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灰色世界に命の雫を  作者: 白馬 鏡
第二章 エルベラの闇
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Al使いと都市の謎

「あらためて、俺はランベル・エスカ。よろしく!」

 席から立ち、自身の名を名乗るとともにその手をぼくへ伸ばす。

 伸びるその手を前に、ぼくの喉を行き場の無い唾が通る。

「まぁ、警戒すんのも無理ないか。一応言っとく、俺はあんたの敵じゃない」

 手を握らぬぼくに、ランベルは苦笑しつつも真っ直ぐな目を向ける。

「ウォロン・エルユ」

「おう!よろしく。ウォロン」

 握手を交わすぼくの手をランベルは、大きく上下に振る。

 冷静な面持ちの割に元気な人なんだな〜。ぼくは感じた。

「で、そっちのAIは?」

 ぼくの手を離すランベルは、その目をぼくの袖口に移す。

はぁ(ハァ)〜。(ワタシ)()音声(コエ)()ウォロンにしか(ニシカ)聞こえて(キコエテ)ないはず(ナイハズ)なんですが(ナンデスガ)……。ヴィオラです(デス)どうぞ(ドウゾ)よろしく(ヨロシク)

 音声(こえ)が聞こえてるという理解出来ない現象にため息を流し、ランベルに対し挨拶をするヴィオラ。

「ヴィオラね〜。ヴィオラ……、ヴィオラ……、Vか。てことはお前が()()()か」

それも(ソレモ)知っている(シッテイル)ってことは(ッテコトハ)貴方(アナタ)()AI……」

 七番目。その単語にヴィオラが反応を示すと、その声はヴィオラの音声(こえ)を遮る。

「ええ、お察しの通り。私ですよV。いえ、今はヴィオラでしたね」

 ぼくらの背後。振り返ると一人の女性が立っていた。

 ぼくはその女性に驚きを隠せなかった。ウエイトレス姿の彼女は、部屋を借りる時に対応してくれたその人だったのだから。

「F。やっぱり(ヤッパリ)貴女(アナタ)でしたか(デシタカ)

「いいえ。今の私の名前はフィーン。これからはそう呼んで欲しいわ。私も貴女をヴィオラと呼ぶから」

はぁ(ハァ)〜。お好きに(オスキニ)どうぞ(ドウゾ)

「妹の相変わらずの反応に、お姉ちゃん悲しい」

 そう言って、両手で目元を擦るフィーンさん。

 ……え、妹!?

「ヴィオラ?」

なんですか(ナンデスカ)ウォロン」

「お前……女だったのか?」

「……正気(ショウキ)ですか(デスカ)気づいて(キヅイテ)無かったんですか(ナカッタンデスカ)

 驚愕しているのが分かるヴィオラの音声(こえ)に、ぼくは自分の手元に「うん」と頷く。

「あ、いや、AIだから性別なんて無いもんだと思ってたから……」

まぁ(マァ)どっちかと(ドッチカト)言われたら(イワレタラ)(オンナ)ってだけなんで(ッテダケナンデ)お気になさらず(オキニナサラズ)

「……すまん」

 さすがに無頓着だったか?

 気にするな。というヴィオラにそう思ったぼくは一言謝った。

「それでランベルさんはぼくに何の用が、」

 フィーンさんとの挨拶も終え、ぼくは自分の手元を見ていた目でランベルさんを見る。

 同じAI持ちだからか?投げた質問が帰ってくるまでの間、ぼくは頭の中でその答えを予測する。

「ああ、お前外の大陸出身なんだろ。どこから来たんだ?」

「……ここから南、結構離れた島にあるニューって名前の街からだ」

 ニュー。その単語を耳にしたランベルの眉が僅かに反応を示す。 

「てことはウォロン。目的はこの国の王族か?」

 ランベルは一度でぼくの目的を言い当てる。

「ああ、」

 その言葉をぼくはただ肯定する。

「悪いことは言わねえ、やめとけ。ただ個人を相手にするならいざ知らず、国相手はそもそも戦いにすらならねえ」

「何もいきなり殴り込んだりなんかしないよ。ぼくはただ事実を知るために話がしたいんだ」

 ランベルの警告にぼくは臆すること無く目的を提示する。

「話……か。アイツら相手じゃ天地がひっくり返っても無理だな」

なぜ(ナゼ)そう(ソウ)断言(ダンゲン)できるのですか(デキルノデスカ)?」

 無理と言い切るランベルにヴィオラがその理由を聞く。

「……お前らに聞く。この都市を住民を見て何を思った?」

「街の人はみんな笑顔で、メシも美味かった。聞いてた話と違って、争いの知らない平和な感じだった。……けど」

(チガ)()過ぎる(スギル)せいか(セイカ)余計(ヨケイ)(ナニ)かあるのでは(カアルノデハ)……()

 ぼくとヴィオラは揃って、ランベルにそれを説明した。

「なるほど。……お前ら。今から俺が口にする事はここにいる四人以外には他言無用で頼む」

 そう言いながらランベルは手招きをし、ぼくに近くにくるように指示した。

「よく聞けよ。この都市に住む人たちは、海の向こう側にある他の大陸を知らない」

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