解析結果
「ベットだー。とう!」
泊まる部屋に入ってすぐ、ティアは目についた真っ白なベットへ勢いよくダイブした。
ティアが目覚めた日からある程度時間が経過している。自分のことは思い出せているわけじゃないが、体に染み付いた性格は徐々に現れている様に見える。
「ベットの上だからってだらしないよ、ティア」
「ごめんなさい。でもベットがふかふかで〜」
ふかふかベットにご機嫌な様子のティア。耳に聞こえてくる彼女の声も少しばかり緩んでいた。
「それにしても不思議ですね」
「なにが?」
「こんなにふかふかのベットがあるのに、お客さんはわたしたちだけだなんて」
「たしかにそうだね」
ティアの言う通りこの宿屋に今いる客はぼくらだけだ。
客が居ないからと言っても繁盛してない訳ではないのだろう。実際に部屋や廊下はキレイに保たれている。
他に考えられるとしたら立地の問題か或いはここのサービスが良くて固定客が他に教えたくないとかか。なんにせよ宿屋が見つかって良かった。
ベットでゴロゴロするティアの眺めつつ部屋から感じる安心感にホッと胸を撫で下ろす。
スッー、スッー、
明かりの消えた真っ暗な部屋の中、机に向かうぼくの元にはティアの寝息が流れる。
入浴と食事を済ませ部屋に戻るなり直ぐに眠ってしまったティア。
慣れない仕事に疲れていたみたいだ。
「……お疲れ、ティア」
起こさないよう小さな声でティアにありがとうの気持ちを伝えたぼくは、その視線を机に掛けていた片手に移した。
手の色が徐々に鉛のような銀色へと変化する。
「聞こえるか?ヴィオラ」
ぼくの声に反応し、銀色の手は緑の発光を見せ粒子が舞う。
「今日はお疲れでしたね。ウォロン」
緑の粒子は、まるで喋っているかに見える様に動きだす。
「色々あったからな。……で、例の解析終わってるか?」
「スーパーコンピュータをなんだと思ってんですか。あんなの10分もあれば終わりますよ」
ヴィオラの音声と共に粒子がガッツポーズの表現をする。
「どうだった?」
「ウォロンの読み通りあれはホーバー機能をつける追加装甲でした。起動時間も確認しましたが、こちらも読み通り昨日の夜でしたね」
「……そうか」
ヴィオラの音声に耳を傾けたままぼくは天を仰いだ。
倉庫でティアが見つけた機兵の部品。
部品を見て理解するまでそう時間は掛からなかった。
「問題は、あのパーツが何故あの倉庫にあったのかです?」
手の上で粒子がハテナマークを作る。
「わかんない。が、あの場所にあったってことは、少なからず国が関係してるってことだな」




