27話
今回、かなり短いです。
朝、ルスクが予想した通りロウは「なんで飯作ってくれなかったんだよ!」と言ってきたので、ルスクは力の入った料理を作った。
朝から少し豪華な料理が3人部屋の大きな机に並ぶ。
「ふぅ~ん、キメラの材料ねぇ」
ミディアとロウには、昨日の事を話してある。
スープを啜りながらロウは言った。
「そんな変な集団が簡単にこの国に入り込めるって事は、この国もその事に一枚噛んでるんだろうな」
そうロウが言うとルスクは、苦虫をすりつぶしたような顔をする。
「ロウ、もしかしてこの国を出なくちゃいけない?」
パンを片手に祭はロウに聞いた。
「ああ、多分そろそろ来るかも、なっ!!」
そう言って腰にさした短剣を抜き、天井に向かって投げる。
すると「ぐぁあっ!!」と言う声が聞こえ、短剣の刺さった木の天井から血が滴る。
「お袋、逃げるぞ!囲まれてる!」
「なんで今まで言わなかったの!?バカなの!?」
「だって、姉貴の飯食っとかないと勿体無いだろ!」
「それだけの理由で!?」
驚きの理由に祭は唖然とした。
「・・・逃げよ」
ポカンとしている祭にミディアが声をかける。
「そっそうだね。ルスク、荷物を「もう整っています」もしかして皆、この事知ってたの!?」
「なんでもいいから逃げるぞ!」
ロウはそう言って、ミディアと祭の手を引き、窓から飛び降りる。
ちなみにここは二階だ。
そのあとをバッグを抱えたルスクが追う。
「姉貴、ここで龍に姿になれるか?」
街の住民の視線を受けながら、並行して走るルスクにロウは聞いた。
「なれますが、街が壊れますよ?」
「少しぐらいならいいさ。それより早くしてくれ!」
「・・・・・・・・・・・・分かりました」
ルスクの背中に2枚の翼が展開され、飛び立つ。
そしてルスクは地面すれすれで大きな龍の姿になり、その上にロウが2人を抱えて飛び乗る。
「行きますよ!」
ほぼ垂直にルスクは上昇した。
3人はルスクの翼に全力で掴まっている。
『うぁああああああああああああああ!!!!』
悲鳴をあげながら、3人は風を全身に受ける。
そしてかなり上昇してから、ルスクは平行に飛び出した。
「なんでいきなり上に飛ぶんだよ!?」
ロウはルスクを怒鳴りつけた。
「なんでって、あのまま平行に飛んでたら街が壊れるでしょう?上に飛べば被害は少なくすみますし、それにあの変な人達からも早く逃げられます」
きっぱりとルスクは言った。
その正論にロウは不服そうに押し黙る。
「で、どこに行きます?もう完全に行くとこが無くなりましたよ?」
戦争中のため、ニストゥル王国には戻れない。
ハスト神聖国は論外。
もう行くところがない。
「そうだねぇ・・・。いっその事もう開き直って帰る?」
下にあるハスト神聖国の街を見て祭は言った。
「いや、それは止めといた方がいいぞ。あいつらは多分この国から居なくなるまで諦めないからな」
胡座をかいて、頭を掻きながらロウは言った。
「・・・なんかこんなのばっか・・・」
ミディアは悲しそうに下を向いた。
「すみません、私のせいで・・・」
「ルスクは悪くないよ。悪いのはこの国」
そう言って、祭はルスクの背中を撫でる。
「もうしょうが無い。私は強行手段に出るよ」
祭はルスクに次の行き先を教えた。
その言葉に全員が驚愕しながら、祭は何かを考え込むように腕を組んだ。
次回は番外編です。




