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灰色世界に命の雫を  作者: 白馬 鏡
第二章 エルベラの闇
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人の山

 森林の中、ぽっかりと空いた位置にディルバトスを着陸。インビジブルを起動させ周囲に追ってがいないことを確認してからぼくは、ティアが休む宿屋へと走った。

「急いで戻らないと。ティア。変に起きてないといいけど……」

 都市までの道を駆ける中、ふとした不安が脳内に浮かぶ。

起きてるにしろ(オキテルニシロ)ないにしろ(ナイニシロ)(イソ)いだほうが(イダホウガ)いいです(イイデス)

 不安を煽るヴィオラの音声が走るぼくの耳に流れ込む。

「え、それって……」

(アト)()説明(セツメイ)しますので(シマスノデ)(イマ)()(ハシ)ってください(ッテクダサイ)

 反応を遮り足を止めないよう指示するヴィオラ。

 ヴィオラの言葉に余計な疑問を抱えるも、ぼくは指示通り宿屋までの道と言えぬ道を駆けていく。

 森林の中を走ること暫く、ぼくの目に都市の外壁の一部が映る。

「見えた!」

 エルベラに着いたことを確認したぼくは、勢いよく飛び都市を囲む高い外壁を越える。

 壁を飛び越えたぼくは近くの建物の屋根に着地。現在位置と周囲を確認を終えると、宿屋へのある方へ向け建物の屋根を飛び移る。

 昼間とは違う真夜中の都市。ほとんどの店や建物がその明かりを消す中、街灯や酒屋など一部の明かりが強く目立つ。

 見かける人たちは、酒の飲み過ぎか?歩き型が定まっていない人や見られていないからと警備をサボる兵なんかばかりだった。

 そんな都市の真夜中の姿を目で記憶しながらぼくは宿屋までの道を急ぐ。

 明かりの目立つ都市の中心街から離れた暗いエリア。そこで光る一件の建物。宿屋エスカルゴン。

 近隣の建物の屋根から飛び降り、宿屋の前に着地する。

 真夜中だと言うのに宿屋の一階は明るく、扉のガラス越しにその光が店先を照らしている。

「なんでこんな時間に……?」

 ヴィオラに呼び出されて此処を出た時、店は光を消して扉も内側から鍵を掛けられていた。よく見ると扉のドアノブが変な方向に曲がっていた。

 胸騒ぎがする。

 妙な感覚が自分の中から感じるのと同時に、此処に来るまでにヴィオラが言ったあの言葉が蘇る。

 (イソ)いだほうが(イダホウガ)いいです(イイデス) 

 頭の中でその言葉が言い終わる前、気づけばぼくは店の扉を勢いよく開けていた。

 宿屋に入ったぼくの目に飛び込んで来たのは、衝撃的な光景だった。

 一階に置かれていたテブールや椅子が周囲に無造作に転がっている。そして受付カウンター前には大きな山のような影が。いや、これは山だけど山じゃない。

 ぼくの前にあるその山は多くの人が重なって形成されたモノだ。重なっている人は全員同じような装備を身につけている。

「こいつらもしかして……」

 人の山に思わず声が出る。しかしその言葉を言い切る前に、

「よお!」

 その声のほうにぼくの目が向く。

「おかえりなさい。お客様」

 山の上に座る彼がぼくにそう声を掛けてくる。白のワイシャツに黒のズボン少し明るめの茶髪の爽やかなそうな青年。

「よ、っと!」

 山の上から飛び降りた彼がぼくの前に着地する。

「随分、時間掛かったみたいだな」

「あなたは……?」

「俺か?俺はランベル・エスカ。この店の店長だ」

「エスカ……さん?」

「堅いな〜、ランベルでいいよ」

 ぼくの反応に対し、気楽に接するランベルさん。

 次から次へと起こる現状に正直ぼくはついて行けてない。後ろのコイツらは何なんだ?ランベルさんが一人でこれを?と言うかこの人は本当にこの店の店長なのか?……って、こんな騒ぎがあったならティアが起きてるんじゃ?

 目の前の衝撃で一瞬忘れていた例の不安が蘇る。ティアを心配するぼくの視線はいつの間にか二階に繋がる階段のほうを見ていた。

「ん?ああ、あの子のことが気になるのか?」

 ぼくが向ける視線に気づいたランベルさんが聞く

「一応、()()を使っといたから大丈夫だと思うが、気になるなら見てこいよ」

「え!あ、はい……」

 ランベルさんにティアのことを言われ少し戸惑いつつもぼくは一つ返事し部屋のある二階へ。

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