5話
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それから3人は、お金が沢山あるのでいい宿に泊まり次の朝を迎えた。
「いやぁ~、昨日は久しぶりに魔力使ったなぁ」
ベッドの上で胡座をかきながら、う~っんと体を伸ばす。
「そうですね。お母様にたてつく生物なんていませんでしたしね」
「・・・マツリさんって一体何者?」
昨日の事が原因で夕食が喉を通らなかったミディアは、やつれた顔をしながら祭に聞く。
「私?私はにんげ「・・・そんな訳ない」
祭の言葉をミディアが遮る。
「・・・あんな魔物を簡単に倒したり、龍の親やってたり、背がちっちゃいのにお母さんだったり。人はそれを人間とは呼ばない」
「いや、でもこんな私でも本当は人間なんだよ?そもそも800年前なんだけどさ・・・」
祭は約800年間の事をミディアに話した。
「・・・信じられない」
「うん、今までの子も皆、第一声はそれだったよ。でも残念ながら本当なんだよ」
「現にお母様は私と一緒に600年間、一緒に暮らしてきましたからね」
ルスクは持ってきたバッグから服を出して、着替えながら言った。
「それより今日はどうします?」
「そだね、多分昨日の事で色々あると思うけど・・・まっ、それも一興かな」
「依頼もこれだけお金があれば受けなくてもいいですからね」
すると、祭はベッドから飛び降りて言った。
「よし、お買い物に行こう!」
今日は1日買い物だ。
「で、何買うの?お母さん」
外ではルスクが祭の母。ミディアは祭の姉と言う設定になっている。
祭は、2人に挟まれて手を繋いでいる。
「なんでもいいですよ。お金は沢山ありますから」
「・・・あたし、衣類が欲しい」
「そう言えばそれしか持ってなかったよね、お姉ちゃんは。お母さん、服屋行こっ!」
「はい」
3人は服屋に向かった。
「おい、そこの3人!」
服屋の看板が見えてきた時に3人は、男性の声に呼び止められた。
「なんですか?」
ルスクが若干不機嫌に答える。
「君たち昨日、グレンデル倒してた人たちだよな?」
「人違いです、さようなら」
そう言い捨てて足早に服屋に向かおうとした。
が、その男はルスクの肩をガシッと掴んだ。
「ちょっと待ってくれ!君たちに聞きたいことがあるんだ!」
ルスクはゴミでも見るような目をして男を睨み、はぁーと嘆息してから聞く。
「・・・・・・・・・何ですか?」
「どうやって偽装したんだ?」
その言葉に3人はポカンとなる。
「は?」
「グレンデルなんて国の騎士団が総出でかかってやっと倒せるレベルだぞ?そんなのを移動時間を含めて魔法を使ったとしても1時間程度で帰ってくるなんて不可能だろう?」
「・・・・・・・・・何が言いたいんですか?」
「つまりだ、偽装の事は黙っててやるから報酬を少し分けてくr「さっさと行きますよ2人とも」ちょ、ちょっと!」
ルスクは2人の手をグッと引っ張って足を進める。
「いいのか!?この事をバラまくぞ!」
そんな言葉を背に受けつつ、完全に無視し3人は服屋に向かう。
服屋では、下着を上下10着ずつ、普段着や寝巻きを5着買い出た。
「・・・2人は買わないの?」
服の入った紙袋を抱えたミディアは2人に聞く。
「私達は沢山ありますから。汚れれば浄化魔法で綺麗にしますしあんまり要りませんね」
「う~ん、森での生活のせいで貧乏性になっちゃったなぁ・・・」
「・・・無駄遣いするよりまし」
「それもそうですね。マツリ?」
「ん?なに、お母さん?」
「次、どこ行きます?」
「そうだねぇ・・・武器とか防具見に行く?」
「そうですね、行きましょう」
今度は武器と防具を買いに行く事にした。
「・・・なんで武器とか防具が必要なの?」
「? なんでってなんで?」
「・・・マツリとお母さんは、武器も防具もいらないじゃん」
「お姉ちゃんのだよ。私達ばっか戦っても面白くないし」
「そうですよ。マツリが昔言ってました。働かざるもの食うべからず、と」
「・・・分かった」
少し張り切るミディアであった。
「あれ?あんたら昨日話題になってた・・・」
バンダナを頭に巻いた女性の武器屋兼防具屋の店主は、口に咥えたタバコをポロリと落として驚いた様子で3人を見る。
「話題?話題って何、おねーさん!」
カウンターに身を乗り出して祭が聞く。
「いや、涼しい顔してグレンデルを倒してきた親子がいるって聞いたんだよ。1人は、長い青髪。1人は、短髪の黒髪でちっちゃい子。1人は、茶髪の子って言ってたしね。多分あんたらでしょ?」
「そうだよー」
「やっぱりそうか!?いやぁ凄いねー!」
店主は腰に手を当ててハハハと笑いながら言った。
それを見て、ルスクは首を傾げる。
「あなたは疑わないんですか?」
「ん?なにが?」
「今回のことです」
「いやー、確かに最初は疑ったけどさ。ほら、昨日偵察隊が行って確かめてきたから」
『偵察隊?』
3人は一緒に首を傾げる。
「何だ知らないのか?あの手の魔物は討伐されるとその有無を確かめるために偵察隊が派遣されるんだ」
「あれ?それならあの男の人が言ってた事って・・・」
その言葉に祭は腕を組みう~と唸る。
「なんだ?やっぱり誰かになんか言われたのか?」
その問いに答えたのはルスクだった。
「実は今日変な人物に偽装した事を黙っててやるから報酬を少しよこせと脅迫されたんです」
「あー、確かにいるだろうねそんな輩は。偵察隊に金握らせば大抵は隠蔽できるし」
「それならまた突っかかってくる確率が高いと?」
「そうだな。今日そんな事言われたんならこれからもなんかあるかもな」
「・・・・・・・・・・・・消しましょうか」
感情を失ったような顔をしてルスクが呟く。
「やめときなって。仮にそいつを殺したとして丸く収まっても今度は牢屋だぜ?」
店主はニヤニヤしながら言った。
「お母さん・・・どれだけ人間が嫌いなの・・・」
祭が嘆息しながら聞く。
「私は最近気づきました。人間が嫌いなのでは無く、人間の大人の男が嫌いだということが」
「百合だね」
「マツリ、人聞きの悪い事言わないでください」
「・・・お母さん、武器」
「あっ、そうでした。今日は武器を買いに来たんでした。あと防具も」
「そうかそうか。で、何が欲しいんだ?」
「・・・えぇっと」
ミディアは時間をかけてじっくりと選ぶ。