前編
今日は日曜日。
とはいえ、夏休み真っ只中の俺たち学生には全く関係ないのだが。
俺と咲は、リビングで何となくテレビを見ていた。
俺はテレビの前にあるソファに座り、咲はその後ろにあるテーブルの椅子に座ってお茶を飲んでいる。
『今日は○○市に新しくできた遊園地の特集です。この遊園地は――』
「なんでもジェットコースターが人気らしいな」
「遊園地かぁ。ちょっと行ってみたいかも」
「じゃあ、明日一緒に行ってみるか?ちょうど月曜日だからそんなに込んでないだろうし」
「ホント!?ふふふ、遊園地なんかいつ以来だろ?」
「よし、決まりだな」
翌日
俺たちは朝、割と早く家を出た。
電車を乗り継ぎ、○○駅で降りた。
そこから、バスに乗って15分ほどの遊園地前というバス停で降りた。
「ようやくついたな。いや~長かった」
「そうだね。一時間もかかるとは思わなかったよ」
「さて、気を取り直して今日は遊ぼう」
「うん!」
俺らはチケットを購入し園内へと入っていった。
■□■□■
「ほー、俺たちの市にこんな大きな遊園地が作られたんだ。すげーなー。」
「ホントだよね。けど私たちで良かっただ?」
「いいだ、いいだ。姉貴は仕事で来れないしぃ、弟は熱出して動けないしぃ・・・今付き合ってる子いないし!!」
上から俺、紫苑、秀司の順だ。
「最後のが本音だろ、おい。」
「まあ、チケットくれたのは俺っちの姉貴だからぁそんなことしたら後でどんな目に遭うか・・・」
「はは、秀司のお姉さん恋愛に関しては厳しいからね・・・」
(今までの秀司の付き合ってる回数しったらブチ殺されるだろうな)
心の中でドンマイと思ったがすぐに自業自得か、と思い同情するのを止めた。
「けど高かったんじゃないの?このチケット?」
「なんかぁオープン記念でチケット半額だったらしいよぉ。」
(最初から冒険しすぎだろ!?潰れるぞ!?)
あ、言い忘れていたが今俺たちは遊園地に来ている。
なんでも俺たちの市に新しく出来て、たまたま秀司の姉が抽選で当てたのだ。
だが秀司姉は仕事で忙しく、秀司に譲ったらしい。
なので代わりに俺や紫苑と一緒に来ているのだ。
「お、そろそろ開くらしいから入ろうぜぃ。」
「楽しみ―!」
と言って二人は先に行ってしまった。
(久しぶりに遊園地なんてきたな。よーし!今日は遊び倒すぞ)
そして俺も後に続いてった。
■□■□■
入ってみると、思っていたより人が多かった。
「けっこう人いるなぁ」
「そうだね」
月曜日とはいえ土日を避けて会社の休みを取ったのだろう。家族で来ている人たちがかなり多い。
中には恋人同士できている人もいる。
俺たちもあんな感じでみられているのかなぁ。
「さて、まずはどこからまわろうか?」
「うーん、じゃあジェットコースターかなぁ」
「いきなり!!?」
確かにおすすめらしいけどさぁ。
まあ、俺は速さには慣れているから良いけど。
ジェットコースターの列に並ぶこと5分。
ようやく俺たちの番が回ってくる。
なんと一番前の席になってしまった。
「うわぁ一番前ってやっぱ怖いかも・・・やめときゃよかったかな・・・」
「いやいや、それを楽しむのが絶叫マシーンだから」
全員が乗り込むとゆっくりとその機体が急なレールを上っていく。
ちょうどてっぺんに上りきると一気に急下降する。
「「「きゃあああああああ」」」
咲だけではなく後ろの方からものすごい悲鳴が聞こえる。が、俺にとってはこれくらいの速さ、どうってことはない。
音速移動に比べたら足下にも及ばん。
あの術を覚えた頃はよく吐いてたっけなぁ。
その後も何度か上下運動が続き、ようやく元の発車位置に戻ってくる。
降りてきた咲は若干ふらふらしていたが、俺はしっかりとした足取りで降りた。
「真二、平気そうだね・・・」
「ああ、あのくらいの速さならどうってこと無いぜ」
「そうなんだ・・・私はちょっと酔っちゃった・・・」
といって俺に寄っかかる咲
「おい、大丈夫か?」
「ごめん、ちょっと休憩させて」
俺たちはベンチに座り咲が復活するのを待った。
しばらくして、咲が復活して俺にとって最悪な一言を言いはなった。
「次はお化け屋敷に行こうっ」
「うっ、それは、ちょ、ちょっと勘弁を・・・」
「だめだよ。男の子がお化けを怖がっているようじゃ」
「お前、俺がそっち系が苦手って言うことを知っていて・・・」
「ほら行くよっ」
