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灰色世界に命の雫を  作者: 白馬 鏡
第二章 エルベラの闇
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アクセルチェンジ

 「一つ、二つ……全部で五機か」

 エルベラから少し離れた海岸。その近くに生える雑木林の中で見える赤い光源、それらは機兵が持つ特有のカメラアイたちだ。

 赤い光が照らす先は海のある一角。そこには何も無く。また魚影の一つも無い。一見何も無いそこにはアレがある。インビジブルを展開しているアレ。ぼくらが乗ってきた戦闘機ディルバトスが。

 雑木林と海岸の見える物陰からその様子を伺っていたぼくとヴィオラ。

 時刻は深夜、そんな時間になんでぼくらがここにいるのか。さっきまで宿屋にいたぼくはヴィオラから「機体周辺に反応がある」と言われことにある。

 こんな夜中に誰がと思いつつもヴィオラに言われた通りにぼくは、ディルバトスを置いてる海岸へと向かった。

 一緒の部屋で休んでいるティアは置いてきた。変に連れてきて何かに巻き込まれでもしたら大変だからな。

一体(イッタイ)どこから(ドコカラ)漏れたのか(モレタノカ)?」

 つい先日まで秘匿状態にあったディルバトスの情報が何時何処から漏れたのか?気になっている様子を見せてるヴィオラ。

「わからん。けど足を奪われたら敵わん。向こうより先に機体に着くぞ」

了解(リョウカイ)

 物陰から姿を出し、赤い光に気をつけつつディルバトスの元へ駆ける。

「……難しいな」

 そんな不満を吐露しながらぼくは、岩陰から赤い光が差す場所を確認していた。

 スーツのインビジブルを起動させているが、あの赤い光に照らされたらバレるのだろう。そう思うせいか?ぼくは岩陰から動くことが出来ないでいた。

「ヴィオラ。どうにか出来ないか?」

出来ますよ(デキマスヨ)

「本当か!」

「ジャミング()使えば(ツカエバ)

「あんのか!なら頼む」

 この状況を切り抜けられる機能があると言うヴィオラ。あるなら早く言って欲しいな〜という気持ちが有りながらも、ぼくはヴィオラにそれを使うようお願いした。

良いですけど(イイデスケド)十秒(ジュウビョウ)しかありませんよ(シカアリマセンヨ)

「十秒……か」

高性能(コウセイノウ)でも(デモ)限り(カギリ)()あります(アリマス)

 ヴィオラが提示した十秒の時間にぼくは考えを巡らせる。が、奴らは待ってくれない。

 周囲へ向け赤い光を伸ばしたまま奴らは雑木林の中からその姿を現す。

 中央都市から離れているからか。月明かりに照らされた五機の機兵は、夜中にも拘らずガシャンガシャンと足音を立てながら海岸のほうに進軍する。

 「時間が無い!ヴィオラ、カウントスタート!」

 ヴィオラに指示を出すと共に岩陰から飛び出し、ぼくはディルバトスの元へと走り出す。

 10…… 9…… 8…… 7……

 アンカー射出 機体胴体着地 コクピットまで距離十

 6…… 5…… 4…… 3……

 ハッチ開放 起動開始

 2……

 各パラメータ確認

 1……

 全システムオールグリーン ディルバトス

 z

 アクセルチェンジ!

 0……

 カウントゼロと共に押した一つのスイッチ。

 インビジブルの解けたディルバトスの姿が奴らの(カメラ)に映る。しかしそれは戦闘機では無い。

 海岸沿に立つ六機の機兵。その内の一機は機兵と呼ぶには手足が細く。従来の機兵には無く似つかわしく無い狂気の羽が付いる。

 機兵の頭部で光る白い目が、目の前で並ぶ五機の機兵を捉える。

「ウォロン。初めての(ハジメテノ)白兵戦(ハクヘイセン)です(デス)気をつけて(キヲツケテ)

「ああ、」

 コクピットのモニターで動くヴィオラに、ぼくは操縦桿を握りつつ呼応するのだった。

 中央都市一日目深夜

 外れの海岸でその戦いは始める。

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