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第六章 警察? 何それ美味しいの?

高校が始まってしまった……

更新が遅れるかもしれませんが末永く見守ってください


できれば、お気に入り登録をしていただくとやる気に大いに繋がります。

警察? 何それ美味しいの?


それはいつもの朝だった。

みんなが期待と希望の朝を迎えている中、俺は部屋のベットでうずくまっていた。

今日は土曜日、俺が唯一好きな曜日の一つなのに俺は布団に包まり戦っていた。目の前の怪物と。

「おにぃ~遊びに行こうよ~」

布団に守られているにもかかわらず激痛が俺の足を支配する。

「だから、行かないって言ってるだろ! それと、足蹴らないでくれます!?」

妹に虐待受ける兄ってどんな家庭だよ!

だが、それが俺の家庭なのだ。だがしかし、今日は違う。俺はいつもみたいにやられっぱなしじゃないんだ。なぜなら、泉香という心強い味方が――

「悠君。たまには遊んであげたら?」

早くも敵の手に堕ちたらしい。

なんだよ! せっかくお前だけは違うって思ってたのに!

こうなったら、祈雨に助けを――

「悠、和羽ちゃんがかわいそうだから行きな」

求められるほどの仲間じゃなかった!!

チクショウ! なら、白虎は……。

「お~か~し~♪」

ダメだ。完全に妹の餌付けにかかっていやがる。

なんだ! この家には俺を守ってくれる素敵なお嬢さんはいないんですか!?

俺は妹の攻撃に手も出せず敗北し、顔を布団から出す。

「なんで俺が行かないといけないんだよ。祈雨に一緒に行ってもらえよ」

俺はなおもイヤミったらしな言葉を連発する。

「えー。だって、おにぃがいいんだもん」

知るか! 俺は家できららたんとおしゃべりしたいよ!

「いいか? お前の兄はとぉぉぉぉっても忙しいんだ。なのに一緒に遊ぼうなんて……」

俺が現実という理不尽さをたっぷり教えるべく語り始めると妹は泣き始めた。

(注)妹は俺より一つ下で十六歳だ。

「おにぃがいじめるよぉ」

(注)妹は俺より一つ下で十六歳だ。

次の瞬間この部屋の全ての死線(視線)が俺に向く。

「お、おい! 嘘泣きはやめろ!」

俺は咄嗟に妹を泣き止ませようと頑張るが妹は声を張り上げ大泣きし始める。

死線が俺を射抜く感覚が俺を支配していく。

「な、何? この視線。人でも殺せるんじゃない?」

咄嗟に下手なボケを取るが効果は悪化だった。

お、俺が一体何をしたって言うんだ!

俺が焦る中、肩に手が置かれた。

「悠……死ね」

「疑問形ではなく命令形ですか!?」

俺の肩を掴んだ祈雨は右腕を思いっきり振りかぶり一撃必殺のモーションに入る。

いやぁぁぁぁ!! そんなの喰らったらホントに死んじゃうよ!

逃げようともがくが肩を掴んだ手はコンクリートを粉に変えてしまうほどの握力を持つため延命のために動けない。

「やめて」

そこに割って入ってきたのは泉香だった。

「おぉ、泉香ぁ」

俺は涙目になりながら女神(泉香)を崇めた。

ああ、神よ。こんな身近にいらっしゃったのですか。気づきませんでしたよ、ええ。

泉香は振り返りムスっとした顔で俺を見る。

「悠君。妹を泣かしちゃ、メ! でしょ?」

…………………………………………。

うん。そうだね。

「はあ、わかったよ。行けばいいんだろ?」

俺はもはや敗北感すら感じない敗北に感慨を持たず諦めたようにベットから降りる。

「わーい。おにぃが行ってくれるって!」

クソッ。なんでお前はそんなに元気なんだよ。さっきまでも嘘泣きはどうした!

だが、俺はそれすら言うのを諦め仕方なく着替える。

そこに家のチャイムが鳴った。

「あ、私出るぅ!」

そう言って駆け出して行った和羽。ったく、ご機嫌だなぁ、おい!

数秒後、慌てて和羽が俺の部屋のドアを蹴破った。

「お前らはドアノブを回すという風習はないのか?」

俺は呆れつつドアを閉めた。

「そうじゃないよ! おにぃ! いいいい今、警察ががががが」

なんだ。そんなに壊れるくらいのお客だったのか?

「って、警察つつつつつ!? ままままマジでででででで!?」

なんで、このタイミングで?

いや、なんとなくわかっていたんだがなんでバレた!?