咲は俺の手を取ってずんずんと引っ張っていった。
数分後、お化け屋敷から男の悲鳴が聞こえたという・・・
■□■□■
チケット半額効果が効いているのか意外と客が多かった。
「うーん、まずどれに行く?」
と紫苑がパンフレットを見ながら俺と秀司に訪ねてきた」
「まあ、やっぱり目玉のジェットコースターだろう。」←俺
「ここは無難にウォータースライダーだろぉい。」←秀司
ギロっとにらみ合う俺たち
「お前ウォータースライダーのどこが無難なんだよ!」
「そっちこそすぐに有名なのから行こうとするとか遊園地の楽しみ方がわかってねぇだろ!」
「物の楽しみ方は人それぞれだろうがっ!しかもジェットコースターは早めに行かないと混でくるじゃねーか!」
「そんなのはウォータースライダーだって同じだぁ!」
「やんのか!」
「そっちこそぉ!」
と殴り合いを始めようとする俺たち。
「ちょっと遊園地に来て喧嘩なんかしないでよっ!」
と紫苑が制止に入った。
「「だって、コイツがっ!!」」
と言ってまたにらみ合う。
「真似すんなよな!」
「そっちこそ!」
「あーもう、ジャンケンで決めればいいでしょ!」
と紫苑からのアイディア
「よーし、じゃあ勝った方のから先に行くってことで良いな?」
「望むところだぜぃ・・・」
と言い拳を後ろに持って行き溜めを作る俺たち
「最初はグー!!」
「ジャンケン!!」
「「ポン!!!」」
■□■□■
「うぅぅ、酷いよ、咲・・・・」
「ご、ごめん、ごめん。まさかあんなに怖がるなんて思ってなかったから」
俺はお化け屋敷の中でさんざん悲鳴をあげ、終いには咲に飛びついてしまうという失態をさらしてしまったのだ。
悠樹を呼ばなくて良かった。
あいつがいたら間違いなく馬鹿にされるだろうな。
「ほら、気を取り直して、次の行こ、次の」
「ああ、そうだな。いつまでもウジウジしていても仕方がないか・・・」
そうして俺たちは遊園地を心から楽しんだ。
昼飯の時間になり、どこで食べようかと、園内のレストランを探していると、あるレストランの裏でサングラスにマスクといういかにも怪しい格好をした奴がいた。
しかも、なにやらコソコソと何かを隠しているようだ。
「真二、どうかした?」
「いや、なんでもないよ。向こうの方にもお店あるみたいだからそっちに行ってみよう」
「え?まあ良いけど」
なんとなくいやな予感がした俺はここから少し離れたところのレストランに向かった。
■□■□■
「きゃー、つめたっ!」
「いやっほーー!」
「・・・」
・・・上の読めばわかる通り俺はジャンケンに負けましたよっ!
俺→グー、秀司→パー
まさかあいこも無く一発で負けるとは思わなかったね。
まあ、ウォータースライダー自体は楽しいがあんまり楽しむ気分になれない。
ちなみに今凸凹カーブに差し掛かったところだ。
「きゃーーー!」
「さいこーー!」
「うわっ、つめて!!」
(なんで頭の上から水が降ってくるんだよ!・・・って次は滝ぃ!!)
と驚くのもつかの間、そのまま滝の下へ落下
「きゃーーーーーーーーー!!!」←紫苑
「うわーーーーーーーーー!!!」←秀司
「安全性に欠けてるだろーーーー!!!」←俺
ここでの秀司と紫苑の叫びは楽しさによる興奮じゃなくて、恐怖による叫びだろう。
ウォータースライダー終了後
あの後衝撃によりカッパを着てても服がずぶ濡れになってしまった。
しかもその次は小さな滝の連続だった。
しかもカーブで・・・。
そして今俺たちはベンチ座って服を乾かしている。
もちろん着たままだが。
「あんなにすごいなんて思わなかったよ。」
「もう目玉がウォータースライダーでもいいくらいだぁ・・・。」
「同感だな、つーか俺たちよく無事だったよな。」
「日頃の行いが良かったんだね、きっと。」
とお疲れ気味の俺たち
「そろそろ行こうぜぇ。」
「どこいく?」
「ジェットコースターに決まってんだろ!」
「その前にお昼混む前に食べちゃわない?」
「そぉだねぇ。」
「まあ、いっか。」
(ジェットコースターは逃げないしな・・・)
と言って近くのファーストフード店に向かった。
■□■□■
適当なレストランで俺はスパゲティ、咲はカレーライスを注文した。
ミートソースがかかったそのスパゲティは味が濃すぎず薄すぎず、ちょうど良い味で結構おいしかった。
咲のカレーライスは本人曰く「もうちょっと辛い方がおいしい」らしい。
咲は辛党なのだろうか?
