11話
こんな駄文ですがこれからもよろしくお願いします。
※誤字修正しました。
「おっ、マツリちゃんじゃないか!」
法器を見に行くと西通りの入口付近でスミルが店を構えていた。
「こんにちは、スミルさん」
「はいこんにちは。そっちの子は?この間いた子だよね?」
腰に手を当てて、ミディアの方を向く。
「私のお姉ちゃんでミディアって言うんだよ」
「・・・よろしくおねがします」
ミディアはペコリと一礼した。
「うん、よろしくね!で、マツリちゃん達はどうしたの?法器でも見に来た?」
「うん、この間は壊しちゃったしね。今度は加減して使えるようなの買おうと思って」
「それならいいのがあるよ!」
スミルはゴソゴソとカウンターの下の棚をいじり始め、何やら布に包まれた小さな剣を取り出した。
「この間マツリちゃんが壊した奴のバージョン2ってトコかな。結構強化したんだよねぇ」
「ちょっと持ってみてもいい?」
「いいよいいよ!」
祭はスミルからその剣を受け取り丁寧に布を剥がしていく。
そして鞘から剣を抜くといつか見たような両刃剣がそこにあったが、妙に短い。
その剣にかなり加減をして魔力を流す。
「へ~~、こうなるんだぁ」
剣の上に白い何かが膜を貼るように出来た。
「何?この白いの」
「それはね、伸びるんだよ」
『は?』
「試しにちょっと魔力の流す量を増やしてみて」
言われた通り魔力の供給を上げてみる。
するとその膜は縦に膨れ出し、みるみる剣は伸びていく。
「重さは変わらないでしょ?マツリちゃん腕細いからちっちゃい方が扱いやすいと思って」
「ありがとうスミルさん!」
剣を元に戻し、祭はそれを抱きしめながらスミルにお礼を言う。
「当然有料だけどね」
グッと親指を立てて言った。
「ですよね―――――!」
そこまでは甘くなかったらしい。
金貨を30枚も取られたがいい買い物だと祭は喜んだ。
「それじゃ私は他の法器も見たいから行くね!」
「うん、またねー!」
大きく手を振りながらその場を後にした。
「法器って色んなのがあるんだね」
「・・・そうだね」
法器を持って魔力を流している人を見ると、剣が炎を纏っていたり、弓の弦を引くと矢がないのに勝手に矢が形成されたりと沢山の法器が見られた。
「ミディアお姉ちゃんはなんか欲しいのある?」
「・・・ない。今のでも十分なくらい」
「欲がないなぁ」
祭は少し残念そうな顔をする。
「・・・お母さんに何か買ってったら?」
お母さん。つまり今の状態ではルスクの事だ。
「ダメダメ、お母さん全く武器使えないもん」
「・・・初耳」
「普段から浄化魔法だとか回復魔法だとかそんなのしか使えないしね。その代わり威力は絶大だけど」
ルスクが使う水は一種の超能力のようなもので魔法では無い。
なお、魔法とは色々な種類があるが1人で全ての種類の魔法を使うことは出来ない。
「だから買うだけ無駄だよ。護身用にナイフを持ってるくらいだしね」
「・・・それならいらないね」
「そうそう。っと、そろそろお昼だね。ちょっと行ってみようか?」
「・・・うん」
2人は西通りに向かった。
お昼はオムライスの様なものを食べた。
意外に美味しかったらしく、祭は2人前食べた。
食後の運動にと考え、祭は騎士と模擬戦でもしようと中央通りまで歩いて行く。
近づくにつれて、キンッと剣と剣がぶつかる音やドカーッンと魔法での爆発音が聞こえてくる。
「・・・よくこれで街に被害が出ない。防御魔法が壊れたらどうするんだろう」
「あれ?ミディアお姉ちゃんにも分かるんだ。ここ周辺に防御魔法がかけてあるって」
「・・・うん、なんとなくだけど」
中央通りに入ると、そこはどの場所よりも活気に溢れているのが分かった。
「ん?今模擬戦してる子ってミディアお姉ちゃんと同い年くらいだね」
目の前でミディアと同じくらいの赤髪の男の子が木製の剣を両手に持ち、甲冑姿の騎士に立ち向かっている。
「・・・そうだね、なんか負けてるみたいだけど」
しばし観戦する事にした。
「はぁあああああ!」と叫びながら、少年が木製の剣を騎士に振り下ろす。
が、それは容易く躱され、空いた背中に騎士が持っていた木製の剣を振り下ろした。
少年は「がはっ」と悶絶したが直ぐに立ち上がり、また襲いかかる。
「ん~、なんかいまいち面白くないなぁ~」
それを見ながら祭が呟く。
「・・・仕方ない。国の騎士に勝てる人なんてギルドの人でもあんまりいないと思う」
「いや、少年の方じゃなくてね。あの騎士、完全に遊んでるよ」
祭は怪我そうな顔をしながら騎士の方を見て言う。
「あれは失礼でしょ。真剣な人相手に遊ぶなんて」
その顔は少し怒っている。
「私が行ってくる」
そう言って祭は、走って行ってしまった。
ミディアは「はぁ~~~~~~~」と、盛大に溜息を吐いてトボトボとその後を追う。
次回もよろしくお願いします。




