はそんなに激しいのはダメなの!
なんか、内心でおねぇが入りながらも否定した。
だが、体は一向に動こうとしない。理由ははっきりしている。俺は、俺は……
――この状況下を楽しんでいるのか?
馬鹿なと一瞬思ったがぎこちなくそして一生懸命な泉香の顔を見るとその回路は根元から砕け散った。
ああ、泉香。可愛いよ。いや、マジで。
「お二人さん。アツイところ悪いけど周りのこと考えてくれる?」
「そうなのですよ! そんなの魅せられたらさすがの私でも切り刻みたくなっちゃうのですよ!」
俺と泉香は同時に飛び退いた。
だって、そこに祈雨と白虎がいるんですもん。
「お、お前らいつから……?」
「えっと、確か、泉香ちゃんが悠の口を舐めたあたりからなのさ」
ほとんど初めからじゃないか!
ああ、恥ずかしい! 身内にこんなところ見られるなんて!
「泉香さんずるいです! 私も悠様とそういうことをしたいのに!」
「「「え?」」」
俺、泉香、祈雨が同時に驚く。
「だってだって! 私だって悠様のこと大好きですもん!」
おお、流石若さゆえの過ちと言ったところか。恥ずかしい事を堂々と話すなんて。
あれ? 俺今、告白されました? しかも、人生初の。
「これは夢だな。うん。夢だ」
放心状態の俺はそう呟いてどこか遠い空を見上げた。
うん。今日はいい天気だ。
そんなやり取りをしていると俺のケータイが鳴り始めた。
「げっ」
その相手は和羽だった。
和羽は寝ていたので起こさないように出てきたのだがあいつめどうやら目を覚ましたらしい。
「は、はい?」
『おじいぢゃん、今どごぉぉぉぉぉ!!』
おお、見事に置いてかれたことに気づかず泣いているようだ。
「ええーっと、俺はお前のおじいちゃんになった記憶は持ち合わせてないんだが」
俺は冷静にツッコミを入れた後切ろうとしたら、聞こえた。いや、聞こえてしまった。
『どうぜみんだどいっじょなんだ。みんだじんでじばえ、みん――』
うん。どうやら何か供え物を買って帰った方が良さそうだ。
俺は深いため息をついてから重い足取りで家へと帰るのだった。
その夜、何事もなかったかのように俺と泉香はバカップル顔負けの話をし、それを見ていた三人がそれぞれの武器で俺を嬲り、痛い目に会ってから俺は今無事にベットで寝ようと睡魔を心待ちにしていた。
「ああ、なんか。生きてるってサイコーだな」
俺はニヤニヤと口元を緩め間抜けな事を言っていた。
「なんか、じじ臭いのさ。そのセリフ」
ドアを開け入ってきたのは祈雨だった。
「うっせ。いいだろ? お前たちといるといつも危険と隣り合わせなんだから」
俺はぷいっと視線を反らせ怒ったふうな態度を取る。
「ねえ? 悠」
なんか、寂しそうな声で聞いて来る祈雨に俺は何事かと思い顔を向ける。
「なんだよ」
俺が返事をすると祈雨はびくんと体を震わせ言うのを躊躇っていた。
「……なんでもいいが、そこにいられると睡魔が来ない気がするんだが」
嫌味たらしに言ってやると祈雨は俺を睨んできた。
「もう、こっちが悩んでいるのに考えもしないなんてあんまりなのさ」
どこか拗ねたように祈雨が口を尖らす。
そんな反応が面白かったので俺は思わず吹いてしまった。
「な、なんで笑うのさ!」
頬を膨らませ怒る祈雨。
幼馴染の俺ですらこの反応は初めて見たぞ。いやぁ、長生きはするもんだ。
「すまんすまん。で? なんのようだよ」
俺は腹を抱えながら祈雨に向かって聞く。
「一緒に寝ちゃダメ?」
「へ?」
思いもよらない事を言われ硬直する俺。
「そ、それはまた急だな。どうしたんだよ」
俺が聞き返すと
「今夜は私だけを見て欲しいのさ」
そう、答えが返ってきた。
時間が止まったような気がした。
今日の祈雨はなんか違うぞ? いつもなら半強制的寝るくせに今日に限ってなんでそんなにおしとやかなんだよ。
「だ、ダメ、かな?」
泣き目上目遣いで聞いて来る。
くぅ、その目は男を誘惑する目だ。負けるな、俺!
「どうぞ!」
そう言って俺はベットの半分を分け与えていた。
だって、ねぇ。
こんなに可愛い幼馴染に頼まれたら、ねぇ? 男なんて一発ですわ。
「うん。ありがとう」
笑顔で祈雨がベットに入ってきた。
き、今日くらいはいいんじゃないか? ね、寝たいって言ってるだけだし。
その夜俺は理性崩壊の危機に直面したのだった
次回予告
「今日は……今日だけは俺のイージーデーだ」
「みんないないしヤっちゃおうよ」
「…………合体!!…………」
では、次回