女の子は甘い食べ物が好きだと思っていたんだが・・・
「咲は甘い物はあんまり好きじゃないのか?」
「え?好きだよ、甘い物。特に駅前のケーキ屋さんのモンブランが美味しいの」
「へー、そうなんだ」
どうやら、甘党でもあるらしい。
・・・どっちなんだ?
レストランを出て、次はどこをまわろうかとパンフレットを見ながら考えているそのとき、
ズゴオオオオオオンン!!!!!!!
という、ものすごい爆発音が聞こえてきた。
あちこちから「キャアアアアア」という悲鳴が聞こえる。
爆発音のする方を見ると、さっき俺たちが乗っていたジェットコースターが黒い煙を吐き出しながら、ものすごい炎が上がっていた。
「嘘・・・ジェットコースターが・・・・」
「ど、どうなってんだよ、あれ・・・」
ジェットコースターのレールが折れ、下に落ちる。
地面にそれが触れると同時にズドオオオオンと地響きを立て、土煙があがる。
これは・・・・爆発?
「咲、行ってみよう。魂霊の仕業かもしれない。最近の奴らは行動がおかしいからな」
「え?ちょっと、危ないよ!真二!!」
俺は咲の言うことも聞かずに走り出す。
「もう、仕方がないんだから・・・」
咲はしばらくして俺を追いかけてきた。
ジェットコースターのあった場所に着くとそこは炎と怪我人で大混乱だった。
泣き叫ぶ子供
瓦礫の下敷きになっている係員
凄い火傷の人
その他にも大勢の怪我人がその場で苦しみ、悶えていた。
「・・・酷い」
遅れてついた咲がボソッと呟く。
確かにこれは酷い。
「くっ、こんなこと、だれが・・・」
そこで俺は思い出す。ほんの一時間前、私は怪しい者です。と、名乗っているような格好をしたような奴が何かを陰に隠していたことを。
「もしかして、アイツが・・・?」
俺はさっきの場所へ走り出した。
■□■□■
俺たちは昼をファーストフード店で済まし、今ジェットコースターに向かっているところだった。
俺は凄く楽しみなので足取りが軽やかになっている。
(早く乗りてーなー)
と思っていたら紫苑がいきなり止まってぶつかりそうになった。
「うおっと、どうした紫苑?」
と紫苑の顔を見るとある一点だけをジーっと見ていた。
その視線の先には動物触れ合いランドと言う看板があった。
再び紫苑の顔を見るとすっげーキラキラした目をしていて
「あそこ行こう!」
と一人で行ってしまった。
「あ、待ってよ紫苑ちゃんっ」
と言って秀司もついて行く。
一人残された俺は
(おーい!俺のジェットコースターは!?)
と心で叫んだ。
しばらくボーッと突っ立っていたが、ハッとしてすぐに二人を追いかけた。
動物触れ合いランドで紫苑は動物にめちゃくちゃ人気だった。
紫苑が一匹の犬とじゃれていたら次々と犬が集まりだし今では周りに十何匹もいる。
秀司も秀司で動物とじゃれ合っていた。
俺は隅っこでそんな二人を見ていた。
(まあ、こうゆうのも悪くないか・・・)
と思っていた俺の足下に一匹の赤ちゃん犬が来た。
俺はその赤ちゃん犬を抱き上げると頭を撫でたりしていた。
動物触れ合いランドを出た後紫苑はすっごい笑顔だった。
その笑顔を見るとジェットコースターを後回しにしたのがどうでも良くなった。
「じゃあ次こそジェットコースター行k
ズゴオオオオオオンン!!!!!!!
と大きな爆発音がした。
「な、何の音!?」
「ジェットコースターの方からしたぞぉ!」
「行ってみてくる!!」
と俺は走り出した。
「おぃ、まてよ!」
「置いてかないでよ!」
と秀司と紫苑が追いかけてきた。
ジェットコースターの近くまで行くとジェットコースターは酷い有様だった。
レーンが爆発で落ちていて、その下に人が倒れていた。
爆発の炎で木が燃え上がり、炎でその場を真っ赤に染めていた。
「なんだよ、これ・・・」
「ひでぇ・・・」
「・・・」
紫苑はあまりの光景に言葉を失っていた。
(俺が乗る前にこんなことしやがって!いやそんなことより・・・)
「許さねぇ、こんな場所で爆発なんて起こしやがって・・・!」
と言い俺はジェットコースターの方に走り出していた。