「失礼します。私たちはこういう――」

勝手に上がってきたであろう警察様が内ポケットから警察手帳ならぬものを取り出そうとした瞬間目線が俺の斜め左後ろに固定され止まった。

ちなみにそこにいるのは泉香だ。

「確保ぉ!」

警察のおっさんが叫ぶとたくさんの警察さんが俺の部屋に詰め寄った。

「うぶばっ!」

そう言って俺の部屋の向かいの壁を貫き飛んでいく若手警察。犯人は祈雨だ。

「……き、君! 何をするんだ!」

祈雨が二ヤッと笑い言う。

「おっじさーん。私とかなり遊ぼーか。いいでしょ?」

最後の言葉はかなりの殺気がこもっていた。

「悠! 早く行きなさい! ここは私が死守してやるのさ。まあ、逃げきれるだけ逃げ切って見せな」

そう言って近づいてきた警察を諸共しない。てか、アッパーのモーションでどうやったら真正面の壁貫けるの!?

そんな疑問を俺は何処かへ投げ泉香の手を取りベランダへ逃げた。

だが、そこからは考えてなかった。

「ど、どうするの? 悠君」

俺は焦りに焦りを重ね思い付いた。

「なあ、泉香」

「ん? 何?」

「現実=理不尽って知ってたか?」

俺は中二病感バリバリの言葉を言い放ち泉香に聞いた。

「え? それってどういう――」

「飛ぶぞ!」

俺は泉香をお姫様抱っこしベランダを飛んだ。

ああ、じいちゃん。今、そっちに行きます。

「アイキャン、フラァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアイィィィィィィイイイイ!!」

地面と二階との高さは……考えたくもない。だが、これをしなければたぶん逃げ道はなかっただろう。

だから、飛んだんだ。

飛んだ最中祈雨が苦笑いし

「あ、あはは、そこまでしなくても良かったのにさ」

と言い。

警察たちは

「「「「飛んだ!?!!?」」」」

と、目をひん剥いて驚き。

白虎は

「あれ? 悠様は飛べるのですか?」

と考えていて。

和羽は

「おにぃ! 私との子供――」

と言いかけたところで俺が投げた靴に当たり引っ込んだ。

はは、多種多様ってこういうの言うんだろうな。うん。

ドスンっと音を立てて俺は着地した。

うん。痛い。

「ゆ、悠君。大丈夫?」

俺は涙目であいと首を縦に振った。

「い、行くぞ。自転車に乗れ」

そう言って古ぼけているが空気は満タンに入っているかもしれない自転車に乗る。

「悠君。大丈夫?」

なぜ二回言われたか? 簡単だよ。自転車に空気入ってねぇぇぇぇぇえええええ!!

「は、はは、神様ってのホントにいるのかね?」

ああ、前にもこんなこと行った気がする。

そんな思いに浸ってる場合じゃない。俺は自転車にまたがり漕ぎ始める。

「うおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお」

叫んでる割には進まない自転車に俺は一種の怒りを覚え自転車を投げ出して潰してやろかとも考えたが今はそんなことをしている暇はない。

「悠君……」

俺の名前を叫んで泉香は俺の体に手を回してきた。

「泉香……泉香!」

俺は泉香の名を叫び自転車のスピードを上げていく。

前を見ると妹の和羽が手を振っていた。

「おにぃ! こっち!」

そう言って

俺たちを誘導する和羽。

「すまん。あとは任せた!」

後ろを見ると警察たちが何人も追いかけてきていた。

「うん! 任されましたよ!」

そう言って和羽は両手を腰に宛当て叫んだ。

「ここは死んでも……あ、やっぱり死んじゃダメかも。でも通さない!」

どっちだよ!

叫びたかったが声を出すことを俺自身が許さない。

俺はそんな和羽を見守っていると和羽の横を何人もの警察が通った。

「って、通すんかい!」

さすがに俺も叫んでしまった。いや、だって通さないって言ってたじゃん!

だが、次の瞬間大きな音を立てて地面が沈んだ。

言葉の綾はない。その通り沈んだのだ。アスファルトの地面が警察が乗った時点で沈む。

「落とし穴ですか!?」

俺は自転車に乗りながら驚いていた。

いや、だってアスファルトの一部じゃなくて道の両端全部なんですもん。

和羽はふっふ~んとドヤ顔を浮かべながら仁王立ちしていた。

俺の妹マジナイス!

俺は自転車を飛ばし何処かへ逃げる。

ああ、こうして見ると十五の夜みたいだな。まあ、盗んだのはバイクじゃなくこの場合泉香だけど。

「見つけたぞ!」

そう言ってパトカーが追ってきた。

クソッ! もう見つかったのかよ!

