19話
※誤字修正しました。
グゥ~~~
朝、起きると同時に3人のお腹は鳴った。
「お腹すいた」「お腹すきました」「・・・お腹減った」
3人は口々にそんな事を呟く。
「どうする?森になんか木の実でもあるかな?」
「そうですね。探しに行きましょう」
朝から森に入る3人だった。
「おっ!なんか一杯なってる木があるよ!」
3人で手分けして搜索している時、祭はそう叫んだ。
すると2人はすぐに駆けつけた。
「食べれるんですか?」
「食べられるよ。甘いらしい」
祭は世界の知識を有している為、新しい物以外の知識ならば基本的にある。
そして3人は木からその実を3つ取った。
『いただきまーす』
3人は齧るとシャク、とリンゴを齧った様な音が出た。
「んっ!美味しい!」
「はい、美味しいですね」
「・・・美味しい」
黙々と3人は食べ進めた。
そして2つずつ食べたところで10個程取り、バッグにしまった。
「それじゃ行きましょうか」
ルスクは祭に聞いた。
が、祭は少し悩んだような様子で下を見ている。
「?どうしたんですか?」
「いや、ちょっとね」
「・・・どうしたの?」
そんな祭の様子に2人は首を傾げる。
「なんか、昨日変な声が聞こえたんだよ・・・」
そう言うとミディアは何を想像したのか「ひっ!」と声を上げる。
「・・・そっ、そそそそそれって・・・ゆっ幽霊?」
「違う違う。なんか動物の声だよ。やけに聞き覚えのある、ね?」
そう言いながら祭はルスク方を見た。
「まさか・・・・・・あの子ですか?」
「多分」
「なら探すんですか?ミディアに会わせてみます?」
「そうだね。そうしよう」
「?・・・なに言ってるの?」
ミディアの疑問に祭はミディアの方を向き言う。
「多分だけどね。声の正体は家の四男だよ」
その後、2人はルスクの背に乗り、森が一望出来る位の高さまで上昇した。
見つけたとしても、下からより上からの方が向かいやすいからだ。
「お母様、これぐらいでいいでしょうか?」
そこそこの高さになったので、ルスクは祭に聞いた。
「いいよ。これだけあれば十分」
そして祭は、魔力を『気体』にして放った。
しばらくして祭は、物凄く嫌そうな顔をした。
「・・・どうしたの?」
そんな祭にミディアは聞いた。
「いや・・・ちょっとね」
「どうしたんですか、お母様?」
ルスクも心配そうに聞いた。
「ごめん。四男じゃなかった・・・」
「じゃー誰ですか?」
そして祭は顔を引きつらせながら言った。
「次男」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その祭の言葉にルスクは、言葉を失ってしまった。
「?・・・次男じゃダメなの?」
そう不思議そうな顔をしながらミディアは、首を傾げる。
「ダメじゃないんだけど・・・。色々面倒くさい、って言うか我が家のバカと言うか・・・」
「・・・我が家のバカ?」
「そうですね。バカと言うか天然ですかね?良く言えば抜けている?」
祭とルスクの言葉にまたミディアは首を傾げる。
「どうするミディア、会いたい?」
「・・・会いたい」
「分かった、それなら行こうか。ルスク、あの谷の近くに居るからちょっと行ってくれる?」
「わかりました」
ルスクは、祭の指示を受けながらその場所に向かった。
「居た」
ルスクから下りて少し歩くと、祭は発見したらしくそう言った。
「・・・あの人?死んでるんじゃないの?」
ミディアの目の前には、倒れた男性が居た。
顔は、向こうを向いているからわからないが、髪は祭と同じ黒で短め。そして肌も黒い。耳は、エルフの様にピンと尖った長い耳を持っている。
服装は、肌とは対照的な白のタンクトップの様な物に、作業着のような長いズボン。
さっきから全く動かない。
「大丈夫、大丈夫」
そう言いながらカバンにしまった木の実を1つ取り出し、顔を向こうに向けている男性の口に近づける。
シャリ
そんな音と共に、いきなり上半身を起き上がらせたと思ったら、今度は祭の手から木の実を奪い取りガツガツと食べ始める。
「もっと落ち着いて食べないと喉に詰まるよ?」
そう祭が忠告するが全く勢いは止まらず、芯まで食べて最後にゲップをした。
そしてやっと立ち上がり、祭の方を向いて言った。
「また昔と同じ感じで助けられたな。お袋」
気さくな笑みを浮かべながらその男性は祭に言った。
ついに次男登場です。
今回の話で分かるように祭の子供は息子4人、娘4人で構成されています。
最初は、息子3人、娘5人にする予定だったんですがバランスが悪いのでやめました。




