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番外編 ~日常の一コマ~ ルスクの朝

ルスク視点で書かれています。

これは、ロウが家族として迎えられてから一年程たった頃のお話です。


「お母様、起きてください」


私の朝は、お母様を起こすことから始まります。


「ん~~、あと10年」


お母様は、宙に浮いたまま(魔力で作った糸のベッド)寝返りをうち、二度寝を開始しました。


お母様なら10年間寝てても大丈夫だから質が悪いんですよ。


「駄目ですよ。起きてください」


心を鬼にして、お母様の肩を揺すりました。


すると―――


「うぅ~~、うるさいなぁ」ドォォォン


「ぎゃぁあああああああああああああああああ!!??」


―――壁の一部が吹き飛びました。


お母様が寝ぼけて放った魔剣は、家の一部を吹き飛ばし、ロウが寝ている場所が跡形も無く、無くなりました。


ロウは、運良く生きていたらしく、なんとか家から遠く離れた場所からボロボロになって戻って来ました。


「あっ・・・姉・・・・・貴・・」


戻ってきたのはいいですが、家の前で力尽いたようです。


「全く・・・しょうが無いですね」


仕方ないので回復魔法を掛けてあげました。


傷は治りましたが未だに気絶しています。


「シルヴァ、お願いします」


「えー、またー」


家の中で、他人事の様にお茶を飲んでいるジルヴァを呼び、ロウを家の中に運んでもらいました。


「すぅー・・・すぅー・・・」


ベッドを見ると、なんとも可愛い寝顔でお母様が寝息をたてていました。


「・・・・・・癒さ――――いえ、起こさなくては」


このまま鑑賞していたら一日が終わってしまうので、自分の中の欲望を押し殺し、またお母様の肩を揺すります。


「お母様!お母様!」


「うぅ~~、もう朝ぁ」


目を擦りながらお母様は、やっと起きてくれました。


「! どうしたのこの壁!?」


自分でやったのに覚えていないようです。


ま、いつもの事です。


「お母様が自分でやったんですよ。全く、これで何回目ですか・・・?」


「僕が覚えてるだけでは54回目だよね」


横からジルヴァが言ってきました。


シルヴァの方を向くと、ロウの顔に何か塗っていました。


「54回目?じゃーあと46回で100回だねっ!よし、頑張「お母様、反省してください」すみません」


お母様が調子に乗る前にストップさせておきます。


「お母様、直しておいてくださいね」


「はい」


お母様は森の中へ、トボトボと歩いて行きました。


しばらくすると大きな木の板を持って戻って来ました。


それを空いた穴の上にくっつけて、魔力で作った糸で固定させます。


「お母様、それが終わったらご飯にしますからね」


「はーい」


お母様が食卓についたので、私は朝食を運びます。


そして気絶しているロウを放っておき、3人で朝食をとります。


「ん、なんかいい匂いが・・・って、あちぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」


匂いにつられて起きたロウが、起きるなり叫びました。


うるさいです。


「どうしたんですか?」


そう聞きましたが、ロウは悶絶して返事をしません。


「アハハハハハハハハハッ!引っかかった、引っかかった!」


シルヴァは一人、腹を抱えて笑っています。


「なにしたの、シルヴァ?」


お母様がパンを片手にシルヴァに聞きました。


「いや、ちょっと顔に炎火草を塗りたくっただけだよ」


なっ、なんて事を・・・。


炎火草と言うのは、この森に生えている食べられる草です。

それは、物凄く辛く、直に触っただけでもその場所が熱くなるのです。


ちなみにこの草の花から取れる種が火種です。



そっそれを顔になんて・・・、なんておもし―――いえ、酷いことを!


「シルヴァ・・・」


あっ、珍しくお母様が呆れています。


「やるんなら体全体でしょ!」


でしょうね。

予想はしてました。


「クッ・・・・・クソ・・兄貴・・・!」


なんとかロウは復活したようです。


「今日こそぶっころぉぉぉぉぉぉぉす!!」


ロウが怒りにまかせてシルヴァに斬りかかりました。


「アハハハ、勝手に気絶するお前が悪いのさ!」


ひらりひらりとそれを躱してシルヴァは、ロウを煽りました。


テーブルはひっくり返り、折角作った朝食は台無しにされました。


これはもう。


「お母様、殺していいですか?」


一応、お母様に許可を取っておきます。


「半殺しならいいよ」


つまり上半身か下半身は、生かさなくていけないんですね。


「分かりました」


私は、逃げる2人の服を掴みました。


「反省しなさい」


その言葉を同時に2人の顔の周りだけ、水が出現しました。


ジタバタと暴れますが逃がしません。


「反省ましたか?」


水を無くし、確認をとりました。


「このクソ兄貴が・・・」


「このバカが・・・」


「反省が足りませんね」


またもや水に沈めます。




その後、これが数十回続いてから2人は死んだ瞳で「ゴメンナサイ」と言ったので仕方ないですが許してあげました。


気がつけば、もうお昼です。


さて、昼食の準備に取り掛からなくては・・・。





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