「悠様!」

白虎の声が聞こえた。

瞬間後ろのパトカーから聞こえてはいけない音が聞こえた。

俺が振り向くとパトカーはそこにはなかった。切り刻まれた鉄くずが散乱しているだけだったのだ。

「お、俺。明日から白虎を怒らせるのやめよぉっと」

冷や汗をだらだらと流し怯える俺。

「悠様! ここは私が食い止めましょう!」

「し、死なない程度に頼んだ!」

あいつは殺ろうとすれば殺れてしまうのが怖いよ!

俺はいろいろな人に助けてもらいながらここまできたがもう俺を守ってくれる人はいない。

次は俺がコイツの身代わりをしなくちゃな。

そんな事を思いながら走るのだった。

「見つけたぞ!」

十字路。右、左、後ろ、前と全ての道を封鎖され俺たちは自転車を止めるしかなくなった。

「クソッ! みんなあんなに頑張ってくれたのにここまでなのか」

俺は苦虫を潰すような顔になりながらも次の手段を模索する。

「ダメだ。何も思いつきすらしねぇ」

俺は言葉では諦めたような事を言うが模索をやめない。

もう少しだ。もう少しだけ時間を稼いでくれ! そうすればいい案が何百と思いつくはずなんだ!

だが、俺たちを守る砦は当の昔に使い切り何も残っちゃいない。

俺が困っているとガクッと後ろが軽くなった。

見ると泉香が降りている。

「な、何してんだ! 早く乗れ!」

俺は再び乗せようとするが泉香は首を横に振りそうしようとはしない。

「私のことなら心配しなくても大丈夫だから。今までありがとう。悠君」

俺は理解に困った。

なんだよそれ。

死亡フラグだろ? しかも防ぎようのない死亡フラグだ。

「何言ってんだ! 大丈夫なことあるかよ!」

「大丈夫だよ。私、可愛いし。いざとなったら――」

それって、あれだろ? なんか、いけないことしようとしてんだよな?

「ざけんなよ」

「え?」

「ふざけんじゃねぇ!」

俺は怒鳴りつける。だってそうだろ? ここまで散々迷惑かけといて大丈夫だから心配するな? ふざけんな!

「だって――」

「じゃあ、なんでそんな悲しそうな顔すんだよ! 絶対大丈夫な訳あるか、バカ!」

警察たちが俺たちに近づいて来る。

「ば、バカってなによ! 私だってこんなことしたくないもん! だけど、もう――」

「諦めんなよ! いつものお前みたいにバカな打開策をさっさと考えろ!」

俺たちが怒鳴りあっていると警察たちが俺たちを捕まえた。十人がかりで肩や足などを掴まれ拘束されていく。

「クソッ! 離せよ! 泉香、泉香!」

俺の声は警察たちの声でかき消される。

俺は自分の未熟さを知りその場にうなだれていた。


後日、何もしていないと証明され釈放された俺たちは警察所の前にいた。

「ああ、終わったな」

俺は空を見上げる。晴れだった。

「うん。そうだね」

元気がない泉香。まあ、そうだろうな。

「お菓子いっぱいくれました♪」

以外に元気な白虎。

「おにぃ、いつデートいく?」

どうやら事の重大さが分からない妹。

俺たちは揃って家まで帰った。

結果から言わせてもらうと泉香には会えなかった。どこか違うところに移されたらしい。

俺たちは最後の別れも言えずに虚しい最後を送っていたのだ。

俺は力なく家のドアを開けた。

「お帰り、悠君」

うん。そんな言葉が聞こえたような気がするよ。

「もしもーし、悠君? おかえりー」

玄関でエプロンを付けた泉香が見える。ああ、白昼夢か。よくあることだ。

「おーい。私だよ? 悠くーん」

俺はそこで初めて目の前の泉香が白昼夢ではなく本物だということに気づいた。

「泉香。なんでここに?」

俺の目は涙でいっぱいだった。

「うん。どうやら私殺人の容疑がかかってなかったみたい。ただ、保護の対象として警察の人たちに探されてたみたい」

なんだ。そんなことか……。

「へ?」

俺たちはみんな一同に口を開け固まっていた。

「え、だから――」

「「「「こ、この、バカ泉香ぁぁぁぁぁあああああ!!」」」」

俺たちは皆一様にクラウチングスタートし泉香に襲いかかった。

「え、え? ええ!? ま、待ってみんな! きゃあー!」

泉香は叫び声を上げながら家に逃げ込んだ。俺たちはそれを追いかけながら鬼ごっこが始まった。

まあ、なんだ。こんな終わり方だと思ったよ。


……まだ、続くよ?

次回予告

「デート? みんなで? お前ら馬鹿か?」

「悠君、口にクリーム付いてるよ?」

「今夜は私だけを見て欲しいのさ」


では、次回

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