23話
※誤字修正しました。
「まずこの街、と言うかこの国でのルールだ。この国で大きな騒ぎを起こすな」
次の朝。
街を案内するため、4人はロウを先頭に歩いていた。
そして、案内するより先にそう忠告された。
「? そんなの、どの国でも一緒でしょ?」
祭は首を傾げる。
「いや、少しどころかかなり違う。多分他の国じゃ騒ぎを起こしても限度はあるが、連行されて裁判だろ?ここは違う」
「どう違うの?」
「国から消されるんだよ」
その言葉に3人は息を呑んだ。
「正確には居なかった事にされる。この国の平和はそうやって保たれてるんだ。それがこの国の正体。ここだけの話、中立なんて言ってるがホントは、かなり他の国に陰謀をめぐらせてるらしいぞ」
ボソボソと小声でロウは言った。
「まーそんなとこだ。このルールさえ守っとけば良い国だぞ?」
「・・・結構黒い」
「そうですね。神聖とか言ってますが、どうだかわかりませんね」
「ま、いいじゃん。とにかく何も起こさなければいいんでしょ?」
「そうだ。ただこのルールは、基本的に誰も知らないから変に絡んでくる奴もいるかもしれんが」
「このルールを知らない?なんで?」
祭は首を傾げる。
「当たり前だろ。犯罪を犯せば消されるなんて国に誰が住みたいんだよ」
「・・・じゃーなんでロウさんは知ってるの?」
「オレか?オレはちょっと王城に忍び込んで文献漁ってたからな」
「大バカ野郎ですね。よくそんなバカな事して無事でしたね」
ルスクは呆れながら言う。
「ハッハッハ、オレをなめるな!」
そう腰に手を当ててロウは笑う。
「なめてはないよ?ただバカにしてるだけ」
「もっと質が悪いわっ!」
「・・・もういいから行こう」
ミディアは3人に言う。
「そっ、そうだな。って言っても、この街、なんも見る物ねぇぞ?観光がしたいんなら、王都くらいまで行かねぇと」
「えー、なんにも無いのぉ~」
祭は残念そうに言う。
「そうガッカリするなよ。どうせ、あの戦争も早く終わるだろ」
そうロウが言うと、3人は言葉を失い、ポカンとしている。
「え?なんで?」
「なんでって、そりゃあのアーディウス帝国だぞ?メイラストール皇国が勝てるはずねぇだろ」
「でも、メイラストール皇国だって魔法使いの軍隊があるんでしょ?」
「そうは言うが、あのアーディウス帝国にはキメラの軍隊があるんだぞ?」
キメラ。
それは禁魔法の一つ、合成魔法によって作られる生物兵器。
生物同士を合成させ新たな生命を作り出す魔法。
「って事は、アーディウス帝国って合成魔法を使ってるわけ!?」
声を荒げて祭は言った。
「ちょっ、声がデケェよ。これも一応、誰も知らない情報なんだから」
「でっでも、なんで今になってキメラなんて・・・。キメラはかなり古い生物だからサンプルでも無い限り誰も再現出来ないハズじゃ・・・」
「さぁ?オレはその辺までは知らねぇな」
「・・・・・・・・・・ま、考えてもしょうが無いか。他の国の事をとやかく言う権利は私に無いし」
「しかしキメラですか・・・?人間は難儀な物を作りますね」
「・・・それじゃまた学校に行けるの?」
「そうだね。正直、1年間はハスト神聖国に居る予定だったけど、予定が早まりそうだよ」
祭がミディアの疑問に答えると、ミディアはパァと笑顔になる。
その後、適当に街をぶらぶらしてから、ロウが知っている料理店に向かった。
「いらっしゃ~い」
店に入るとダルそうな店主の声が聞こえた。
そして伝票とお冷を持って、店主が注文を聞きに来る。
「私はこれね」
「私はこれで」
「・・・これ」
3人は注文していく。
「オレはコレ」
と、ロウはメニューをそのまま、差し出した。
するとミディアは飲んでいたお冷を「ブッ」と吹く。
「はい、いつものね」
店主は全く表情を崩さず、去って行った。
「・・・ロウさん?」
「ん?なんだミディアちゃん」
「・・・本当にあんなに食べるの?」
ロウの注文したのはメニュー全て。
しかもここのメニューは意外と豊富だ。
「男はよく食うんだよ」
「あなたが大飯食らいなだけでしょう?そのせいで食卓はいつも戦場でしたし」
ルスクは、正面に座るロウを睨みながら言った。
「ハッハッハ、いいじゃないか。ここの飯は美味いんだ。ま、姉貴の飯のほうが美味いがな」
「あら、おだてても何も出ませんよ?」
そう微笑みながらルスクは言った。
「でもルスクの作るご飯は美味しいよね。誰も教えて無いのに」
「ふふふ、日々の研究の賜物です」
そしてしばらくしてから運ばれてきた料理を4人で食べた。
コース料理の如く、次々と運ばれてくるロウの料理を見て、ミディアはただ唖然としていた。
次回、ルスクが活躍します。




