1話
駄文ですが読んで頂けると幸いです。
なお読了後のクレームは受け付けておりません。
とある森の奥深く。
一軒の小屋で、7歳くらいの黒髪少女が窓から外を眺めながら朝食を取る。
「うん、やっぱりルスクの淹れたお茶は美味しいね」
「ありがとうございます。お母様」
少女に淹れたお茶を褒められた青髪の20歳程の女性は少々照れた様子で言う。
「そう言えばルスク?」
「なんでしょうか?」
「私は今年で何歳になったんだっけ?」
「え~っと、確か・・・250年前に一回聞いた時は、583歳でしたから今年で833歳でしょうか・・・?」
「もうそんなになるのか・・・早いなぁ」
この少女は見た目が7歳程の幼女に対して内面は833歳。
それには、とある理由があった。
約800年前、この国は隣国と戦争をしていた。
国力は低下し、完全に崖っぷちに追いやられたこの国が行なったのは、召喚魔法だった。
そうして呼ばれたのが当時ピカピカの1年生をしていたこの少女、三島祭だった。
祭を呼んだ当時の人間達は、祭に国の全てを託しこの戦争に勝とうとした。
しかし祭は当然拒んだ。
まだ親が必要な歳だし、何よりそこまで精神が成熟していない。
どう考えてもこの召喚魔法は失敗だった―――かのように思えた。
その実、祭はその身にとんでもない力を秘めることになっていた。
召喚魔法は世界を越える際、対象の体を分解し『無限の魔力』『世界の知識』を組み込みこの世界で再構築する。
しかしこれには問題があり体に組み込む際、生命に関わる部分が弾き出されたり体そのものが分解されたまま世界と世界の狭間に取り残されたりする。
何度も行われ、今回やっと成功した。
が、祭も世界と世界の狭間にとあるものを落としてしまった。
それは、『寿命の概念』と『老い』
言ってしまえば不老不死。
それを知ったのは、少女を役たたずと考えた当時の国王が騎士に殺すよう命令した時の事だった。
突き刺された剣を抜いた瞬間、その傷は抜くと同時に癒えていった。
この事から少女は化け物と恐れられ結局捨てられた。
その後、その国は戦争で完敗。
国は滅ぶことになった。
さて、何故祭がこんな森で暮らしているかと言うとそれは、召喚した国の戦争相手、龍の国に拾われたことから始まった。
祭は、彷徨い龍の国にたどり着いた。
基本的にそこでは人間を敵視し、祭を殺そうとした。
が、どれだけ火を吹こうが噛もうが突き刺そうが死なない祭に龍達は利用できるのではないかと考えた。
教育と言うなの矯正を受け、結局10年間そこで暮らした。
体は一向に成長の兆しを見せず、老化しない事に気づいたのはその頃だ。
頭は良く、世界の知識をそのまま身に宿しているため、自分を利用しようと考えている龍の事等お見通しだった。
しかしこの国から出れば、生活に困るので龍達に利用されているフリをしていた。
それから180年の月日が流れた。
龍の国は、滅ぶ寸前まで追いやられていた。龍とて、人間より優れてはいるが無敵ではない。
繁殖力がとても低く、個体数が物凄く少ない龍は、結局団結した人間には勝てなかった。
そして祭は戦場に駆り出され、戦場では戦うことなく逃げることにした。
そして戦火が入り乱れる中、戦場で親を失った龍を発見。
それがルスクだった。
子供であれど、その戦闘能力は万を屠ることが出来た。
その為この戦争は、老若男女問わず全ての龍が参加させられていた。
ルスクの親はまだ生後まもないルスクを守って死んだ。
親の亡骸を見て呆然としているルスクを連れて祭は逃げることにした。
あの後、もう一度荒れ果てた龍の国の王城を訪れ金目の物を持って帰ってそれを売ったお金で生活した。
ルスクとは、魔法が使えた為ルスクは、龍の姿じゃなく人に化けて生活していた。
が、人と暮らすには無理があったため2人は人目につかないよう、この森に隠れるように暮らしてきた。
そして今に至る。
「ねぇ~ルスク?」
「なんでしょう?」
「私、人里に降りてみようと思うんだけど、どう?」
「私はどこまでもお母様について行きます」
「そう、なら明日にでも行こうか」
「はい」
約600年ぶりに2人は、外の世界に出る。
これからもよろしくお願いします。