因習村
元陸上自衛隊特殊作戦群に所属していた田中は病弱の娘のために
自衛隊を退役し、田舎の小さな村に移住した。最初は村の
生活に満足していた彼だったが、この村で行方不明者が
多発していることを知り徐々に不安になる。
そして…
「助けてパパ!」
突然娘の携帯から電話がかかってきた。
「どうしたんだ!?」
「突然村の人たちが襲い掛かってきて…それで…それで…」
「落ち着け。何が起きてるのか話してくれ」
「村の人たちが私を生贄にするって…儀式のときにって…」
「何!生贄!どういう…」
その直後、物音とともに電話は途絶えた。
「もしもし!?もしもし!どうしたんだ!クソッ!」
何か良くないことが起きている。彼は冷静に村の交番に向かった。
「どうしたんですか?」
人当たりのいい笑みを浮かべて村の駐在が問いかける。
「娘が攫われたんです!早く応援を呼んで娘を…」
「まあまあ落ち着いて。とりあえず座ってください」
駐在に言われ、しぶしぶは椅子に座った。
駐在は電話でどこかと連絡を取っていた。本署だろうか。
「ええ…わかりました。こちらで処理します」
そういって電話を置くと、駐在は腰のホルスターから38口径のリボルバーを
抜いた。
「悪いね。気づかれたからには消えてもらう…」
駐在が言い切る前に田中が動いた。素早く立ち上がると駐在の腕をつかんでねじり上げる。
「がああ!」
痛みにうめく駐在からリボルバー、S&W M360Jを奪うと、
駐在に突きつけた。
「どういうつもりだ?娘はどこだ?」
「や、やめろ!俺は何も話さないぞ!話したら殺される!」
「安心しろ。話さなかったら俺が先に殺してやる」
そういって田中はリボルバーの撃鉄を起こした。
「待て!わかった!話す。あんたの娘は村長の家の地下にある祭壇の間にいるよ。
そこで蛇神様の生贄になる予定だ」
「蛇神様?なんだそれは?」
「この村を守ってくださってる神様だよ!蛇神様に感謝を示すために
生贄の儀式をやる!今回の生贄はあんたの娘だ」
その時、交番の外から声がした。
「おーい駐在さん。もう例のよそ者の始末は終わったか?」
田中はすかさず駐在の頭にリボルバーを突き付けて
盾にした。
「助けてくれ!しくじった!」
駐在の声を聞いて駆け足で交番に現れたのは一人が猟銃、もう一人が
ナイフを持った二人組だった。
「なっ!くそ…仕方ねえ!駐在ごと撃て!」
「おおい待て」
駐在が言い切る前に年長の男に言われたもう一人の男が猟銃を発砲。
田中は駐在もろとも床にたたきつけられた。
田中はすかさず片手でM360Jを構えると、猟銃を持った男に発砲。
「ぐわっ」
男は猟銃を落として倒れる。
「うわあああああああああ!!」
それを見た年配の男がナイフを振り上げて襲ってきたがすかさず田中は眉間を
撃ち抜いた。床に倒れる男。
田中は駐在の死体をどかすと立ち上がった。駐在の無線を
使おうとしたが被弾で破壊されていた。
田中は無線を諦め、床に落ちた猟銃とナイフを拾う。
「べネリM3か。いい銃持ってんじゃねえか。しかも違法改造で本来の
装弾数に戻してやがる」
田中はショットガンを拾うと、男の死体から弾薬を奪い取りリロード。
さらに駐在の死体から金庫のカギを奪うと金庫を開けM360Jの
予備弾を拝借。リボルバーをリロードした。
「待ってろ…今助けに行くからな」
田中は娘の身を案じながら呟いた。