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灰色世界に命の雫を  作者: 白馬 鏡
第一章 中央都市「エルベラ」
23/37

空っぽの

カタカタ、カタカタカタ、

 キー板に指を走らせる。

 走る指の速さと同じ速度で、コックピットモニターに数字の羅列が乗る。

 打ち終えた数字の羅列をエンターキーで確定すると、全体像と共に機体データがモニターに表示される。


 機兵名「ルイン」 対戦用量産兵


 解体寸前の機兵データを前にエンターやスクロールを繰り返すが、

「それと言ったデータは特に無し……か」

 出てくるのは機兵の基礎データのみで、過去の搭乗者や戦闘データなどは、とっくのとうに抜き取られたもしくは削除されている。

「まぁ、当然か」

 機兵データのみの空っぽデータを前にぼくは再びキーに指を走らせ、エンターをクリックする。

「じゃ、後よろしく。ヴィオラ」

了解(リョウカイ)

 ぼくがそう言うと、モニターに映っていたヴィオラが消える。

 普通とは違うAI「ヴィオラ」。

 ヴィオラが持つ特別なコードを入力する事で、ヴィオラはそのデータに潜り込む事が出来、また痕跡を残さずそのデータ上から消えることが出来る。

 ぼくは、そんな特性を持つヴィオラに機兵にあるデータを回収するよう指示した。

 一体目の機兵をヴィオラに任せたぼくは機兵から降り、隣に置かれている二体目に搭乗する。

 電源を入れ機兵データを調べたが、一体目同様に目立ったデータは無かった。

 「はぁ……」

 ため息を落としつつ機兵から降りたぼくは、その足で三体目の元へ。

「ウォロンさん!」

 三体目に向かって最中、機兵の足元でぼくを呼ぶティアの声が聞こえてきた。

「どうしたの?」

「なんか、変?なモノがあって……」

 変なモノ?

 それが何なのか気になったぼくは、機兵側に架けられている鉄骨から飛び降りティアの元へ、

「これなんですけど……」

 ぼくが来た事を確認したティアは、自身の後ろを指刺す。

 ティアの指が刺すほうに目を向けると、まだ綺麗な状態の機兵パーツが山のように積まれていた。

 何処が変なのだろうか?山の麓から頂上にかけて目を運ぶも、ぼくにはそれが分からない。

「ティア、何処が変なの?」

「それが……パーツの山にこれが貼ってあって」

 そう言うぼくにティアは握っていた紙切れを渡してきた。

 [廃棄]

 紙切れにはその蓋文字が書かれていた。

 …… …… まさか⁉︎

廃棄の文字とパーツの山。それらを前にぼくはある事に気づいた。

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