17話
学校での祭のクラスが1年4組となっていましたが、あれはこちらの手違いでした。正確には1-4ですので、修正しておきました。
今回はいつもより短いです。
その日の夜、王都で過ごす最後の夜は祭が不貞腐れて早く寝てしまった。
「まさかこんなに早く王都を出ることになるとは、思いませんでしたね」
ランプに明かりを灯し、ルスクは衣服の整理、ミディアはその手伝いをしていた。
そしてバッグに衣服を詰めながらルスクはミディアに言った。
「・・・今回もあたしのせいだった」
ミディアはしょんぼりしてしまっている。
「いいんですよ、迷惑だなんて思ってませんから。それより次にどこの国に行くかが問題です。まー、乗られる立場からしたら近い方が助かるんですけどね」
ルスクは苦笑気味にそう言った。
そう言っても、ミディアのテンションは変わらない。
「・・・あたしが居なければ」
「その言葉、お母様の前では絶対に言わないでくださいね。激怒しますから」
「・・・なんで?」
「なんでって大切だからでしょう?昔私も似たような事言って思いっきりぶたれました」
遠い目をして、自分の頬をさすりながら懐かしそうにルスクが言った。
「お母様は普段とっても自分勝手です。でも、いざとなれば自己より私達を優先します。だからミディアも気にしないで下さい。その代わり普段、お母様には迷惑をかけられてるでしょう?」
笑顔でルスクはミディアの頭を撫でる。
「おあいこです」
「・・・分かった」
ミディアも頬を緩ませる。
「・・・あのシルヴァさんだっけ?あの人なんかお母さんに似てない?」
「シルヴァは、かなりお母様の影響を受けましたからね。あの森で暮らしていた時はよく2人で悪巧みしてましたよ」
何をされたのか、顔を引きつらせてルスクは言った。
「・・・今更なんだけど、お母さんってどれだけ子供がいるの?」
「ミディアも入れて8人ですね」
「!・・・多い」
ミディアは目を丸くした。
「地図を見て初めて知ったんですけどあの森は他国とも隣接していたみたいなんですよ。だからかなり広いのでよく迷い込む人がいたんですよ。その中には特殊な事情を抱えた人もいましたからね」
「・・・どこにいるか分かるの?」
「さぁ?皆どこに行ったのやら・・・」
「・・・そう言えばなんでルスク姉さんは、なんで外の世界に行こうと思わなかったの?」
「なんでって私の居場所は、この600年間いつもお母様の隣ですから」
「・・・好きなんだね」
「えぇ、好きですよ。世界で一番好きです」
なんの躊躇いもなくルスクは言った。
「他の家族も嫌いだから出て行った訳じゃないですからね。シルヴァなんて「面白そうだから」って言って行っちゃいましたし」
「・・・なんか適当だね」
ふふ、とミディアは微笑んだ。
「それよりもう寝ましょう。多分明日からお母様の我が儘は、一層激しくなりますよ」
少し困った顔をしたルスクがミディアに言った。
しかしそのルスクの顔は少し嬉しそうだ。
「・・・うん」
夜は更けていく。
次の日の早朝、早めに王都を出ようとしたがシルヴァが言ってたように門では逃げられないよう検問を張っていた。
その時はまた祭の魔装の出番で、門番に闇魔法を掛けて難なくパスした。
背中に2人を乗せ、飛び立つ瞬間にルスクは祭に聞く。
「お母様、次はどこに行くんですか?」
「ハスト神聖国かな。あそこは中立状態らしいし安全だと思う」
「それなら結構な長旅になりますね」
「・・・どれくらいかかる?」
ミディアはルスクに聞いた。
「どうでしょうか、休み無しで一日中飛べば3日程で着くかもしれませんが流石にそれはキツいです」
「まー、気長に行けばいいよ。急ぐほどの事じゃないしね」
「そうですか?分かりました。それじゃゆっくり飛びますね」
「うん、そうして」
ルスクは2人を背に乗せ、ゆっくりと飛び立った。
目指すは、ハスト神聖国。
次回は番外編です。




